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ポテチをのぞく時、ポテチもまたこちらをのぞいているのだ。

ニュージーランド27日目。
天気、曇り。気温、15度。寒いのがデフォ。もう慣れた。

最近コメントをちょくちょくいただくのだけれど「大変参考になりました」とか「大変勉強になりました」系の、いわゆるテンプレコメントが多い。

あれだ、たぶん、どうせ「大変参考になりました」とコメントして、自分のページへの集客を促しましょう!みたいなことを、加入しているスクールやらオンラインサロンやらにでも言われているのだろう。

参考になるのは大いに結構だけれど、フラットホワイトの神様に対する熱い思いを延々と述べる日記から、一体何を参考にしているのか、できたら教えてほしいです。よろしくお願いします。




フラットホワイトの神様といえば。今日は朝、鶏のお世話と庭の掃き掃除を終えたら、午前中のお仕事が終わってしまった。家の中の掃除を集中してやるらしいので、本日のお仕事は午後がメイン。

空き時間ができたので、せっかくだしお目覚めコーヒーでも頂こうかしら、とフラットホワイトの神様に会いに行った。

いつもよりずっと早い時間に町へ出ると、登校中のキッズがたくさん。そっか、今から学校なのか。日本と違ってランドセルなんてものは見当たらず、親と一緒に歩いている子、なんなら裸足で歩いているたくましい子もいる。ニュージーランドに来た、って感じがする。

カフェに行く前にスーパーに寄る。お目当てはポテチ。日本にいるときはそうでもないんだけれど、外国に行くと途端に「スナック大好き人間」と化してしまう。

10月に韓国は釜山に行った時も、普段は全然食べないのに、ポテチを大量に買ってしまった。

小さい頃からスナック菓子はあまり食べない(というか食べさせてもらえない)家庭環境だったので、お菓子といえば、母が作るアップルパイやスコーンやプリンなど。意識が高いとかじゃなくて、単に母の趣味がお菓子づくりだったからだと思う。

たまに食べるポリンキーやとんがりコーンは「おばあちゃん家に帰る時に食べるドライブスナック」だし、ときどき友達のお家で出してもらうポテチなんて「口の中に刺さりまくるだけの塩辛い芋」だと思っていた。(生意気でごめんなさい)

社会人になって恋人ができると、雨の日の休日はお家で映画デートをした。そういう時に出てくるのが決まってポテチ。だから私にとってポテチは、いつもとは違うところで食べる、特別なお菓子。

でももう大人なので、自分で食べたいお菓子は自分で買える。ときどき思い出したように「ポテチ食べたいな」なんて買ってみては、日本の不景気を袋の中に見て悲しくなってしまう。


韓国で買ったポテチも、ここニュージーランドで買うポテチも、袋の中はポテチでいっぱいだ。

韓国は今、日本のカルチャーを追い越す勢いで経済が上を向いている。アイドルだけの話じゃなくて、全体的なカルチャーが上向きな気がする。ニュージーランドに来ても「韓国人が経営しているカフェ」は異常におしゃれで、美味しくて、人気が高い。韓国発のフライドチキン屋さんも次々とオープンして、連日繁盛している。

ポテチの袋の中には、その国の未来が詰まっているのかもしれない。ポテチをのぞく時、ポテチもまたこちらをのぞいているのだ。


そんな訳で、豊かな国で買ったポテチを片手にカフェに向かう。お店に入ってびっくり。長蛇の列。そっか、朝だ。通勤途中の人、子供を学校に送った人で賑わっている。優雅にベーグルやチキンラップなどで朝食を楽しんでいる人も。

列に並んで待つこと数分。すっかり染みついた「ラージサイズ、フラットホワイト、お持ち帰りで」と唱えて、キープカップを渡す。ときどき見かける店員さんが「はーい」とスマイルを投げかけた後、「あれ?なんだっけ?もう一回いい?」とはにかんだ。

エスプレッソマシンの奥に神様を見つける。いつものように手際よくチャキチャキとコーヒーを作り、常連さんと楽しそうに会話している。このひと、いつも楽しそうに働くんだよなあ。すてき。

カウンター席に座って待っている間、ただひたすら声優の神谷浩史さんのことを考えていた。私は神谷さんが大好きで、神谷さんのラジオをずっと聴いている。日本にいた時から続いている習慣で、遠く離れた異国の地でも、神谷さんの笑い声や罵声が聞けるのは、いい時代だなあとか考えていた。

神谷さんも、仕事に対する姿勢がとてもすてき。真摯だ。私は別に声優さんではないのだけれど、そういう真摯な姿勢は真似しなければならないなあ、とか背筋を伸ばしている間に、神様がやってきた。


右手にカップ、左手に蓋。両手スタイル!これは!と思い、目の前に置かれたカップを覗き込むと、やっぱりそこにはハートがあった。

目の前のハートに感動していると、神様はとてもきれいな日本語で「どうぞ〜」と言って、私の肩にポンと触れた。ええ、何それ、反則じゃないですか。他の男(神谷さん)のこと考えてたよ、ごめん。


スキップしたい気持ちを抑えて家に向かう。通勤ラッシュのせいか、車がビュンビュンに道を通る。困ったな、この道路を渡りたいんだけどな、とタイミングを見計らっていると、少し離れたところに「STOP」の旗を持ち、蛍光ベストを着たおじいちゃんがいる。

おじいちゃんに近づき「あの、ここを渡りたいんだけど、ちょっと難しくて・・・」と伝えると「だよね!でも大丈夫、ついてきて!」と、元気よく私を連れてSTOPの旗を掲げた。

さっきまでのビュンビュンが嘘のように車はぴたりと止まり「気をつけてな〜」とおじいちゃんが見送ってくれる。ありがとう、ハバナイスデイ、と伝えると、笑顔でSTOPの旗を振ってくれた。

道路を渡り終わって振り返ると、まだこちらを見ていてくれたので、大きく手を振った。

ハバナイスデイ、なんてすてきな言葉。
今日はぜったいにいい日になる。神様とSTOPおじいちゃんの1日も、いい日になりますように。そして皆さんの1日も。

今日も生きようね。




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