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JW264 神剣を祀りし社

【疫病混乱編】エピソード16 神剣を祀りし社


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

紀元前91年、皇紀570年(崇神天皇7)11月13日、式典が催(もよお)された。

大田田根子(おおたたねこ)(以下、田根子)を大物主神(おおものぬしのかみ)の祭主とし、大倭市磯長尾市(やまと・の・いちしのながおち)(以下、イッチー)を日本大国魂神(やまとのおおくにたま・のかみ)の祭主としたのである。

系図(磯城氏・大倭氏)

崇神天皇こと、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)は、そのために、ある準備をおこなっていた。

するとそこに、大臣(おおおみ)の物部伊香色雄(もののべ・の・いかがしこお)(以下、ガーシー)がやって来た。

系図(物部氏)

ガーシー「大王(おおきみ)! 出来たで!」

ミマキ「うむ。出来たか・・・。」

満足気な様子のミマキに、イッチーが尋ねる。

イッチー「何が出来たんですか?」

ミマキ「うむ。八十平瓮(やそひらか)じゃ。」

ガーシー「まあ、簡単に言うたら、神事に使う、たくさんの平皿っちゅうことやで。」

イッチー「それをどうするんや?」

田根子「祭神之物(かみまつりのもの)・・・すなわち、神に捧げる供物(くもつ)にするのです。」

イッチー「なんでや?」

ミマキ「エピソード44で、御初代様も平瓮(ひらか)を80枚作り、神に捧げておる。由緒有る、神事なのじゃ。」

イッチー「そうすると八百万神(やおよろずのかみ)が喜ぶんですか?」

ミマキ「そ・・・そうだと思うぞ。」

ガーシー「まあ、そういうことで、万事(ばんじ)解決やね?」

ミマキ「何を申しておる。あと一つ、大切なことが残っておるではないか!」

田根子「それは何でしょうか?」

ミマキ「他の神を祀(まつ)っても良いかどうか・・・それを伺(うかが)うのじゃ。」

そこに、中臣神聞勝(なかとみ・の・かみききかつ)(以下、ミッキー)がやって来た。

系図(中臣氏)

ミッキー「大王! 亀卜(きぼく)の支度(したく)が整ったよ! ハハッ!」

ミマキ「うむ。では、占おうぞ!」

こうして得られた結果は「吉(よし)」なのであった。

ガーシー「良かったですねぇ。」

ミマキ「うむ。早速、天照大神(あまてらすおおみかみ)はじめ、様々な神を祀ろうではないか。天津神(あまつかみ)を祀りし天社(あまつやしろ)、そして、国津神(くにつかみ)を祀りし国社(くにつやしろ)を建てるのじゃ!」

臣下一同「御意!」×多数

ミマキ「それだけではないぞ。神地(かんどころ)と神戸(かんべ)も定めるぞ。」

田根子「それは、一体、どういうモノなのでしょう?」

ミマキ「神地は、供物となる収穫物を育てる土地、神戸は、神に仕える者たちじゃ。」

イッチー「なるほど。奉仕する専門の人たちを設置するっちゅうことやね?」

ミマキ「まあ、そんな感じじゃ。」

田根子「では、これで、11月13日の記事紹介は、終わりですね?」

ガーシー「何、言うてんねんっ! それでは、終わらせられへんでっ!」

田根子「し・・・しかし『記紀(きき)』には、これ以上、何も書かれておりませんが?」

ガーシー「たしかに『記紀』には、書かれてへん。せやけどなぁ・・・。」

ミマキ「もしや『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』か?」

ガーシー「その通りですぅ。このときに、韴霊(ふつのみたま)の社(やしろ)を遷座(せんざ)したんですわ。」

ミマキ「ふつのみたま?」

イッチー「エピソード34で、武甕雷神(たけみかづちのかみ)から贈られた神剣のことやに!」

ミマキ「ああ、たしか、物部氏が祀っておるのであったな?」

ガーシー「せやでっ! エピソード70以来、わてら一族が祀ってたんやけど、今回、石上邑(いそのかみ・のむら)に遷したんやで。」

田根子「なぜ、遷されたのですか?」

ガーシー「そ・・・それは、今回のことを記念して、遷したくなったんとちゃうか?」

ミッキー「ようするに、ロマンってことだね? ハハッ。」

ガーシー「もうロマンで、ええわ。ちなみに、御先祖様の饒速日命(にぎはやひ・のみこと)が天から持って来た、天璽(あまつしるし)も共に納めましたんで、よろしゅう頼んますぅ。」

ミマキ「待て、待て。その石上邑とは、二千年後のどこになるのじゃ?」

ガーシー「ええっと・・・。奈良県天理市布留町(てんりし・ふるちょう)ですぅ。」

イッチー「石上神宮(いそのかみじんぐう)のことやに!」

ミッキー「ちなみに、拝殿(はいでん)は国宝なんだよ。ハハッ。」

地図(石上神宮)
石上神宮(大鳥居)
石上神宮(拝殿)

田根子「では、これよりは、この地を物部氏(もののべ・し)の根拠地にするということですか?」

ガーシー「根拠地というより、ヤマト王権の武器庫という見方が正しいかもしれへんなぁ。」

田根子「武器庫?」

ミマキ「そうなのじゃ。物部(もののべ)とは『たくさんの物』という意で、転じて、たくさんの武具を管理する役目になっておるのじゃ。」

田根子「なるほど・・・。武具を管理するのが、物部氏で、それを実際に扱うのは、大伴氏(おおとも・し)ということですね?」

ガーシー「そういうことやねん。せやけど、物部氏も戦(いくさ)に出る時は出るんやけどな・・・。」

ミマキ「危ない時は、皆で、力を合わせねばな。」

こうして、神々の怒りは収まり、疫病も終息していったのであるが・・・。

そんな頃、吉備(きび)の国では・・・。

地図(吉備)

吉備の住人、ジョンとヨーコが、海辺で作業をしていた。

そこに、ジョンとヨーコの息子、ジュリアンとショーンがやって来た。

ジュリアン「親父! おふくろ! なんか、変な舟が来とる!」

ショーン「父ちゃん! 母ちゃん! 舟から、変な人が降りて来たんじゃ!」

変な人とは、一体、何者であろうか? 

次回につづく

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