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Smashing! 佐久間イヌネコ病院

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佐久間鬼丸獣医師(受)と喜多村千弦動物看護士(攻)とその友人達のお話。 どうぞお楽しみ下さい!
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2022年1月の記事一覧

佐久間イヌネコ病院 luv.40 かっこかわいいあいらしい

今日は珍しく外で、雲母ハルちゃんと会うことになっている。俺は鬼丸に頼まれた限定焼酎を買うのもあってちょっと都会まで出たんだけど、その催事場の近くでハルちゃんが仕事があるっていうんで、一緒にご飯食べようかって話になった。 病院のほうは雅宗先輩が出てくれる日で全然問題ないから、俺はいろいろ頼まれたものとか自分の用事とか本とパンツとブルーレイ見たりとか、ハルちゃんと待ち合わせ時間までけっこう忙しいんだよ。これでも。そして大きな繁華街を抜けたとこにある古めかしいホテルのカフェ?

佐久間イヌネコ病院 luv.39 ゆいいつむにのそんざい

「和尚と真々部さんって付き合ってるんですか?」 【【 いんやぜんぜん何言っとんの!】】 修行中の僧侶見習・徳河慶喜と毎回同じやりとりを繰り返しているのは、佐久間の実家の善宝寺住職・妙達こと達丸と、その幼馴染でキャラクターデザイナー・無駄にマッチョな真々部千秋。二人は親友で大の仲良しで、事あるごとに寺や屋台なんかで「般若湯」を飲み比べたりしている。大晦日は達丸の弟・佐久間鬼丸とその恋人の喜多村千弦のところまでスノボ修行(?)がてら、鬼丸たちに肉やお年玉を届けに二人で出かけ

smashing! おれらとダウンロードしよ

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗。同僚で後輩の設楽泰司とは付き合っている間柄。 今日は伊達の出勤日。そして土曜日なので半ドン。今って半ドン言わないんだっけ?昨日出たばかりのゲームソフトを机の上に置きっぱなしだったことを思い出し、リビングに戻った喜多村は伊達を見て思わず笑った。早速そのゲームを始めていたからだ。あとでポケのモンのPTでUナイトしよって言ってたのに。 「雅宗先輩、今

smashing! きみおもうこころのそこに

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。その経理担当である税理士・雲母春己。そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗は恋人同士である。 今日は遠方での研修で設楽が不在の日。残念だけど、せっかくの雲母との時間を満喫しようと、伊達は夕方から色々と準備していた。夜勤続きの次は半日勤務が続いたりして、シフトに慣れるのは大変だがこんな楽しみもある。 帰ってきた雲母と一緒に風呂に入り、広いリビングの一角を陣取るコタツに並んで潜り込む。ワ

smashing! はらたまきよたまののちに

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。 寝ても何しても疲れが取れないこともある。喜多村と佐久間は最近、ちょっとだけ疲れが溜まってるかな、そう思うことが増えた。ちょうど家に昼ご飯を食べに来ていた伊達が「あれよほら、そろそろ疲れ取れにくくなるゾーンかもよ」などと言い残し、迎えに来た雲母とイチャイチャ絡み合って帰っていった。これだから20代寄りってのは。 「ちょっと厄とか溜まってるんかもなあ」 「千弦、ちょっと昼終わったら出ようか」 「?なんだ?銭湯と

smashing! おまえのかけらはおれのいちぶ

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。 喜多村が佐久間と一緒に暮らし始めてから、全ての行動や選択を自然と佐久間に譲ることが多くなった。もちろん自分でも選ぶことはするが、何より佐久間の意思、それが喜多村にとっての第一条件だからだ。 喜多村が一人で過ごす時、大抵は家の中やその周囲にいることが多い。一度ここと決めると、自身の拠点となる場所からはあまり遠ざかりたくない。そんな所がある。 今日、佐久間イヌネコ病院は午前のみの日。ただ、処方するはずの薬が少し

smashing! さんかくなのにまるいよる

「ただいま帰りました」 「お帰りなさい雲母さん」 佐久間イヌネコ病院から少し郊外にある、伊達の所有する平屋。夕方少し早めに帰宅できた雲母は、玄関を開けてすぐ漂ってきたいい匂いに目を輝かせている。 「焼豚を作ったので。大吟醸と合わせようと思って」 「…設楽くんは焼豚も得意なんですね!」 「家族多いと、作った方が安上がりだったんです」 よかったらお風呂、先にどうぞ。設楽はなぜかカフェエプロン姿。伊達が持ってたものを勿体無いからと着ているらしい。すごくお似合いですね。雲母が嬉

