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<SS>自分の嫌いなところも、実は強みになるんだよ


1.普通の日常、普通の悩み

翔太しょうた美咲みさきは大学の同級生。二人はカフェでコーヒーを飲んでいた。

「なんかさ、最近自分の強みって何なのか分からなくてさ」翔太は突然言った。

美咲は笑って、「それ、誰もが通る道だよ。でも、強みって必ずしも他人より優れていることじゃないよ」


2.視点の転換

「じゃあ、どうやって自分の強みを見つけるの?」翔太は興味津々で聞いた。

美咲は考えてから言った。「自分の嫌いなところも、実は強みになるんだよ」

「え、マジで?」

「うん、例えば、翔太、自分が人見知りだというのを嫌がっていたよね?」

翔太は頷いた。「うん、でもそれがどうしたっていうの?」

「人見知りだからこそ、深い関係を築くのが得意なんじゃない?それって、絶対に強みだよ」

翔太はしばらく黙って考えた。そして、にっこりと笑った。

「なるほど、自分の嫌いなところも強みに変えられるなんて、新しい視点だね」

美咲も笑った。「だから、自分の強みって、ただの一面じゃないんだよ」


3.才能とは

「でも、強みって才能とは違うの?」翔太は質問した。

「才能って、自然にできることだよね。だから、自分の強みも、実は才能なんだよ」

翔太は目を輝かせた。「なるほど、じゃあ、自分の強みを見つける旅、始めようかな」

美咲は嬉しそうに言った。「いいね、その旅、一緒に行こうよ!」

翔太はその日から、自分の強み、そして才能を見つけるための旅を始めた。そして、その旅は美咲と一緒に。


4.優しさ:その裏と表

翔太と美咲は再びカフェでおしゃべりしていた。

「美咲、実はさ、昔は自分の優しさがコンプレックスだったんだよ」翔太が心の中を明かした。

「え、本当に?」

「うん、優しいって言われると、なんか弱々しいとか、バカにされてる気がしてたんだ。高校の頃、いじめられてた子を助けたら、友達から『お前、優しすぎだろ』って言われちゃって。それで、優しさはダメなんだって思い込んで、『俺、優しくないからね』って無理に強がってたこともあった」

美咲はにっこりと笑った。「でも、それって結局、本当の自分を隠してたんでしょ?」

「そう、最近気づいたんだ。優しさって、実は俺の強みなんだって。人に自然と優しくできるって、それ自体が俺の特徴で、強みだって思えるようになったんだ。その優しさで、人々の心も温められるからね」

美咲は頷いた。「優しさって、意外と難しいよね。人に優しくしたくてもできない人もいるもんね。でも翔太はそれが自然体でできる。それ、間違いなく強みだよ!」


5.ヤル気と責任感:二面のコイン

「それから、こないだまでやってたアルバイトでヤル気が湧かない瞬間があったんだ」翔太は話を続けた。

「翔太、確か、企画関係のアルバイトで重要なポジションを任されていたよね。それって、もしかして責任感が強すぎるからじゃない?」

「うん、失敗が怖くて、なかなか行動に移せないんだよ。新しいプロジェクトが始まると、最初から完璧を求めちゃって、結局スタート地点からなかなか動けなくて」

「でも、その責任感や完璧主義、実はそれも一種の強みだよ。人々から信頼されるし、ミスも少ないでしょ?」

「確かに、そうかもしれないね」

「責任感が強い人は、人格者だと思うよ。普段から良い行いをしてるから、人々から信頼されるし、人も引き寄せる。完璧主義の人も、似たようなもの。『ちゃんとやらなきゃ』って思うから、完璧を目指すんだよね。だから、結局は良い影響を与える人だと思うよ」

美咲は微笑みながら、さらにこう言った。「だから、翔太、自分の嫌いなところも含めて、全部強みだよ!」


6.片付けとフォーカス:優先順位の設定

「私、実は片付けが苦手で、それが自分で気になってたんだ」今度は美咲が心の中を話し始めた。

「そうなんだ。でも、それって逆に、重要なことにフォーカスできる力があるってことじゃない?」翔太はすぐにフォローした。

「確かに、そうかもしれない。無駄なことに時間を使わないように、自分なりに優先順位をつけてるのかもね。だから、本当に大切なタスクに集中できるんだと思う。例えば、部屋がガチャガチャしていても、それよりも締め切りが迫るレポートを優先して完成させることができた」

翔太は考え込んだ後、言った。「それって、結局は効率的な時間の使い方をしてるんだよね。部屋が散らかっていることよりも、締め切りが近いレポートの方が重要。だから、そのレポートに集中することで、最終的にはより多くの成果を出せる」

美咲は頷いた。「そう、それ!優先順位をしっかりと設定することで、重要なことに集中できる。それが私の強みなのかもしれないね!」


7.自分を知る旅

翔太と美咲は、大学を卒業し、それぞれの道で働き始めた。翔太は社会福祉の仕事に就き、美咲は教育の現場で子どもたちに夢を教えていた。二人は違う場所で違う仕事をしていたが、一つ共通していたのは、自分自身をもっと深く理解し、自分の強みを活かす方法を見つける旅を続けていることだった。

翔太は、かつて自分の優しさを弱点と考えていたが、今ではその優しさが彼の仕事で大きな強みとなっていた。高齢者や障害者と接する仕事で、その優しさが人々の心を温かくし、信頼を築く大きな要素となっていた。

美咲もまた、かつては「片付けが苦手」と自己嫌悪に陥っていたが、その裏には「優先順位をしっかりと設定する能力」があった。今では、その特性を理解し、子どもたちに対してもその「効率的な時間の使い方」を活かし、しっかりとした教育を施している。

二人は時折、カフェで再会し、それぞれの成長と新たに見つけた「強み」について語り合った。そして、その都度気づくのは、自分の強みって、実は自分自身なんだということ。

「翔太、今度は何を目指すの?」美咲が尋ねた。

「うーん、まだ分からないけど、確実に言えるのは、自分自身が一番の強みだってこと。だから、これからも自分をもっと知って、もっと成長していきたいな」と翔太は答えた。

美咲は微笑んで頷いた。「私も同じだよ。自分自身をもっと知ることで、新しい強みを見つけていきたい」

そして、二人は再びそれぞれの道を歩き始めた。

だって、自分の強みって、実は自分自身なんだもん。

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この物語は、以前アップした記事 『「自分の嫌いなところ」も「強み」になる!』をネタにして短編小説にしました📚


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