見出し画像

米国パリ協定離脱→日本企業も脱炭素目標撤回を

トランプさんが大統領選圧勝。これで米国のパリ協定離脱が決まりました。2月にこんな期待をしていました。

https://note.com/kfujieda/n/naa21bb66e0d7

トランプ大統領のことなので、さらに気候変動枠組条約からも抜ける可能性すらあります。

日本国もパリ協定から離脱するのが理想ですが、ポリコレ欧州の手前そんな大胆なことを政治が決断できないのであれば(情けない…)、2025年2月に提出予定の2035年CO2削減目標(NDC)を提出しなければよいのです。京都議定書第ニ約束期間から抜けた時と同じことをやればよいと思います。もしも政府がNDCを提出して2050年脱炭素を継続するのであれば、企業の生産性と国際競争力が損なわれ続け、国民生活は崩壊します。

さて、米国のエネルギー政策が大転換するので、先進的な海外企業では脱炭素目標撤回が加速します。

日本企業も日本政府の対応次第などと受け身に構えるのではなく、自らの意思で無理・無謀な脱炭素目標を撤回して、現実的な時間軸の低炭素目標に切り替えるべきです。これこそが誠実な企業経営、企業価値向上となる時代が来ます。そりゃそうです。5年で売上高を10倍にします、なんて詐欺のような経営計画が賞賛される時代が続くわけもなく、現実的な経営計画を積み上げなければ投資など受けられるはずがありません。

そこで、何度でも掲載します。脱炭素目標撤回のリリース案です。全文・部分利用を問わず、どなたでもご自由に転載、改変いただいて結構です。

202X年XX月XX日

カーボンニュートラル宣言の取り下げに関するお知らせ

当社は202X年XX月に「2050年カーボンニュートラル宣言」ならびに「2030年度に2013年度比47%削減目標」を公表しましたが、これらCO2排出削減にかかわる長期目標を取り下げることについてお知らせいたします。

カーボンニュートラル宣言策定当時は、その根拠として省エネ投資の強化による総エネルギー使用量の削減、第6次エネルギー基本計画で見込まれている2030年46%削減を前提とした購入電力のCO2排出係数低減、PPAを含む自家消費太陽光発電の導入、購入電力の再エネメニューへの切り替えやクレジット購入によるカーボンオフセット等を折り込んでいました。

しかしながら、日本政府のエネルギー基本計画は第5次まで過去に一度も達成したことがなく、第6次についても当初から野心的な目標と言われており、将来の経営計画の根拠とするのは適切ではありませんでした。

仮に国全体として2030年にCO2排出量46%削減が達成されたとしても、京都議定書第一約束期間の6%削減達成と同じく森林吸収による相殺分が含まれる場合にはやはり第6次エネルギー基本計画の電源構成は未達となっている可能性が高く、当社の購入電力の排出係数が46%改善されることも期待できません。

また、カーボンニュートラル宣言以降に設置を進めてきた太陽光パネルについて自主調査を行った結果、製造段階における強制労働の疑いを払しょくすることができないという結論に至ったため、すべての自家消費太陽光発電の稼働停止を決定いたしました。当社ではジェノサイドに加担してまで必要とする売上は1円たりともありません。そして、電力契約の再エネメニューやクレジット由来のカーボンオフセットについて精査したところ、みかけ上のCO2排出量をゼロと表現することはできても実態として地球環境へ排出されるCO2がなくなるわけではないことを確認いたしました。

一方で、世の中の動向としては、2022年11月にエジプトで開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)において、国連専門家チームより企業のCO2実質ゼロ宣言の多くが地球温暖化防止に役立っていない見せかけの「グリーンウォッシュ」であるとの指摘がなされました。

また欧州連合(EU)は2023年9月に不当商行為指令(UCPD)と消費者権利指令(CRD)を改正し、2026年以降は企業がカーボンオフセットを必要とせずに達成できることを証明できない限り「カーボンニュートラル」との主張を禁止することが合意されました。

こうした状況を鑑み、当社では2050年カーボンニュートラル宣言、ならびに2030年47%削減目標を一旦取り下げ、ゼロから再検討することといたします。今後は2030年や2050年などの期限を区切らずに、省エネ活動や人権に配慮した再エネ導入などの施策を積み上げ、正味のCO2排出削減に寄与する現実的な目標を改めて設定し直します。

当社はSDGsの理念に賛同しており、今後も持続可能な社会、ならびに誰一人取り残さない社会の構築に向けて誠実に取り組んでまいります。

「過ちて改めざる、これを過ちと謂う」といいます。ESGや脱炭素の流行に乗って脱炭素宣言を行ってしまったことは元に戻せません。人間誰しも間違うものです。来年1月に米国のパリ協定離脱という大きな変化が確実に起こります。状況に応じた意思決定ができず企業価値を損ね続けることこそが過ちなのです。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?