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「元フリーランス」を活かした会社員になれると思っていたけれど

ぼくは「元」フリーランスです。

新卒で入ったベンチャー企業に1年半ほどお世話になったあと、個人事業主のライター・編集者として独立しました。

そこから半年ぐらいフリーランスとして活動して、今年の7月からは編集者集団の「株式会社WORDS(ワーズ)」にて、会社員として働いています。

「フリーランスから会社員になった経緯」については下記のnoteにまとめているので、ご興味ある方はぜひご覧ください。

2度目の会社員になるとき、ぼくはこんなことを思っていました。

「フリーランスの経験を積んだ会社員って、世の中の一般的な会社員よりもいろんな視点を持っていて、なんかめっちゃ活かせそう!」──

だけど気づいたのは「意外とそうでもないのかもしれいな」ということ。

このnoteでは「フリーランスから会社員になってから3ヶ月が経ち、変わったことや気づいたこと」についてお話しします。

「独立してみたいな」と気になっている会社員の方や、逆にいまフリーランスで「会社員になるって選択肢もありなのかな」と思っている方などの参考になる部分があればうれしいです。

「経営」より「執行」に頭を使うようになった

会社員になっていちばん変わったのは「起きた瞬間に考えていること」です。

フリーランスのころは「今月の売上をどうやって確保するか」とか「なにか新しい事業のタネはあるかな」といった、いわゆる「経営」のことで頭がいっぱいでした。

いっぽうで、会社員になってからは自然と「担当しているお客さまの成果を出すにはどうすればいいかな」とか「あの原稿のあの表現は、やっぱりこっちのほうがいいかもしれないな」といった、いわゆる業務の「執行」で脳内が埋めつくされています。

