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【報告&感謝】 JOLA(ジャパン・アウトドア・リーダーズ・アワード )2024大賞を受賞!!〜約2万文字の審査シートで約25年の活動を振り返る〜

JAPAN OUTDOOR LEADERS AWARD (JOLA)とは、「アウトドアで未来の日本のための人づくり」をテーマにした活動に光を当てる賞です。

全国51名のエントリーから6名がファイナリスト(優秀賞)として選出され、2024/3/13(水)国立オリンピック記念青少年総合センターに集いました。当日、ファイナリストの中から、特別賞と大賞が発表されるのですが、なんとなんと大賞に選ばれました!(オンライン配信を見ていた娘が、発表の瞬間、驚きのあまり僕の体がのけぞっていた、とのこと)

このアワードは、個人を表彰するものですが、黍原個人の力ではなく、馬や子どもたち、現場を共に支えてくれているスタッフ達、これまでに関わりのあった方々のおかげで、いただくことができた賞です。これらの存在に感謝です。

選考委員会からは、次のような講評をいただきました。

岩手県釜石市の築100年を超える古民家をベースに、馬とのかかわりを手法とした人づくりを実践。馬とのやり取りを通して、自分自身を見つめ、成長を促していく。 馬と自然との暮らしから、人間としての土台作りに軸を置いているその姿勢、考え方や哲学、地域とのかかわりがJOLAの理念に最も合致すると考え、大賞に選出いたしましました。

JOLA選考委員会の選考の講評

このアワードが、自分にとってどんなものだったのか、いくつかの視点で振り返ってみます。

約2万文字の審査シート

このアワードのエントリーに際して、約2万文字(原稿用紙50枚!)を審査シートに書き綴りました。
審査シートは、合計13の項目があります。人づくりの考え方や哲学、フィールドの活用方法、社会性、アウトドアスキル、安全への考え方などについて、自身の取り組みや考えを表していきます。
13も項目があるので、様々な視点で普段は感覚的に取り組んでいることも言葉にすることで、活動の背景や自分の考えがはっきりとしました。学生時代から環境教育・野外教育の世界に携わって約25年になります。審査シートを書く作業は、一筋縄ではいかず右往左往しながらでしたが、25年の間にお世話になった方々、子ども達、様々な現場の風景などが目に浮かびました。今の自分があるのも、これらの存在のおかげだと再確認することができました。

そこのあなたも、ぜひこのアワードにエントリーを!
審査シートを作成することで、アウトドアで子ども達などに関わる人にとっては、自身の活動を振り返るとても良い機会になります。

文末に、審査シートの最後に書いた一部を添付します。ご興味ある方は、ご一読下さい。

表彰式に集う人々からエネルギーをもらう

集まった他のファイナリストの方々も、皆さんユニークな活動をされていて、フィールドも様々。魅力的な方々で、たくさんの刺激をいただきました。
ファイナリストの優秀賞の他にも20代のお二人が奨励賞として選出。僕が20代の時点では、あの審査シートに全く歯が立たなかったなぁ。お二人の話を伺っていると自分の活動に誇りをもって取り組んでいる情熱が伝わってきて、こちらもエネルギーが湧いてきました。
過去にファイナリストに選出された方々も授賞式に駆けつけていて、このアワードを通して、全国各地との新たなネットワークが生まれつつあります。アワード受賞者のつながりから、何か新しい取り組みが始まる兆しを感じました。

また、アワードの運営委員の皆さんや協賛企業の方々と直接お話しする機会が得られました。アワードそのものを支え、アウトドアを通して社会を良くしようと文化のようなものを醸成しようとする熱い思いを感じました。
アワードの評価基準(ルーブリック)をできあがるまでに2年間の時間を要したと、アワードの立ち上げから関わる高橋さんから伺いました。そもそも活動内容もフィールドも様々な人たちをどのように評価したら良いのか、現在の評価基準に至るまでは、何度も議論が交わされたとのことです。審査シートの項目で述べましたが、審査シートは本当に良くできた内容で、作成する中で、自分のこれまでの活動に向き合うことが求められます。

直接、様々な方々とお話するなかで、それぞれの立場で熱い思いを持って取り組んでいることを知りました。
今回、JOLA2024大賞という名誉ある賞をいただき、その重みを実感しました。

