新卒から1年半お世話になった上場目前の会社を退職して独立します
この退職ブログ、元々は半年前の2021年5月に出る予定だったんです。
ただ、結果的には本日公開されることになりました。
2021年11月16日、今日がぼくの株式会社wevnal(ウェブナル)への最終出勤日です。
wevnalは2011年に創業して現在12期目を迎える、約100人のベンチャー企業。
2ヶ月前には会社初の資金調達も行ない、「上場」というひとつのマイルストーンも視野に入れながら「LTVを最大化するBX(ブランドエクスペリエンス)プラットフォーム」の構築に邁進する、ぼくの大好きな会社です。
人も増えて事業も成長していて、社内の大半の人からは「なんでこんな面白いタイミングで?」と聞かれました。
「新卒入社から1年半で退職して24才で独立!」という言葉の響きだけだと、ぼくからはちょっとイケイケな若者感が出るかもしれません。
でも、実態は違います。
そんなこと、本人のぼくが一番よく分かっています。
このブログは、新卒入社から1年半、学生インターン期間も含めると約4年お世話になった会社を辞める、ぼくの「3回の退職」にまつわるお話です。
スーツケースを抱えて毎日出社
wevnalとの最初の出会いは、いまから約4年前。
ぼくが20歳だった、大学3年生の9月でした。
当時「大学を1年間休学して、東京のどこかの企業で長期インターンするぞ!」と「文章を書くぞ!」とだけを決めていたぼくは、採用サイトのWantedlyで「ライター 東京」と検索して、一番上にあったwevnalに応募しました。
「あなたの文章が100万円に!」という求人のタイトルは、いまでも覚えています。
面接で「週何日くらい来れそう?」と聞かれて「毎日朝から晩まで来れます!休学するので!」と答えたら「もうそのガッツで採用!」と言ってもらいました。(もちろんそのあと担当面接官の方は、上長含めて社内で相談しました)
当時、ぼくは地元の関西学院大学に通っていたので、東京に住むところがなかったです。
採用通知のメールで「いつくらいから来れそう?」と聞かれて「明日です!」と答えたら「逆にこっちが準備できないので、1週間後で」と言ってもらい少し猶予をもらったのですが、1週間では家が決まりませんでした。
初出勤日から2週間くらいは、カプセルホテルや東京の友達の家などを転々として、毎日全荷物が詰まったスーツケースを持って出社。
とにかく「ガッツ」だけを頼りに鼻息荒くやっていたのですが、最初は全く結果が出なかったです。
「俺は休学して東京にまで来て、何をやってるんや」
wevnalではクライアントの商品の魅力を文章を通じて伝える、いわゆる「セールスライター」として、ぼくは雇ってもらっていました。
それまでのぼくは、本を読んだ感想などを、個人のブログで書いていました。
ライターの求人を探したのは「インターンやりたいな。そうだ、俺は文章を書くのが好きだからライターだ!」という、安直な思考によるものです。
ただ、当時のwevnalの主なクライアントのジャンルは、コスメや健康食品。
それらの商品に対する知識が、ぼくは皆無でした。
商品の魅力を伝えようにも、その魅力を表現するボキャブラリーを持っていないし、そもそもどこが魅力なのかが全く分からなかったです。
入社してから3ヶ月くらいは商品が全く売れなくて「俺は休学して東京にまで来て、何をやってるんや」と、毎晩家に帰ってから悶絶していました。
ただ、もだえていても状況は変わらないので、オフィスに置いてあるコスメ雑誌を読んだり、美容系YouTuberの動画を観たりして、何とか表現の引き出しを作ろうとしました。
それだけだと普段からコスメを使っている人や、ぼくより長くライターをやっている人に追いつくのは難しいから、それ以外の武器も身につけようとレンタルサーバーを自腹購入。
ゼロからホームページを作る過程で、HTMLやCSS、jQueryの勉強をして「こういう装飾ができれば、より商品の魅力を伝えやすくなるかもしれない!」と試行錯誤していました。
あとは単純に、いままでぼくが「文章を書いてきた」と言っても、個人のブログで好き勝手に本の感想を書いていただけです。
「こういう構成にすればもっと魅力が伝わりやすくなるよ!」といった赤字をたくさん先輩からいただいて「書くことでお金をいただくこと」のイロハを叩き込んでいただきました。
そうすると少しずつ成果も出始めて、クライアントにも効果をお返しできるような案件が出てきました。
インターン最終日にもらった「日本一早い内定証書」
2018年の1月。
入社から4ヶ月が経ち、仕事が少しずつ軌道が乗り始めるなかで、ぼくの「面接」と「入社後のバディ」を担当してくれていた先輩から「社内のインタビュー記事も書いてみる?」と声をかけてもらいました。