フリーランスだったとき、べつに人を雇っているわけではなかったので「執行」も自分でやっていました。

だけど優先順位的に、頭はやっぱり「経営」に使うことが多かったです。

会社員になるとき、フリーランスの経験を活かして「経営的な視点も持てる会社員って、めっちゃ最強なんじゃないか!?」と思っていました。

だけど気がつけば、いつの間にか「執行」の視点が強くなっている自分がいたんです。

どんどん「会社員」になっていく自分

会社員になってからも「フリーランス時代の、収入や支出に1円単位で敏感だった自分」の感覚が、部分的に引き継がれているなと思うことはあります。

でもそれは「オフィスで使われていないスペースの電気がついていたら消す」くらいの、めっちゃ些末な部分です。

「どこにいちばん意識が向くようになるのか」という本質的な意味では、会社員になった途端、人は「会社員」になるんだなと実感しています。

最近「経営」より「執行」に頭を使うようになったこと以外で、さらに強く「あ〜、ぼく会社員になったんだな」と感じたことがあって。

先月、インターン生3名とぼくの4人で、社内交流を目的としたご飯に行ったのですが、代表の竹村さんが「会社からお金を出すよ」と言ってくれたんです。

最初はインターン生3名の分も含めてぼくが払うつもりだったのですが「会社から出すよ」と言われた瞬間「お、ラッキー」と思う自分がいました。

「経費」って、別にすべてのものが無料になる魔法でもなんでもなくて「会社のお金」はしっかりと減ります。

にもかかわらず「会社のお金が減ること」より「個人のお金が減らなかったこと」に意識が向いている自分がいて。

そのことに気づいた瞬間、なんかもう目線が完全に「会社員」だなと思って、ちょっとショックでしたね。

経営コンサルにも、経営コンサルは必要

ということで最近、実感しているのが「人間は2つの視点を同時に持つことは難しい」のだなということ。

「意識」でどうにかできる範囲には、限度がある。

以前、知り合いの方が経営コンサルの会社から「うちの会社の経営コンサルをしてほしい」というオファーをもらいました。

その知り合いの方は、オファー主の会社に「経営コンサルの会社なのに、経営コンサルを雇うんですか?」と聞きました。

そしたら「客観的な目線から経営のアドバイスをするのと、自分たちの会社を経営するのとは、ぜんぜん違うんです」と言われたそうです。

べつの例でいうと、ぼくたちの会社では週に2回、社内で「フィードバックの時間」というものがあります。

各編集者がいま進めている原稿を持ってきて、アドバイザーの柿内さんという編集者や、ほかの編集者の方たちからフィードバックをもらうんです。

毎回1〜2時間くらいかけて入念にやっています。

その理由も、やっぱりどれだけ「読み手の目線」を意識して原稿をまとめていても、どこかで「伝え手の目線」になってしまう箇所があるから。

そういった箇所があると、柿内さんやほかの編集者さんから「この箇所は初見の読者だと分かりにくいかも」や「この時点ではまだこのエピソードしか出してないから、こういう人柄だと誤解されて離脱されちゃうかも」といったフィードバックをいただくんです。

ぼくたちの会社がつくるコンテンツのクオリティは、このフィードバックの時間によって担保されているといっても、過言ではありません。

「2つの視点」をあえて持たない働き方

ぼくたちは「2つの視点を同時に持つこと」は難しい。

でもそれは悲しいこととして受け止めるのではなく「そういうもんだな」と割り切ったほうがいいのかもしれません。

1つの視点しか持てないなら、それを前提にして他者に聞いたり、頼ったりすることで複数の視点を保つ。

また、あえて「1つの視点」しか持たないことで、チームとしてのパフォーマンスを最大化する考え方もあるのかもしれないなと、最近ある人からの話を聞いて思いました。

あえて経営者の気持ちにならない

先日、ご自身で会社を「経営」しながら、べつの会社では「会社員」として働く方に、お話を伺うことがあったんです。

ぼくはその方に「会社員として働いているほうの会社で、経営者の気持ちになることはありますか?」と聞きました。

そしたらその方は「ないよ」というんです。

「むしろ、経営者の気持ちにならないようにしている」と言っていました。

「なんでですか?」と聞くと、

「たとえば私が社内の稟議を通して、3,000万円の広告予算をもらったとするよね。その時点で、会社は私に『3000万円を使っていいよ』と任せたんだから、あとはもう思いっきりやるしかない。

それで失敗したら、私に任せた会社が悪い。

そこでもし『3,000万円という大きな予算を使うなんて不安だな』とか「もしこれで売上が伸びなかったらどうしよう」とかって経営者の気持ちになってしまったら、思い切った施策をできないでしょ。

むしろ、ビビるほうが会社にとって失礼。

だから私は、会社員のときはあえて経営者の気持ちを忘れるようにしている」と教えてくれました。

会社員として、会社に貢献する

ぼくがいまの会社に入社させてもらった理由は「お金のやり繰りや案件のポートフォリオを組み立てる力をつけるより、編集や取材のスキルを磨くことに集中したいな」と思ったから。

そういう意味では、願ったり叶ったりの環境です。

いっぽうで「資金繰りや事業づくりをかじった経験や視点が、なにか役に立てられたらいいな」というあわい期待がはかなく散っていく感覚に、寂しさもありました。

だけどよく考えてみたら、逆にぼくがいまの会社に入ってからも、毎日「これからの会社をどう拡大させていこうか」とか「どんな新規事業があるかな」みたいなことばっかりを考えて、目の前のお客さんや業務がおろそかになってしまったら、それはシンプルにダメです。

実際、ぼくがいま会社からいちばん求められているのは「案件をとってくること」でも「新規事業を立ち上げること」でもなく「編集者としての腕を磨くこと」。

最近は「経営者には経営者、会社員には会社員の役割がある。それぞれの役割をまっとうすることが、結果的に組織にとってのベスト」なのかもしれないなと思うようになりました。

「フリーランス」から「2度目の会社員」になって3ヶ月。

フリーランスのときの視点は、思ったより活きていません。それにフリーランスだった頃の気持ちは、これからどんどん忘れていくと思います。

それに対して、いまは「そういうもんだな」とだいぶ受け入れられるようになりました。

人は2つの視点を同時に持つことが難しいからこそ、他者を頼るし、役割分担をする。

これからは「元フリーランス」ではなく「会社員」として、会社の成長に貢献していきます。

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「1社目の会社→フリーランス」になった経緯についてはこちらのnoteでまとめているので、ご興味ある方はぜひご覧ください!


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