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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(16)

居候との生活

ある日、仕事から帰ると、キチママの親戚の子たちが来ていた。1人は今年18歳の女の子でもう1人は6歳の男の子だ。

ちょうどクリスマスの時期だったと言うこともあり、親戚の子達が家に来てるのはそんなに珍しいことじゃない、そう思っていた。

私も子供のときは毎年夏休みになると東京から従兄弟たちがきていたので、そういうのは慣れているが、「何でこの子達いるの?」ってキチママに聞いたら「学校が休みだからよ」って言っていた。

そのあと、職場でその話をしたら、今、コロナで学校が1年近く休みだと言うこと聞いて、あれ?と思った。

ほとんどのフィリピン国内の学校がずっと休みなのに、なぜ親戚の子供たちが私の家にいるのか?

なぜ「今、学校が休みだから」という理由になるんだろうか?

じゃあ、ずっとうちにいるの?学校が開くまで?

それから、何週間と立って、クリスマスどころか正月が終わっても、一向に帰る気配がないと知る。それどころか、居候専用の部屋を設けてあげて、居候たちも態度がどんどん図々しくなってきている。


リビングでは数分前まで自分が座っていて、ちょっと外でタバコを吸って戻ったら、高校生の居候(姉)が我が物顔でソファに寝っ転がってる。

今までは、寝る前にリビングで読書や動画を見たりして過ごしたり、趣味のギターなどストレス発散の時間だったが、居候(姉)が音楽を鳴らしていて、うるさくて集中できない。

居候(姉)が電気をつけっぱなしで寝て、私が「居候(姉)が電気消し忘れてたよ」とキチママに言っても、「別にいいじゃない、それくれくらい」と姪っ子には甘い。私にはいつもお金を節約するようにいってくるくせに。

好きな時に寝て、好きな時に起きて、好きな時に食って、毎日リビングで音楽を大音量で鳴らして、出かける時は何も言わずに自分がPCを入れているバックから中身を取り出して自分のもののように使って持っていく。

私が出勤前の朝食に買ったパンも最近翌日になるとなくなっていて、食事抜きで出勤することも暫しあった。

家の中での通信データ量も増えたせいか、WIFIが遅い。テクノロジー音痴のキチママが突然「ファイバー回線がいいらしいよ」と言ってきた。たしか、叔母の家がファイバーだと言っていたから、居候(姉)の入れ知恵だろう。

子供の将来のために、固定費をできるだけ節約して学資保険や積み立て投資をしているのに、そういうことを一切考えないキチママ。

もうさすがにしびれをきらして、「この子達いつまでいるの?」と聞いたら、

「ずっと。私が育てることにしたの」とキチママは答えた。

彼女たちの親であるキチママの叔母は何をしてるのかというと、どうやら借金を他方から借りて、踏み倒しながら逃げているらしい。それを「フィリピンスタイルでしょ?」とキチママは笑っていた。

借りたものを返さないのがこの国のスタイルなんであれば、フィリピンは最低な国だなと思った。

叔母が逃げ回っているから、もともと姉が子供たちを育てていたが、キチママが姉と絶縁したときに「自分のことしか考えてない姉に叔母の子は預けられない」と2人を引き取ったのだった。

2人の親はキチママの叔母で下の子2人と上の子2人のお父さんが違い、今はその人たちとは暮らしていない。

2人を育てることについて、

「え?育てる?それって一言も俺に相談貰ってないよ?」というと、むっとした顔で「私が育てるの!あんたじゃない」という。

でも生活費やその他もろもろの費用は結局俺が払うわけだし、というと「もう決めたの!だからもうやめて!」と取り付く島もなかった。

そんなこんなで、何の相談もないまま、18歳と6歳の子供を引き取ることになってしまった。

子供の将来や老後の設計を立てていたが、このままだと全部この家族に食い潰されるんじゃないかと、思う。


その横では6歳の居候(弟)が、ゲラゲラと笑いながら、自分が娘に使わせていた前の携帯で遊んでいる。

この子も子憎たらしい子供で、たいてい私が家にいる昼過ぎになると

「ねえ、アイスクリーム食べたい?ねえ、食べたいよね?」

と何度も娘に言ってくるのが、聞こえる。

娘はそうでもないのか「No!」と答えると「ダディにアイス食べたいって言えよ!」と、さらにしつこく娘に言ってくる。自分が食べたいだけなのに。

食事中は「これ、食べたくない!」と言って、yayaさんを困らせ、最後はお仕置き部屋(寝室)に連れて行かれてキチママの説教が始まる。

何度かその現場を目撃したが、ベットの上でうずくまって泣いている居候(弟)に向けて、ハンガーで何度も何度も怒鳴りながら叩き続けるキチママ。私が入ると「部屋から出てって!」と言われた。

居候を育てることがキチママの責任なのはわかるが、ただの気晴らしのおもちゃになってないか?と思っときが多々ある。


これからずっとこんな状況で暮らしていくんだなと思うと、気がまいる。

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