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佐久間イヌネコ病院 luv.39 ゆいいつむにのそんざい
「和尚と真々部さんって付き合ってるんですか?」
【【 いんやぜんぜん何言っとんの!】】
修行中の僧侶見習・徳河慶喜と毎回同じやりとりを繰り返しているのは、佐久間の実家の善宝寺住職・妙達こと達丸と、その幼馴染でキャラクターデザイナー・無駄にマッチョな真々部千秋。二人は親友で大の仲良しで、事あるごとに寺や屋台なんかで「般若湯」を飲み比べたりしている。大晦日は達丸の弟・佐久間鬼丸とその恋人の喜多村千弦のところまでスノボ修行(?)がてら、鬼丸たちに肉やお年玉を届けに二人で出かけたばかり。
「よっちゃん、今日真々部が来るから、つまみ作ってくれんかな」
「じゃあ、お麩で串カツして、あと野菜を揚げましょうか」
「ええなそれ!よっちゃんはほんっとセンスええな〜」
達丸は本堂の片付けを終え、住居部分の居間のコタツに「般若湯」やなんかを並べ始める。ママ来たらハブ酒も呑ませたるわ。達丸は上機嫌で徳河に話しかける。
小一時間で真々部が到着。寒い寒いとコタツに突進し達丸に足蹴にされている。この二人はつまみを取り分けるのも、相手のぐい飲みに酌をするタイミングも実に「合いすぎて」いる。付き合ってないって言ってたよなあ。下戸である徳河は烏龍茶を飲みつつ、二人の顔を交互に見やった。
「まーたよっちゃんはなんか言いたそうにしとんな」
「えーまたあ?俺と達ちゃんは何でもないのよお!」
「ママよ、それだとゲイバーみたいなる」
「あらほんと」
それほど酒の強くない二人は、回ってくるといろいろ豪快に騒ぎ出す。あそろそろおつまみ追加しないと。場を読んだ徳河が台所に立とうとすると、達丸がふらっと徳河の肩を掴んだ。
「俺あ小便いくけど、帰りなんか持ってこようか?」
「えーじゃあナッツとか食べたいなー」
「よっちゃんは」
「俺はいいです。和尚、大丈夫ですか?」
じゃあ行ってくら。すこし覚束ない足取りで出て行った達丸を、真々部はしばらくその様子を見、こっそりコタツに戻った。
「ほんと、真々部さんは面倒見がいいですね、俺てっきりお二人が…」
「それ、すっごい昔から言われるのよね」
「昔から?」
「そうなの。でも俺たちチューもしないしお互い見てコーフンなんてしないし。全然そういう仲でもないの」
でもね、俺には達ちゃんしかいない、と思ってるのよ。それこそ、病める時も健やかなる時もね。だって。達ちゃんは俺にとって特別な存在なのは確かなんだから。
それが恋愛感情じゃなくても、体を繋ぎ合わせる必要がなくても、お互いにとって唯一無二でいられる、それはある意味何よりも純粋で尊いものなのか、と徳河は思った。
/佐久間達丸
真々部千秋
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佐久間イヌネコ病院
裏設定とやらを除くと
もうすぐ300話目㊗️となるようです!
八割方食べたり呑んだりですが
ずっとお付き合いくださり
皆本当に感謝しております
(院長・魔神先生)
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