受賞は、ゴールではなく、道の途中

表彰式では、運営委員長の山田さんの挨拶の中で、JOLAでは「ソーシャルアウトドア」という考え方を広めていこうとしている、という話がありました。

AIやITが発達すればするほどバランスをとるために必要なのがアウトドアや自然体験です。特に幼少期においては影響が大きいので配慮が必要だと言われています。人づくりにはアウトドアが必要なのです。またそのことが地域づくりにもつながっていると評価されることもあります。私たちはこのような視点をSocial Outdoor/ソーシャルアウトドア©️と呼んでいます。アウトドアフィールドで子どもや地域のウェルネスを考え、地に足の着いた取り組みを仲間と一緒に進めている、そういう方々に光を当てます。

JOLAのサイトのソーシャルアウトドアの解説

馬と共に活動するようになって、貧困・虐待・不登校・障がいなど様々な困難を抱える子ども達と関わることが増えました。
そのような子ども達が、馬や自然に出会うと様々な変化・成長が見られます。人間ができることは限られていて、馬や自然は偉大だと感じることも多いです。

現在、三陸駒舎では、福祉事業をメインにしていることから、障がい福祉の業界の状況を見聞きしてきました。
「自然体験・環境教育」の分野と「障がい福祉」の分野の両方にこれまで関わってきた僕としては、この2つの分野がもっと交わってほしいと強く願っています。
障がい福祉の分野にとっては、自然や動物達は、そこに携わる支援者の助けになります。もちろん、そこに関わる子ども達にとってもとても良い環境が提供されます。
自然体験・環境教育の分野にとっても、その場がもつ可能性がもっと活かされ、社会に対して、もっとお役立ちできると感じています。

大賞を受賞した後のスピーチで、次のようなエピソードをお話しました。

セラピーの事業を開始した時の第1号の登録者の佐竹惇希さん、当時小4(現在は高2。最初は僕より背が小さかったのに、既に抜かされました。)。学校への行き渋りがあり、地元のスクールソーシャルワーカーの紹介で利用開始となりました。惇希さんは、友達とのトラブルがあって、本人は話すのが少し苦手で、嫌がらせに対して言い返せないこともあって、その子の筆箱をゴミ箱に捨てたりとか、辛い思いから母親に「なんで僕は学校に行かなくてはいけないの?」とこぼすようになっていたそうです。
三陸駒舎に来たときは、動物は大好きで馬の世話や乗馬など積極的に行っていました。ただ、試し行動のようなものも見られました。馬の活動が終わった後に、よく集落内を散歩していたのですが、自分の帽子を他人の家の敷地に投げ入れたり、橋の欄干の間から身を乗り出して川をのぞき込んだり(「やめて〜」と言いながら足を押さえていました…)などと、いわゆる試し行動のようなものも見られていました。
しかし、利用開始から3ヶ月ほど過ぎると、そのような行動も見られなくなりました。さらに、馬の活動の他に、よく薪割りをしていたのですが、割った薪を使って釘で四角い箱状に組み立てたかと思ったら玄関先に付けてポストにしました。数日後、そのポストには、手紙が入っていて、惇希さんが、「黍原さん、手紙が届いていました!」と手紙を手渡してくれて、手紙をひらいていて見ると、乗馬をする惇希さんの絵が書かれていました。(惇希さんの自作自演)
惇希さんが元々持っていたエネルギーが最初は負の方向に出ていたのが、ここで過ごすうちに正の方向に転じていったのだと感じました。

こんな感じで、惇希さんの様子が変化していくうちに、利用する子どもも増えて来て、惇希さんが他子どもたちと一緒に馬の手入れをしたり、乗馬をしたりするようになりました。ある日、惇希さんが他子どもたちと鬼ごっこなどをして一緒に遊んでいる様子を伝えました。すると、惇希さんのお母さんから、次のようなコメントをもらいました。
「えっ、惇希が他の子と遊ぶんですか?元々惇希は自閉症で、みんなと遊ばない、仲間に入れないというイメージでした。
でもここに来ると、そういう障害があるのを忘れます」

最後の一文を聞いたときに、三陸駒舎を立ち上げて、様々な苦労もありましたが、この言葉を聞くために、馬と一緒にやってきたのだと、思いました。

馬は、僕らをカテゴリーや役職などで見たりしません。人間を平等に扱います。
馬たちと、この場を作ってきたことで、障害があっても・なくても関係がなく、全てが調和した世界に自然となっていったのだと実感しました。

しかし、社会を見渡せば、差別や格差は今も根強く残ります。(格差は逆に開いているぐらい…)

このエピソードは、釜石の山奥での出来事ですが、このような馬がつくり出す世界が広がっていけば、差別や格差はもとより、戦争や紛争などの争い事も泣くなり、誰もが幸せに暮らせる調和した世界になると信じています。

