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急成長組織のためのダッシュボード作成術:SmartHRマーケ&コムデ軍団で実践する3つのポイント

こんにちは!SmartHRのブランディング統括本部でデータアナリストをしているキューピー(@kewpie_wada)です。

急成長する組織においてダッシュボードをいかに早く・使いやすく・管理しやすく作るのか、という話をまとめてみました🏖️

🌈この記事をおすすめしたい人

  • 使いやすく管理しやすいダッシュボードを高スピード&低工数で作りたい

  • 急成長を目指すビジネス組織でデータ活用を推進したい

  • SmartHRのデータアナリストの仕事を知りたい


前置きと結論

私たちの組織

SmartHRのブランディング統括本部はマーケティングとコミュニケーションデザインを担う組織です。組織の詳しい紹介はこの記事を見てください。

ダッシュボードを語る上でブランディング統括本部には次の特徴があります。

  • 急成長
    高い事業成長の目標を追いかけている。

  • 規模拡大
    分業化が進み規模拡大を続けている。現在は100名超。

  • データ駆動
    メンバーにはKPIへの強い意識があり、データに基づいて意思決定する文化が根付いている。

ダッシュボードに求められる要素

この組織で事業成果に繋がる分析アウトプットを生み出すこと、その土台となる基盤を作ることが私たちデータアナリストの仕事です。
その中でも、ダッシュボードはメンバーとデータの接点であり、気付きや示唆を生み出す中核となるツールです。したがって、ダッシュボードをいかに「上手く」作れるかがデータ活用の成否の要所であると考えています。そして、ここで言う「上手く」とは次の要素を満たすことであると捉えています。

  • 早さ:
    メンバーの意思決定スピードにさらに先んじて開発を進める。

  • 使いやすさ:
    ストレスなくデータに触れることができ、成果に繋がる示唆が得られる。

  • 管理しやすさ:
    限られた人数で出来るだけ手間なく保守ができる。

【結論】急成長組織のためのダッシュボード作成術

急成長組織のためのダッシュボード作成術

これらの要素を実現するために次の3つのポイントを実践しています。

  • スピードが大前提

  • 共通化と柔軟性の両立

  • コミュニケーションは惜しみなく

⭐️スピードが大前提

ダッシュボード開発のスピードは組織の意思決定のスピードに直結します。そのため非常に単純ですが、開発スピードを最も大切にしています。言うまでもなく集計に誤りがないことは不可欠です。

ダッシュボード開発スピードを高めるステップ

プロトタイプをすぐ作る

開発スピードを高める上で最大の勝負どころは「プロトタイプを作るリードタイムをいかに短くできるか」です。つまり早く形にしてしまうということです。やるかやらないかを議論して大筋の要件を定めたら、プロトタイプを作り上げることに全力を尽くします。

この理由は、プロトタイプがあるかないかで要件をツメる議論の質とスピードが段違いに変わるからです。できればプロトタイプはワイヤーフレームではなく実データを集計したものが望ましいです。指標の水準感を把握した上で、効果的な分析軸を考えたり、集計定義を調整できるからです。

プロトタイプを作る工程はデータアナリストが100%ボールを持っており、メンバーの仕事は止まります。メンバーにできるだけ早く次のパスを出せるように、SQLの開発速度を改善したり社内データを熟知しておくのはとても意味があると思います。

β版で待ち時間をフィードバック時間に変える

要件通りにダッシュボードを作ったら、品質管理のためにデータアナリスト同士でレビューをしています。しかし、レビュー中にメンバーを待たせるのも大きなタイムロスになります。ですので、レビューと同時進行でメンバーにβ版としてダッシュボードを展開してフィードバックをもらっています。

この段階で集計定義が変わることはないですが、「補足説明が欲しい」「アイテムの配置を変えて欲しい」などの細やかなフィードバックをもらいます。経験的に最も多いフィードバックは「補足説明が欲しい」です。要件を議論した人にとっては馴染みのある指標であっても初見の人には解釈しづらいというのは当然だと思います。ここで得られたフィードバックがレクチャーやマニュアルの内容を考える上での大事な材料になります。さらに早くからダッシュボードに慣れてもらえるのもβ版のメリットだと思います。

小さく始めてスプリントで改善

要件の考え方としては「最初はできるだけ小さな要件で素早くリリースし、あとから機能追加していく」という方針を取っています。一度に多くの要件を詰め込むと開発に時間がかかり、全員の待ち時間が増えてしまうからです。これは使用者が多ければ多いほど大事な考え方だと思います。

初回リリース後は、各所から集めた要望や自分で考えた分析機能の開発に優先度を付けて取り組んでいきます。このときの進め方として、アジャイル開発のスプリントの考え方を取り入れています。つまり、1〜2週間で期間を区切ってダッシュボードのアップデートを繰り返し行うということです。

大人数の要望に応えるダッシュボードを開発する上で、スプリントは次の点で優れています。

  • 最低限の機能をすぐにリリースできる

  • 多方からの要望に明確な優先度を付けることができる

  • こまめにフィードバックを取り入れて改善できる

実践のポイントとしては次の点を意識しています。

  • アップデート予定を公表する。
    いつまでにどの機能を追加するかを広く関係者に知らせます。予定が分かることで、いつどの施策の検証にダッシュボードを活用するかの算段をつけやすくする狙いがあります。

