JW245 氷川三社
【崇神即位編】エピソード3 氷川三社
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
紀元前97年、皇紀564年(崇神天皇元)2月16日、崇神天皇こと、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)は、立后(りっこう)をおこなった。
大后(おおきさき)となったのは、御間城姫(みまきひめ)であった。
そして、年が明け、紀元前96年、皇紀565年(崇神天皇2)となった。
そんなある日のこと、ミマキは、二人の大臣(おおおみ)と語らっていた。
すなわち、物部大綜杵(もののべ・の・おおへそき)(以下、ヘソ)。
そして、ヘソの息子、伊香色雄(いかがしこお)(以下、ガーシー)である。
ヘソ「大王(おおきみ)・・・。たいへん申し訳ないんやけど・・・。」
ミマキ「如何(いかが)した?」
ヘソ「今日で、クランクアップさせてもらうで、しかし!」
ミマキ「な・・・なんじゃと!?」
ガーシー「そうなんですわ。もう歳っちゅうことで、そういうことになったんですわ。」
ミマキ「そ・・・そうなるのか・・・。寂しいが、仕方ないのじゃな・・・。」
ヘソ「まあ、そういうことで、クランクアップ記念も兼ねて、今年創建された神社を紹介するで!」
ミマキ「記念?」
ヘソ「その名も、中山神社(なかやまじんじゃ)やで!」
ガーシー「おとん! 祭神と地名の紹介、忘れてるで!」
ヘソ「今から、するところやがなっ! 祭神は、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)で、鎮座地(ちんざち)は、埼玉県さいたま市の見沼区中川(みぬまく・なかがわ)やで!」
ミマキ「東国に出雲(いずも)の神様・・・。ということは、出雲からの移民が建てた神社ということか?」
ヘソ「その通りやで! せやから、中山神社は、中氷川神社(なかひかわじんじゃ)とも呼ばれてんねん。」
ミマキ「氷川・・・。たしか、五代目様の御世、エピソード112と113で、氷川神社(ひかわじんじゃ)が紹介されておったな? それと何か関わりが有るのか?」
ガーシー「大いに有るんですわ。氷川神社には、大国主の義父、素戔嗚命(すさのお・のみこと)が祀(まつ)られてはるでしょ?」
ヘソ「ちょっと待てぇ! その前に、もう一つ神社を紹介せんと、あかんで、しかし!」
ミマキ「もう一つ? どういうことじゃ?」
ヘソ「詳しい年代は、分からへんのやけど、同じく大王の御世に、氷川女體神社(ひかわにょたいじんじゃ)も創建されてんのや!」
ミマキ「こちらも氷川か・・・。」
ヘソ「そうなんですわ。こっちの祭神は、女体という字のごとく、大国主の義母、櫛名田比売(くしなだひめ)が祀られとるんですわ。」
ガーシー「ちなみに、鎮座地は、さいたま市の緑区宮本(みどりく・みやもと)になりますぅ。」
ヘソ「まあ、そういうことで、三つの社(やしろ)は、親子関係になってんのや。」
ミマキ「なるほど・・・。それゆえ、全ての神社に『氷川』の文字が使われておるのじゃな?」
ヘソ「そう! その通り! そこで、こうも呼ばれてんのや! 氷川三社!」
ガーシー「まあ、そのまんまやけど・・・。」
ヘソ「何、言うてんねん! 怒るで、しかし! こっからが、大事なとこなんやで!」
ミマキ「大事? 大事とは、どういうことじゃ?」
ヘソ「実は・・・この三つの社・・・。」
ガーシー「暦(こよみ)を正確に把握するため、直線上に建てられたと言われてるんですわ。」
ヘソ「それは、わての台詞や!」
ミマキ「ヘソの台詞はともかく、暦を把握するとは、如何(いか)なる意じゃ?」
ガーシー「日照時間が最も長い、夏至(げし)の日、太陽は、西北西の氷川神社に沈み・・・。」
ヘソ「日照時間が最も短い、冬至(とうじ)の日、太陽は、東南東の氷川女體神社から昇るように、配置されてんのや!」
ミマキ「なるほど・・・。それで、稲作に重要な暦を把握しておったのじゃな?」
ヘソ・ガーシー「せやでっ!」×2
ミマキ「稲作の知恵が、神社の創建にも関わっておるとは・・・。これぞロマンじゃな。」
ガーシー「そうですねぇ。」
ヘソ「ほな、神社の紹介も終わったことやし、これで、お別れやで、しかし!」
ミマキ「左様か・・・。ヘソ・・・大儀であった。」
こうして、ヘソは引退したのであった。
それから、数日後か、数か月後のこと・・・。
宮中(きゅうちゅう)で、大事件が起こった。
ミマキ「して、宮中とは、如何(いか)なる意じゃ?」
ガーシー「えっ? いや、宮中って、字のごとく、宮の中っちゅうことやで。」
ミマキ「わ・・・分かっておる。読者のことを考えて、聞いてみただけじゃ。」
ガーシー「ホンマでっか?」
ミマキ「と・・・ところで、大事件とは、何が起きたのじゃ?」
ガーシー「それがですねぇ。上空に光る玉が出現したんですわ。」
ミマキ「ひ・・・光る玉? 太陽ではないのか?」
ガーシー「それが、どうも違うみたいなんですよ。」
ミマキ「こ・・・これが、UFOと申すモノか?」
ガーシー「まあ、未確認飛行物体と言われたら、そうかもしれませんねぇ。」
ミマキ「して、どうすれば良いのじゃ?」
ガーシー「どうするも何も、他にも光る玉が出現したみたいなんですよ。」
ミマキ「もう一つ、光る玉が出現したと申すか?」
ガーシー「そうです。なんや、針間国(はりま・のくに)にも出現したみたいなんですわ。」
ミマキ「針間と申せば、二千年後の兵庫県南部のことじゃな?」
ガーシー「そうですねぇ。せやけど、どうします?」
一体、どうするのであろうか・・・。
次回につづく
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