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JW187 風と共に去りぬ

【孝霊天皇編】エピソード42 風と共に去りぬ


第七代天皇、孝霊天皇(こうれいてんのう)の御世。

紀元前230年、皇紀431年(孝霊天皇61)。

ついに月支国(げっしこく)が攻めて来た。

地図(月支国)
笹福一行

出雲(いずも)とヤマトの連合軍は、日御碕(ひのみさき)にて、これを迎え撃つが、苦戦を強(し)いられる。

地図(日御碕)

そんな時、あの神様が現れたのであった。

あの神様「俺か?・・・・そう! 俺が! 俺こそが! 素戔嗚(すさのお)だっちゃ! 今日は特別に『スーさん』と呼ばせてやるっ!」

ヤマト・出雲・月支国のみなさん「ええぇぇ!!」×大多数

笹福「す・・・素戔嗚命(すさのお・のみこと)・・・。これは、如何(いか)なることにござりまするか?」

同じく、出雲君(いずものきみ)の知理(ちり)も困惑の色を見せる。

知理「神様が人世(ひとよ)に手出しするのは、御法度(ごはっと)なのでは?」

スー「まあ、基本的には、そうなんだが、汝(いまし)らの熱い想いが天に届いたんでな・・・。ついに! そう! ついに! 俺様の出番が来たんだっちゃ!」

ここで、出雲の家来、明速祇(あけはやづみ)(以下、あっくん)が吼えた。

あっくん「しばし、お待ちくだされ! 元々、この伝承では、月支国との防戦を繰り広げたは、みどもになっておるのですぞ! それが、出雲とヤマトの連合軍という、大掛かりなものになり、ついには、ス・・・スーさん・・・。もう、何が何だか!」

スー「安心しろい、あっくん。俺様が出て来るのは、伝承通りなんだに!」

芹彦「なんとぉぉ! スーさんの登場が真(まこと)で、それがしの登場が偽りとはっ!」

この展開に、月支国の王、彦波瓊王(ひこはに・おう)(以下、ヒコパ)と家来のヨンジュンが、過敏に反応した。

ヒコパ「ひ・・・卑怯(ひきょう)ニダ! 神様なんて、卑怯ハセヨ!」

ヨンジュン「そうニダ! 神様に敵(かな)うはずがないニダ!」

スー「そげなこと言われてもなぁ。そげに書かれちょるんだに。許せ!」

月支国のみなさん「ええぇぇ!!」×多数

ここで、知理の息子、世毛呂須(よけろす)(以下、ケロロ)が口を開いた。

ケロロ「そげに悔しいなら、月支国も神様を呼べば良いではないか!」

ヒコパ「よ・・・呼んでやるニダ! 後悔するハセヨ! 出(い)でよ! 神様!」

一同「・・・・・・。」×多数

ヨンジュン「お・・・王様! 月支国の神様なんて、作者も知りませんよ!?」

ヒコパ「あっ! そうだったニダ! ど・・・どうするニカ?!」

スー「よし! では、俺の攻撃だな! とくと御覧(ごろう)じよ! 俺の、俺による、俺らしい、風の舞(まい)!」

タケ「か・・・勝手に技名を付けて、よろしいのですか!?」

スー「許す!」

ヒコパ「う・・・うわぁ! す・・・すごい大嵐(おおあらし)ニダ!」

ヨンジュン「矢が全て、海面に叩きつけられ、船は木の葉のように揺れてるニダ!」

ヒコパ「そ・・・そして船と船が、ぶつかって・・・。」

ヨンジュン「木端微塵(こっぱみじん)になってるニダ!」

ヒコパ「このままでは、ウリ(私)たち、沈んでしまうハセヨ!」

ヨンジュン「アイゴォォ!!」

ヒコパ「アニョンヒケェセェヨォォ(さようなら)!!」

こうして、月支国の船団は海中に沈み、脅威(きょうい)は消滅したのであった。

知理「スーさん! 助かりもうした! かたじけのうござりまする!」

スー「良い、良い。当然のことをしたまでだっちゃ!  ところで、ここの地名は何であった?」

ケロロ「ひ・・・日御碕(ひのみさき)だに。」

鶯王「二千年後の島根県出雲市(いずもし)の大社町日御碕(たいしゃちょう・ひのみさき)にござりまするな?」

スー「そげだ(そうだ)。そこに鎮座(ちんざ)しちょるのが、日御碕神社(ひのみさきじんじゃ)だに。そして、俺様が祀(まつ)られちょるんだに!」

地図(日御碕神社)
日御碕神社(遠景)

みなお「エピソード94と95で紹介されてる神社でっか?」

大目「たしか、三代目様の御世の話なんじゃほい!」

歯黒「されど、もう一柱(ひとはしら)・・・祀られていたような・・・。」

ジョージ「その一柱とは、一体、誰なんだ?」

ヘンリー「それは、天照大神(あまてらすおおみかみ)だがん!」

ぐっさん「せやけど、なんで、スーさんだけ出て来て、天照大神は出て来んかったんや?」

ヘンリー「そげなこと、わ(私)にも分からんが!」

スー「まあ、あれだな。姉ちゃんは、基本的に引きこもりだからな・・・。天岩戸(あまのいわと)は知っちょるだろ? 責任放棄して、ネットサーフィンしちょったんだに。」

笹福「ねっさぁひん?」

スー「まあ、そういうことだっちゃ! それでは、さらばだにぃぃぃ。」

そう言うと、スーさんは、消えていったのであった。

マイケル「よう分からん言の葉を使っちょったなぁ。」

あっくん「と・・・とにかく、日御碕神社の神官は、みどもの子孫が努めまする。」

笹福「あっくんの子孫?」

あっくん「左様。宮司家(ぐうじけ)を務める、小野家(おの・け)は、みどもの子孫にござる。」

笹福「左様か・・・。」

知理「では、ヤマトの君。これで、ヤマトに帰られるんだな?」

笹福「いえ。このまま伯伎(ほうき:現在の鳥取県西部)に戻りまする。」

知理「なにゆえじゃ!? もはや、月支国が攻め込んで来る恐れも無いのだぞ!?」

笹福「左様ではござりまするが、印賀(いんが)の鬼退治が終わっておりませぬ。」

地図(印賀)

知理「あくまで、伯伎に留(とど)まると申されるか?」

笹福「出雲君のお許しをいただけるなら・・・。」

月支国の脅威は去った。

笹福は、出雲君の許しをいただくことができるのであろうか。

次回につづく

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