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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(20)

今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(20)

最後の夜
キチママたちが家を出る前日、

いつもの通り、食事を済ませてタバコを吸おうと席を立ったとき、娘が「Sama ako(サマ アコ)」と言い出した。

Sama ako(サマ アコ)とは、タガログ語で「私も一緒に」と言う意味だ。

娘は私にべったりで、仕事から帰って寝るまでずっといっしょにいたがる。トイレや一服に行こうとしても、ついてきたいと言い出す。

「駄目だよ。」と言ってもついてくるの

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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(19)

今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(19)

決別

それから何事もなく、週末を迎えた。

もう忘れてるんだろうなと思っていた頃、私が娘と遊んでいて、携帯を部屋に取りに行った時、ベットで横になっていたキチママが、

「来週出ていくから。もう次の家も決まって頭金も払ってるんだ。明日まで当面の養育費、用意してね」と顔もあげようとせず、そんな話をしてきた。

え?前金払ったって、どこにそんなお金が?

一瞬凍りついた。

キチママにはそんなにお金を

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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(18)

今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(18)

終わりの始まり
大丈夫ですか?

と部下に言われて初めて気づいた。

ミーティング中、無意識のうちに自分の腕をかきむしって血が出ていた。犬を飼ってまだ3日目なのに、もうアレルギー症状がでてるのか?

「そんなの気持ちの問題だ。気の持ちようでどうにでもなる。かゆくないと思えばかゆくない。」

そう、アトピーのことを母に言われたことを思い出す。

いや、かゆいものはかゆいよ、母さん。

それに気持ちも

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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(17)

今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(17)

お犬様

ある日、居候(姉)が子犬を連れてきた。

昼寝から起きると、一階で犬のカン高い鳴き声を聞いて驚いていってみると、白と黒の雑種がリビングを走り回っている。

なんで?

と、キチママに聞くと、居候(姉)の友人の子犬が生まれたので、育て親を探していたのでもらってきたというのだ。

知ってたの?

と聞くと、「うん」と答えるキチママは嬉しそうだ。

ちなみに、私は子供の頃から犬が大嫌いだ。

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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(16)

今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(16)

居候との生活ある日、仕事から帰ると、キチママの親戚の子たちが来ていた。1人は今年18歳の女の子でもう1人は6歳の男の子だ。

ちょうどクリスマスの時期だったと言うこともあり、親戚の子達が家に来てるのはそんなに珍しいことじゃない、そう思っていた。

私も子供のときは毎年夏休みになると東京から従兄弟たちがきていたので、そういうのは慣れているが、「何でこの子達いるの?」ってキチママに聞いたら「学校が休み

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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(15)

今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(15)

2020年 大晦日 ⑵大晦日の夜、キチママからラインがきた。

「私が戻る前に、クリスマスツリー片付けてなかったら、本気で怒るわよ」

自分で散らかしておいて何を言ってるんだろうこの人は。

「自分でやったんだから、自分で片付けてよ」と返信したら、「だったら、もう出てく。戻るまでにお金を用意しておいて」

と、生活費を含めて30000ペソ(約6万円)の費用を請求してきた。

それに、クリスマスや大

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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(14)

今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(14)

2020年大晦日(1)ブブゼラのようなラッパと爆竹を鳴らして飲んで歌って大騒ぎするのがフィリピンの正月だ。

だから、コロナがまだ収束してなかったため、政府が全国的に外出禁止と移動規制を敷いた。

毎年、うちでは家族旅行をしているが、そんな理由もあり、今年はゆっくりしようと思い
年末までに簡易浴槽やそば、餅を買って、のんびり年を越そうと思っていた。

そんなとき、キチママが「仕事、何日まで?今年は

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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(13)

今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(13)

2020年クリスマス
毎年クリスマスや正月は家族旅行をしていたのだが、コロナウイルスでその時はまだ旅行ができなかったので家で過ごす予定だった。

そんなとき、キチママが「クリスマスにお姉ちゃんの旦那さんがリゾートを貸し切って、親戚を集めてパーティーをするから行こうよ!」

といきなり、言ってきた。

フィリピンはキリスト教で、クリスマスは家族一同集まって食事をするのが一般的である。

キチママのお

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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(12)

今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(12)

姉妹
キチママは家族を大事にする。それは異常なまでに。

特に姉と妹のことが、これまで一番大事だった。(ちなみにキチママは次女)

長女については、「今までずっと一緒に助け合って生きてきた特別な存在。姉がいなければ私は生きていけない」と言うほどで、尊敬もしてるし、畏怖もあった。姉に怒られると思えば、キチママは何でもする。 

私も初めはこの姉と一緒に住んでいたが、姉が今の旦那さんと知り合ってから、

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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(2)

今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(2)

フィリピンは女性の社会的地位が高い国で、女性を守る法律が多い完全な「女性社会」だ。

そのため、女性を守る法律が多い。

例えば、男性が女性に暴力を振るうと逮捕されるが、女性が男性に暴力を振るうことは法に問われない。

だからか、女性はプライドが高く、滅多なことでは折れない。

これはうちのキチママに限ってではなく、今まで付き合ったフィリピンの女性がみんなそうだった。

ちなみに、今までのフィリピ

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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(11)

今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(11)

家族「だったら、もう別れる」

そんなことを言うのは、1ヶ月に数回あり、自分の思い通りにできなかったり、ほしいものが手に入らななかったりするとすぐそう切り返してくるのがキチママなので、もう慣れてしまった。

そういう風に言えば、娘と離れたくない私はキチママの言うことを聞かないといけなくなると、思っているからだ。

彼女はよく、「金さえあれば、子供に父親はいらない」と言う。

なぜなら、キチママには

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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(10)

今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(10)

すぐ暴れ出す

キチママは感情的になり易く、突然暴れ出す。

機嫌がいい時と、悪い時の差が激しく、その周期がだいたい長くて2〜3週間、短くて数日間ごとに繰り返す。

機嫌がいいと、青天井で何をしても怒らないし、大丈夫、疲れてるの?マッサージしてあげようか?なんて、気持ち悪いことを言ってくる。

この機嫌がいいときと悪いときの周期が年々短くなってきている気がする。

幼稚だから、感情のコントロールが

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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(9)

今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(9)

仕事
キチママは職場や会社というのを理解できない。

だから、私の仕事や立場というのを考えることができない。もちろん、サポートしてほしいとか、そういうことではなくて、単純に勤務先のことや私の仕事に首を突っ込まないでほしいという意味だ。

私は職場で日本人というのもあり、管理職についているのだが、キチママは会社の管理職の妻=自分も会社で重要なポストが与えられるものだと勘違いしている。

だから以前、

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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(8)

今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(8)

一人娘
私には一人娘がいる。

毎日仕事から帰ると、「ダディ、ダディ」と玄関まで飛び出してきてバグをしてくれて、

「サマ アコ(私も一緒)」

と言ってどこに行くにもついて来て、寝るまで私にべったりの可愛くてしょうがない娘だ。

フィリピン人特有のダンゴっ鼻と太陽のような大きなオデコ。目は自分に似て、日本人の奥二重を持っているフィリピン人と日本人のハーフだ。

くるくるとした自分と同じ癖っ毛で、

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