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smashing! ちいさくてあまくてうまい

大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗と税理士・雲母春己は付き合っている。そして最近、伊達の後輩獣医師・設楽泰司も二人と一緒に暮らし始めた。

「あ、ちょっとコンビニ寄ります」

今日は肉ランチ食べいこう。設楽のでっかいハマーに乗り込んだ三人。設楽の兄が浮かれて買ったのはいいが大きすぎて持て余し、この弟のところに回ってきた逸品だ。しかも燃費良くないしデカいし、それでも設楽は割と気に入っているのだと言う。親近感なん?茶化す伊達。コンビニで買い込んだおやつやジュースを広げて、後部座席の伊達と雲母がはしゃいでいる。どうやらジュジュなんとかの一番の当たりが出たらしい。

「あまりお菓子を食べないでくださいね。肉が入らなくなるよ」
「へいきへいき」
「こういう食玩のお菓子って、激甘のがちょっとしか入ってませんよね」

あーわかるわーちっさいラムネ?あれって永遠に溶けないんよね。そんなことを言いながら伊達が結構マズうま好きなのを二人は知っていて、こっそりおまけのラムネを取っておいてやるのだ。

「ハルちゃん、そっちのやつおいしい?」
「なかなかですよ?食べますか?」

伊達は悪戯っぽく笑って雲母の唇にキス。雲母は全く動じることなく微笑んで目を閉じる。二人でキャッキャウフフでチューですかこの野郎。あこれおいしいねえ。どうやら雲母の食べていたグミみたいのがお気に召したらしい。設楽にもあとであげるからねえ。後部座席の二人の指先には小さなラムネと綺麗な色のグミ。

そして伊達の尖らせた唇が、小さな音を立てた。


なるほど、激甘な予感だ。





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