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JW423 総大将討死作戦

【東国鎮定編】エピソード14 総大将討死作戦


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

ここは、日高見国(ひたかみ・のくに:現在の茨城県)。

地図(日高見国→常陸国→茨城県)
地図(葦浦→霞ヶ浦)
地図(安婆の島→浮島)
地図(戦場:推定)

崇神天皇の伯父、大彦(おおひこ)と多建借間(おお・の・たけかしま)(以下、カシマ)は、賊の鎮定(ちんてい)に赴いていた。

賊の名は、夜尺斯(やさかし)(以下、さかし)と夜筑斯(やつくし)(以下、ヤック)。

砦(とりで)に立て籠もった賊を、おびき出すため、七日七夜を歌い踊り、偽(いつわ)りの葬送儀礼(そうそう・ぎれい)をおこなったのであった。

さかし「今日で七日目じゃ。これは、ひょっとすると、ひょっとするぞ!」

ヤック「私も同じことを考えていた。これは、総大将の『カシマ』が死んだということであろう。」

するとそこに、ヤマト軍の采女筑箪(うねめ・の・つくば)(以下、つっくん)がやって来た。

つっくん「もしかすると、そちらにも総大将が討死(うちじに)したことを報せたかもしれないんだってばさ。戦う意志が無いことも伝えたかもしれないってばさ。」

ヤック「なるほど・・・。そして、我々は、男女問わず、家族で出て来て、この踊りに参加したというわけかね? 騙(だま)されているとも知らずに・・・。」

つっくん「そういうことだってばさ!」

さかし「止むを得ん・・・。悔しいが、踊りに加わろうではないか!」

こうして、賊軍は、策略とも知らず、踊りに加わった。

それを見計らって、山蔭(やまかげ)に伏兵(ふくへい)を潜ませていた「カシマ」が叫んだ。

カシマ「今じゃ! 火矢(ひや)を射かけよ!」

ヤマトの兵たち「おお!」×多数

さかし「なに?! 火攻めじゃと!? おのれぇぇ! 謀(はか)ったな! 知ってたけど・・・。」

ヤック「ふっ・・・。とんだ茶番ではないか・・・。これでは道化(どうけ)だよ・・・。」

カシマ「皆の衆! いたく殺すぞ!」

大彦「いたく殺す・・・。大勢殺すという意味なんだな。その地が、伊多久(いたく)となり、奈良時代に板来(いたく)となったんだな。二千年後の潮来市(いたこし)潮来のことなんだな。」

地図(伊多久→板来→潮来)

カシマ「皆の衆! ふつに斬るぞ!」

つっくん「ふつに斬る・・・。ばっさり斬るって意味だってばさ。その地は、布都奈(ふつな)と呼ばれるようになったぜ。二千年後の潮来市古高(ふったか)のことだってばさ!」

地図(布都奈→古高)

カシマ「皆の衆! 安(やす)く斬るぞ!」

さかし「安く斬る・・・。たやすく斬るという意味じゃ。のちに、安伐(やすきり)という地名になったぞ。二千年後の潮来市古高の安波台(やすなみだい? あばだい? やすはだい?)と言われておるが、読み方も、具体的な場所も分からなかったのじゃぁぁ! 無念! グフッ。」

カシマ「皆の衆! 吉(え)く殺(さ)くぞ!」

ヤック「吉く殺く・・・。うまく殺すという意味だ。のちに、吉前(えさき)と呼ばれるようになった。二千年後の潮来市小泉南(こいずみ・みなみ)の小泉交差点近辺と言われている。」

地図(小泉南)
地図(吉前)

カシマ「・・・ということで、覚悟!」 

ザシュ!

ヤック「ぐはぁ! む・・・無念だ・・・グフッ。」

こうして、賊を滅ぼすことに成功したのであった。 

つづく

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