JW670 三野に散る
【景行征西編】エピソード41 三野に散る
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦84年、皇紀744年(景行天皇14)。
ここは、纏向日代宮。
蝦夷討伐の将となっていた、陸奥守豊益(以下、トヨマ)の家来「ザンソー」は、「シロ」の兄弟たちと、大連や側近たちに報告をおこなっていた。
すなわち、誉津別(以下、ホームズ)。
大中姫(以下、ダッコ)。
稚城瓊入彦(以下、カキン)。
そして、大連の物部の連の十千根(以下、ちね)。
側近の阿倍の臣の武渟川別(以下、カーケ)。
和珥の臣の彦国葺(以下、くにお)。
中臣の連の大鹿島(以下、オーカ)。
大伴の連の武日である。
ザンソー「五十瓊敷入彦こと『ニッシー』を討てと、勅命が下りましたゆえ、急ぎ、主の元に向かいまする。」
カキン「ま・・・まことに・・・まことに、大王は、兄上を討てと、仰せになられたのか?」
ザンソー「はっ。」
ダッコ「そ・・・そんな・・・。」
ホームズ「信じ・・・られぬ。」
ちね「せやけど、勅命、言われたら、何も言えませんよ?」
カーケ「それがしは、納得いかないんだぜ!」
くにお「『カーケ』殿が、お怒りになられても、致し方ござりませぬぞ。」
武日「じゃが。信じたくはないが・・・。」
オーカ「悲しいことにあらしゃいます・・・(´;ω;`)ウッ…。」
ダッコ「大王は、正気なの? 兄上が、謀反など・・・(´;ω;`)ウゥゥ。」
それから、しばらくして・・・。
謀反の罪を着せられた「ニッシー」は、三野国(今の岐阜県南部)まで帰還していた。
そこには、八坂入彦(以下、ヤサク)と、三野後国造である、神大根王(以下、ノーネ)の姿が・・・。
ヤサク「エピソード621以来の登場じゃ!」
ノーネ「我は、エピソード536以来! 作者から、登場の依頼!」
ニッシー「伯父上? 『ノーネ』殿? お二人とも、伝承には登場しないよね?」
ヤサク「良いではないか。せっかく、三野まで来ておるのじゃぞ?」
ノーネ「その通り! 仰る通り!」
ヤサク「ところで、此度の副将の名・・・聞いたことのない豪族なのじゃが?」
ニッシー「中世に作られた、伝承みたいなんだよね。」
ノーネ「後の世の伝承! 作られた副将!」
ヤサク「されど、なにゆえ、そのような御仁が?」
ニッシー「僕にも、よくわからないんだよね。」
ノーネ「それで、何処? 彼は、何処?」
するとそこに「トヨマ」が、家来の「ザンソー」を伴って、やって来た。
ニッシー「もう! トヨマ! 何処行ってたんだよ。」
トヨマ「・・・・・・。」
ニッシー「ん? どうしたの?」
その問いには答えず、無言で剣を抜く「トヨマ」。
ニッシー「えっ?」
トヨマ「勅命により、逆賊、五十瓊敷入彦を討つ。」
ヤサク「なっ!? 何を申しておるのじゃ?」
ノーネ「どういうこと?!」
ニッシー「ちょっと! 戯言は、やめてよね。大王は、僕の弟だよ?」
トヨマ「問答無用! 覚悟ぉぉ!」
ザクッ
ニッシー「えっ? えっ? ど・・・どうして・・・グフッ。」
ヤサク「ああ! ニッシー!!」
ノーネ「衝撃の展開! ありえない今回!」
ザンソー「では、御首級、頂戴仕る。」
こうして「ニッシー」は討たれた。
「記紀」にはない、伝承の物語である。
その報せは、纏向日代宮にも届いた。
そこには「ニッシー」の妃、淳熨斗皇女(以下、ヌーノ)の嘆き悲しむ姿が・・・。
ヌーノ「大連! 叔母上! おじうえ! どうして、とめてくださらなかったのです! 旦那様が、謀反など・・・(´;ω;`)ウゥゥ。」
ダッコ「ヌーノ・・・ごめんね。私だって・・・(´;ω;`)ウゥゥ。」
カキン「とめられるものなら・・・。」
ホームズ「ゆ・・・許せ・・・。」
ちね「皇女に、お伝えすべきかどうか、悩んだんです。せやけど・・・。」
くにお「伝えたところで『ニッシー』様を助けられるわけでもなく・・・。」
カーケ「伝えるのが怖かったんだぜ・・・(´;ω;`)ウッ…。」
ヌーノ「そ・・・そんな・・・そのような・・・。」
武日「どうすることも出来なかったんやじ・・・(´;ω;`)ウッ…。」
オーカ「お許しくださいませ!」
ヌーノ「許しませぬっ。大王を・・・父上を・・・私は、許しませぬ!」
そう叫ぶと「ヌーノ」は飛び出していったのであった。
つづく
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