  • 原則は影響度順。すぐできるものはすぐやる。
    原則として事業への影響度をそのまま取り組む順番にします。ただし低工数で対応できるものは直近に控えるアップデートに入れてしまうか、スプリント計画とは別枠で即日対応します。これは小さな工夫ですが早さを求めるメンバーにはとても喜ばれます。

⭐️共通化と柔軟性の両立

低工数で多くに応えるための必要条件

多方面からのたくさんの依頼や要望に対し、できるだけ低工数で素早く応えていくには「ダッシュボードを共通化しつつ柔軟性を持たせる」ことが必要条件になります。

低工数で多くに応えるための必要条件

「共通化」とはできるだけ多くの人が同じダッシュボードを使うということです。これには次のようなアンチパターンを避ける狙いがあります。

  • ダッシュボードが乱立して管理コストが増大する

  • 一時的に作ったものが管理外でずっと使用されてしまう

  • 似たようなものを何度も作ってしまう

「柔軟性」とは細かい分析ニーズに応えられるということです。組織のデータ活用が進めば進むほど、多様な分析軸や指標がダッシュボードに求められてきます。

「動的な可視化」で両取りする

「共通化」と「柔軟性」は普通は両立しない概念です。多くの分析軸や指標を1つのダッシュボードに詰め込もうとすると、誰にとっても使いづらいものになるからです。

この解決として「動的な可視化」という考え方を大切にしています。「動的な可視化」とは、元のテーブルには多様な分析軸や指標を用意しておき、ダッシュボードに表示するものは使用者が自由に設定できるようにするということです。

画像の例では、次の項目を使用者が設定するようになっています。

  • ドーナツチャートの軸とカウントの指標

  • 時系列推移の指標

  • 時系列推移の時間軸の粒度(日/週/月/年)

「動的な可視化」の例

⭐️コミュニケーションは惜しみなく

ダッシュボード開発や管理の工数は極力減らす一方、メンバーとのコミュニケーションは惜しみなくとるようにしています。

コミュニケーションの狙い

正直に言うと「わいわい仕事をするのが楽しい」というのが一番の理由ですが、ダッシュボード作成にスコープを絞ると次の狙いがあります。

コミュニケーションの狙い
  • 鳥の目:全体を俯瞰で見る

    • 組織全体を把握することでダッシュボード共通化などのデータ観点での全体最適化ができるようになる。

    • 開発の優先度を見定められるようになる。

  • 虫の目:高い解像度で事業課題や個々の業務を見る

    • 各メンバーの仕事を知ることでダッシュボードに求めることがすぐに分かる

    • ドメイン知識やデータ定義を知っていることで開発スピードが飛躍的に高まる

    • 依頼を待っているだけでは得られない改善点や気付きが得られる

最後にコミュニケーションで意識しているポイントを置いておきます。

自分から話しにいく

多くのメンバーにとってデータアナリストは普通は相談しやすい立場ではないと思います。最もわかりやすい理由として「なんとなく難しいことをやっている」という誤解があると思います。データアナリストの仕事は起点や要点が自分たちの外側にあるため、気軽に相談してもらえないことは致命的です。こういった誤解を与えないように気をつけながら、コミュニケーションは待ちの姿勢ではなく自分から取ることを心がけています。

ダッシュボードについてメンバーと話す際、「その後どうですか?」という聞き方でも聞かないよりはマシですが、これでは改善点をもらえることは少ないと思います。改善点をあげるには「他ではどんな分析をしているのか」「社内にどんなデータがあるのか」「集計の技術的にどこまでできるのか」といった知識が必要になるからです。これはデータアナリスト以外のメンバーにとって簡単にできるものではありません。そのため、こちらがメンバーの仕事をできるだけ把握した上で「こんな改善したら嬉しかったりします?」といった提案を出来るだけするようにしています。

時間と空間の共有

時間の共有:ミーティングに顔を出す
SmartHRでは1on1や評価会議などを除けばあらゆるミーティングに自由に気軽に参加できます。私は主にマーケティング施策の実践を担うチームの定例ミーティングに毎週出向いて次のような動きを取っています。

  • ダッシュボードで振り返りをしている様子を実際に見る。気付きや示唆があればコメントする。

  • ダッシュボードの使い方をレクチャーする。扱いが難しいものは自らが使ってお手本を見せる。

  • ちょっとした困りごとや相談を頭出ししてもらう。

空間の共有:オフィスにいる
物理的に近い距離にいるからこそ相談してもらえることも沢山あると思います。なので、できるだけ出社して対面でメンバーと会う機会を増やすようにしています。メンバーにとっては遠慮するようなことであっても、データ分析上はすごく意味のあることだったりします。またその場で話せるからこそ即時に解決できることも多いと思います。

全体把握はドキュメントで

当然ながらミーティングや会話には時間に限界があります。全体把握には情報共有ツールを活用しています。SmartHRではあらゆる情報がドキュメントとして全員にオープンにされています。特にマーケティング部門においてはあらゆる施策の振り返りがドキュメントにまとめられます。それらに洗いざらい目を通して、特にデータを使って検証している箇所があればよく見ておくようにしています。

🍀最後に

ぜひ読んでほしい仲間たちの記事

このNoteで扱ったのは仕事の一部に過ぎません。仲間たちが書いた記事では組織や仕事の魅力をもっと詳しく分かりやすく紹介してくれています✨

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