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Smashing! 佐久間イヌネコ病院

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佐久間鬼丸獣医師(受)と喜多村千弦動物看護士(攻)とその友人達のお話。 どうぞお楽しみ下さい!
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2021年4月の記事一覧

smashing! そういますぐおれと

俺が忙しくて鬼丸と中々触れあえない、以前そんなことが数回あったが、鬼丸の方が忙しくて俺をかまってくれないのは、これが初めてだ。 ほんとごめん千弦ごめん。鬼丸は色々説明してくれてたけどお前がいないんなら何でも同じなんだ。 日中はちゃんと仕事して、終わるとすぐまた鬼丸は出掛ける。金鳥社長、ここを手配してくれた不動産屋さんなんだけど、どうやらその社長に鬼丸は時間が空くと駆り出されている。今日は無理言って雅宗先輩にも来てもらった。佐久間大変だな!でもあとで肉奢ってもらえるかもよ?脳

smashing! はじめてなきみとのデート

佐久間イヌネコ病院。週一でここに勤務している理学療法士・伊達雅宗は佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士の先輩。この病院の税理士・雲母春己と付き合っている。 今週もなんやかんやで遅くなった。いつもなら佐久間達の家に前乗りするはずが、結局当日の朝ギリで到着したり。そんで今日は予防注射ラッシュ。佐久間と俺は注射マシーンと化した。でも今日一番大変だったのは千弦だったと思う。他の用事全部頑張ってくれたから。でもあいつずっとジュンレツ歌ってたから疲れてないかもしれんわ。 佐久間達の

smashing! ガチホラーとおれたちと

佐久間イヌネコ病院。そこで働く佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士の友人、結城卓とその恋人・小越優羽のマンション。 「…ギャーーーーー!!」 「ウアーーーーーー!!!」 今夜は結城宅で改めて明太子食べ比べ丼の会。メンバーは結城、小越、佐久間と喜多村、そして雲母。伊達は珍しく夜勤につき涙の不参加。メーカー別明太子数種類と、九州物産展で入手した限定焼酎を堪能しながら楽しむのはテレビ番組。 結城と小越が大好きな、心霊特集である。 「うしろうしろうしアッーーーーー!!」 二

smashing! おまえをたよるこころ

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。 明日水曜の診療は午前中のみ。 火曜水曜はすこし羽目が外せるせいか、友人達と呑み会をやったりするが、久しぶりに今日は二人きり。軽く呑もう、そんな流れになって。佐久間の好きな古い洋画やなんかを観ながら、とりとめの無い話をする。今日の映画は「太陽がいっぱい」。 ザル・佐久間のピッチにつられないよう気を付けてはいるが、そのうち喜多村の挙動が怪しくなり、佐久間が軽いつまみを持ってキッチンから戻ってくると、ソファの背もた

smashing! かんちがいでどちゃしこ

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。 本日、院長の佐久間の具合がどうにもよろしくない。 大きめの医療用マスクで顔中を覆い、診察時は極力息を止める。元から持っていた花粉症と風邪がマッチングし、マスクの中は目と鼻からの水がダダ漏れなのだ。 会話通訳は助手・喜多村が速やかに行う。飼い主からの心配の声に、これも喜多村がムード歌謡よろしくムーディヴォイスで応対。一体ここ何の病院?ていうかクラブ?喜多村先生いつもの唄って!オッケーあいをください〜!(あいを〜

smashing! ほぐしまくれおれたち

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。 週末の二階住居。 「アタタ…」 「もうすぐ解れるから。もうちょっとこう…」 珍しく総勢6名が集まった夜。みんなの日頃の疲れを癒やしてやろう。そう思い立ったのは佐久間と結城。佐久間は実家の寺で身につけた僧侶の間で行っていたワットポースタイル(ガチ)。一方の結城は一体何処で覚えたのかは不明だが、柔らかい全身をフルに使った性感(?)でなくてリンパ的マッサージ。佐久間はこれに骨抜きにされたこともあり、二人でそれぞれ

smashing! おれたちのてだすけ

佐久間イヌネコ病院。毎週末にヘルプでやってくる理学療法士・伊達雅宗が佐久間の急な往診で前倒し勤務になったため、久々の静かな週末である。 「鬼丸さ、今日俺がご飯作ってもいい?」 「いいの?じゃあ、足らないのあったら買ってこようか」 「…そんじゃお願いしようかな」 近所の大型スーパーマーケットは夜11時まで営業。それでも夕方のこの時間は仕事帰りの人でかなり賑わい、おかげで特価だのタイムセールだの楽しい催しに参加できる。佐久間は激安特価お買い得が大好きだ。 「えっと、生わさび