僕らのような小さい場の取り組みが大賞をいただけたということは、
裏を返せば、まだまだ様々な困難を抱える子ども達は多くいて、僕らのような場が必要とされているということ。辛いことや困ったことあったら、いつでもすぐに馬や自然の力に頼ることができて、生きていく力を取り戻すことができる。誰もが幸せに暮らせる社会の実現に向けて、現場での実践を重ねつつ、これまで取り組んできた知見などを必要とする方々にお伝えして、社会に還元したいと考えております。

なので、受賞はゴールでも何でもなくて、道半ばという感覚です。僕らのような場が当たり前にあるような社会になって欲しいと強く願います。

森のようちえんの仲間と共に

おわりに

大賞をいただいてから、報告と感謝の気持ちを書き始めたのですが、どんどん長くなり、ようやくアップすることができました。まだ、お伝えしたいこともある気がするのですが、一旦終わりにして、審査シートの最後の一部を添付します。
(もし、審査シートの全文を読んでみたいという方は、直接ご連絡ください。)


ポッドキャスト「さんこまラジオ」でも受賞を受けてのコメントをアップしました。

森のわらべ多治見園のともちゃんこと浅井智子さんのstand.fmで受賞を受けての対談をしていますので、こちらもぜひ

ルーブリック評価シート記入を終えて 自己評価と今後について

 普段、子どもたちと関わる際には、全人格的な関わり、全体性を大切にしています。今回の評価シートを記入する際には、項目毎に分けて記載することに苦労がありましたが、これまで行っていた取り組みが整理されました。書き上げてみると、一つ一つの項目に対して掘り下げることができて、結果として、自分の取り組んできたこと、現在の活動についての解像度が上がりました。「なぜ、そのようにやっているのか」という取り組みの背景や裏側で流れている自分の思考がはっきりとしました。
 学生時代に子どものキャンプに初めて関わったところから数えて、環境教育・野外教育の世界に携わってちょうど今年で25年です。これまで、現場で多くの失敗も重ねながら、もがきながら、自分は子どもたちに何ができるのだろうかと試行錯誤のくりかえしでした。その中でも、師匠にも恵まれ、多くの子どもたちからも教えられ、様々な人々や動物たち、森や川などの自然からも力をもらいながら、成長できました。今回の評価シート記入は、25年の経験を振り返るとても良い機会となりました。自分は何者で、これまで何をして、これから何ができるのか、がはっきりした感覚があります。
 今回ページの制限もあったので、泣く泣く削った内容も多々ありました。同様の理由から、十分に言語化を深めきれていない部分もあります。自分の取り組みとして弱い部分もはっきりし、今後その部分については、しっかりと補強したいと思います。また、強みも明確となり、この部分については、もっと私が蓄積してきたものを必要としている人や現場に届けたいと思っており、それがより伝えられる語彙を鍛えていきたいと考えています。

 今年で、東日本大震災がきっかけで釜石市に移ってから10年目です。本文のソフトスキルの項目でも記していますが、この10年は多様な学問的な知識をインプットしてきました。活動を続けていると、子どもたちは私たちの現場に来るとストレスを発散して元気になるのですが、家に帰って学校に行ったりして、こちらに戻って来るとまたストレスを抱えてという状況が繰り返されていて、これをなんとかしたいという思いがありました。子どもだけにアプローチしていてもダメで、保護者や学校の先生などにも、私たちの活動の内容やそこで子どもの内面で起こっている変化、活動の背景や考え、学問的な根拠などをしっかり伝えて、共通認識を持ちながら、私たちの活動を日常にも活かすための手立てを共につくり出す必要があります。そのためにも、この数年は私がこれまで経験してきたことや現場で起こっていることをインプットしてきた学問的な知識を援用しながらアウトプットすることを少しずつ行っていましたが、更なる言語化の必要性を感じていました。今回の評価シート記入を通して、自分に蓄積したモノの中から絞り出し、約2万文字を一つのまとまったものとして文章にするのは、今までにない経験で、自分自身のアウトプットの段階を大きく押し上げることになりました。ルーブリックに向き合う中で、今後私が進むべく道も見えてきました。今回の評価シート記入で得たものを、子どもたちや社会に還元していきたいと思います。

 最後に、JOLAに関係する皆さまを始め、アワードへの推薦をしていただいた野口さん、提出まで応援くださった運営委員の方々には、貴重な機会をいただけたこと、3年間も声を掛け続けていただいて背中を押してくれたことに大変感謝しております。


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