smashing! まなざしにとらわるものは

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗と経理担当である税理士・雲母春己は恋人同士。そして二人と一緒に住んでいるのは彼の後輩、設楽泰司。 「…よかったまだ誰もいないな」 雲母のペントハウス。夕方早めに帰宅した設楽は、さっき職場である大学病院を出てからずっとあのあたりがタッ…ていた。某六つ子用語ではタッティともいいますね。 先日退職した教授が職場を訪ねてくれて、シフト別でランチに行った

佐久間イヌネコ病院 luv.38 にあわないがにあう

雲母さんは伊達さんの恋人でパートナーで、その伊達さんとオレも付き合ってて。オレたちは三人で二軒の家を共有している。三人暮らし、人にはルームシェアとか言っとけばスルーしてもらえるから問題はないけど、確かにちょっと奇異な関係ではある。 伊達さんが夜勤や佐久間さん達と用事があったりすると、よくオレと雲母さんと二人で過ごしたりする。一緒に買い物行ったり飯を作ったり。基本、三人でいる時と変わらず。ただ違うのは、オレ達はまるで兄弟や親友のような間柄だってところ。 今日は雲母さんが

smashing! ところてんとあくりょくと

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。第4土曜はお休みですが1月はやっております。週一でここに勤務している獣医師(理学療法士)伊達雅宗は佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士の先輩。 今日はちょうど出勤日だった伊達雅宗。さっき佐久間と喜多村が近隣商店街の急な用事で出かけてしまい、帰りが読めないという。その間の掃除だのご飯作りだのお泊まり準備諸々を引き受けた上で、リビングでのんびりごろごろ昼寝していた。すると毎度玄関ワンノックオープンでやってきたのは

smashing! ひかりあふれるこころで

大学付属動物病院獣医師・設楽泰司。週一で佐久間イヌネコ病院に出向している理学療法士・伊達雅宗は彼の先輩で恋人でもある。 設楽家末弟・泰良は昔から、5つ上の五男・設楽泰司に懐いていて、逐一近況を聞きたがる。着るものやゲームも、昔から設楽と同じものを欲しがりそして同じ大学にも入った。 「俺さ学部違うけど、あの伊達さんの知り合いって人いっぱいいるんだね。こないだなんか飯奢ってくれたよ」 「…まあ、いろいろいるからなあ」 「知り合いだけじゃないの?」 「あの人モテたからな」 ふ

smashing! ふきのとうはなさくころ

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。彼らの友人、小越優羽と結城卓。彼らは同性で恋人同士。小越は売れっ子の若い庭師。結城は元不動産会社エリート営業。 大寒は「寒の中日」という最も寒い日のことを指す。そう称される今日は、小越優羽の誕生日だ。お正月の神様がお帰りになる日だと、小越の実家や昔からの庭師仲間の間では、基本仕事を休むことが多い。 佐久間イヌネコ病院屋上広場。普段は外階段からも登れるようにもなっていて、友人たちや来院した飼い主の方々にも解放さ

smashing! ちいさくてあまくてうまい

大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗と税理士・雲母春己は付き合っている。そして最近、伊達の後輩獣医師・設楽泰司も二人と一緒に暮らし始めた。 「あ、ちょっとコンビニ寄ります」 今日は肉ランチ食べいこう。設楽のでっかいハマーに乗り込んだ三人。設楽の兄が浮かれて買ったのはいいが大きすぎて持て余し、この弟のところに回ってきた逸品だ。しかも燃費良くないしデカいし、それでも設楽は割と気に入っているのだと言う。親近感なん?茶化す伊達。コンビニで買い込んだおやつやジュースを広げて、後部

smashing! あのコーガンのゆくえとは

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗は経理担当である税理士・雲母春己と付き合っていて、後輩の設楽泰司とも恋人同士だ。 「なー設楽あ俺今日マグロ食べたい気分なんよー」 「ちょっとマグロは無理そうなんで、他ので巻き物をつくります」 「えなんの!巻き物出るの!」 「まあ、ちくわでですが」 毎度設楽の実家。毎月の「お手伝い」作業を終え、これから雲母の待つ家(今日は伊達の家のほう)に戻ろうと