smashing! かれらのアスタリスク

佐久間イヌネコ病院。診療を終えた午後7時。 本日、佐久間は朝から遠方での急な往診に出掛けた。 それで朝イチでいつもの理学療法士・伊達雅宗にヘルプをお願いするも「流石に昼過ぎる。でも絶対行くからそれまでなんとか繋いどいて!」芸人か、なリアクション。運の良いことに午前中は薬と爪切りだけで済んだ。昼過ぎから伊達が無事到着し、喜多村は事なきを得たのだ。 診療後、佐久間から「ごめなんかすっげ持てなされてるご馳走されてる悪いから食べてくから遅くなるごめ」句読点なしのノンブレスメール。

smashing! せんせいのごさん

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士の二人が働いている、佐久間イヌネコ病院。水曜は朝診のみ。 二階住居。 この建物に転居してきて初めて、先日、住居部分の大がかりなリフォームを行った。元々佐久間の一人暮らし仕様になっていたのと、喜多村の永久就職もガン決まりな今、なにかと手狭になっていたからだ。 ここに来た当初から床を隙間無く覆っている数枚のペルシャ絨毯は、結城と懇意にしている金鳥不動産社長から貰ったもの。ちょっと型落ちだったんで差し上げます。そういってくれた社長は結局値段

smashing! おれはきろくほじしゃ

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士の二人が働いている、佐久間イヌネコ病院。 「鬼丸もっさもさ」 「な。早く改装おわんないかな」 佐久間の頭が大変である。ただでさえ癖毛で猫っ毛なのに、湿気を帯びると膨らみまくり、頼りにしていた馴染みの理容院は改装工事で来月までお休み。先日結城に貰ったヘアゴムで括ってはみたが、その都度喜多村の萌えがリミットブレイクするため迂闊にこの手は使えない。 「あのさ、千弦さ」 「なに?あのきんたまのゴムで縛ってくれるの?」 「いいの。きんたまは使

smashing! きみをはばむものを

佐久間イヌネコ病院、佐久間鬼丸獣医師&喜多村千弦動物看護士の友人、雲母春己・税理士。彼は少し前から、佐久間達の先輩である伊達雅宗・理学療法士と付き合い始めたのだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「伊達さん大丈夫でしたか?」 「ありがとハルちゃん!やーまいった。急に雨降ってくるから」 伊達さんは週末になると、鬼丸くんたちの病院に週一勤務でやってくる。前日入りすることで必然的に酒が入るため、病院に来るときは伊達さんは電車を利用する。僕が鬼丸くんちに迎えに行く

smashing! ろくときゅうのあいだで

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。週末。大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗が週1勤務に来てくれる日。 「こんにちわ!今日はどうされました?」 いつものように爽やかヴォイスで問診する喜多村。ただ微妙に違うのは、本日の彼はほぼ直立不動の姿勢しかとらないということ。 「すみません伊達先輩…」 「いやもう全然俺はいいんよ、けど、どしたん千弦」 言えるような理由ならばとっくにネタバラシてるのだが、とても真正面からは言えない。佐久間は言葉を濁しな

smashing! きみへこころはせ

喜多村千弦。現佐久間イヌネコ病院動物看護士。 彼は同じ病院の院長、佐久間鬼丸と付き合っている。 付き合うというより、再会してすぐ同居した。荷物なんかは後日持ち込んだが、会ってその日から何の違和感もなく喜多村は佐久間の家に溶け込んでいた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 再会し同居した次の日。 「千弦、何食べたい?」 「あ!俺ね!鬼丸のなら何でもいい」 「何だよそれ」 「もう、お前がいるだけでお腹いっぱい。あでも腹は減った」 鬼丸は笑いながら、それでも少し

smashing! さらにめしませせんせい

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士とが働く、佐久間イヌネコ病院。水曜の診療は午前のみ。 「ここのって火力強くて好き」 「雅宗先輩、手止まってる手」 「もっと優しくして…」 月に数回、佐久間の実家である善宝寺住職・達丸から届けられる「ふるさと便」。焼酎や日本酒の他、冷凍名古屋コーチン数キロ、ご当地名産品、なんか貰った野菜たくさん(今回はインゲン)、兄おすすめの駄菓子なんかがこれでもかと詰まっている。喜多村は「ふるさと便」を佐久間よりも楽しみにしていて、最近では率先してお