「はい!ぜひ!」と引き受けて、wevnalの社員の皆さんの社員をインタビュー記事を書き続けていくなかで「次はイベントレポートも書いてみて!」、「プレスリリースもやってみる!?」といったように、どんどん任せてもらえる仕事が広がっていきました。
「あ、仕事ってこうやって少しずつ信頼を積み重ねていくものなんだなあ」と、東京に来た意味をようやく噛みしめ始められた時のことは、いまでも覚えています。
「1年間」と決めていた休学インターンは、最初の「セールスライター」から少しずつ社内の「広報ライター」のような形の仕事が多くなり、最終的にはWantedlyの運用を丸っと任せてもらえるようになりました。
Wantedlyの企業ランキングを全社25,000社中、当時2,500位くらいだったところから15位くらいまで上げたり、ぼくの書いたインタビュー記事を読んだ学生の方から「この社員の方の記事を読んでwevnalに応募したいと思ったので、ぜひこの方に面接していただきたいです」と連絡をいただいたりしました。
1年間とにかく全力で駆け抜けて、休学インターンの最終日には、社長から「いま渡しても入社するの2年半後だけど、日本一早い内定証書だよ!」と内定をもらいました。
ただ「一旦保留って形でも大丈夫ですか・・・!」という返答をして、地元の兵庫へと帰省。そして復学。
これがぼくの、wevnal「1回目」の退職です。
「よくぞ!!!!!!!」
気づけば2019年の2月。
wevnalでのインターン終了から5ヶ月が経ち、ぼくは京都の山奥で瞑想をしていました。
いわゆる「就活」をするにあたって、wevnalからの「内定証書」を「保険証」のようには使いたくなくて。
だからぼくは「wevnalに入社するか」もしくは「wevnalの内定を断って就活をするか」を瞑想しながら考えていました。
そして開いたのは「俺はwevnalに入社する人間だ!」という悟り。
下山したその日に社長に「入社させてください!」とDMしました。
別の会社で再びゼロから信頼を積み重ねるよりも、wevnalである程度の信頼関係ができている状態からであれば、いろんな仕事を任せてもらえそうだなという打算。
そして最後の最後は、wevnalの皆さんがいるFacebookのタイムラインに「◯◯って会社に入社します!」って、wevnal以外の社名を書いている自分の姿が想像できませんでした。
こうしてぼくは、2020年の4月から、改めて「正社員」という形でwevnalに入社したのです。
崩壊した「涙腺」と「プライド」
2020年の10月。
コロナ禍によってサラッと過ぎた4月の入社式から半年が経ち、ぼくは渋谷のセンター街にある居酒屋で号泣していました。
入社してからの6ヶ月、ぼくはあり得ないくらい成果を出していなかったです。
マジのポンコツ。
入社後は立ち上げられたばかりのマーケティング部署に配属されたのですが、ウェビナーの司会をやれば緊張し過ぎて自分でも何を話しているか分からなくなるし、SalesforceやPardotといったマーケティングツールは、ぼくにとっては難し過ぎて全く使いこなせていなかったです。
「俺は何でもできる」という全能感だけを持って入社したのですが、待っていたのは「俺は入社してから何もできてないな」という無力感。
インターンの時から可愛がってもらっている先輩と2人で渋谷のセンター街へ飲みに行き「まずはできない自分を受け入れることが大事だよ」と言われ、ぼくの「肥大したプライド」と「涙腺」は崩壊しました。
そして奇遇にも、ぼくの天狗ライフが終わりを告げたのと時を同じくして、マーケチームの新しい施策として「オウンドメディアの立ち上げ」が始まりました。
マーケチームと言っても、当時メンバーは副社長とぼくの2人しかなかったので、現場の責任者はもちろんぼく。
副社長からは「ここがふじもんの本領発揮しやすい場所だ。やってこい!」と背中を押していただきました。
外部のライターさんをディレクションしながら、ローンチのタイミングで公開する50本の記事の準備に奔走。
「年内に入稿完了」の目標に向けて、クリスマス・イブもクリスマスの夜も、原稿と一緒に過ごしました。
そして2021年の年明けに、無事ローンチ。
いま10本以上の記事が、狙ったキーワードのSEO1位を獲得していて、3位以内までに広げると25本以上がランクインしています。
「あ、俺ってやっぱり文章が好きなんだな」と、改めて感じたメディアの立ち上げ準備でした。
「俺この1年間で何をやってきたんだろ」
2021年の4月。
ぼくの眼前には、総会で新人賞受賞のスピーチをする、2人の同期がいました。
いまからすごくカッコ悪いことを言いますが、強がりでもなんでもなく「新人賞が欲しいな」って気持ちで働いた時間は、入社してから1秒たりともなかったです。
ただ、8人しかいない新卒1年目のなかの「2人にすら選んでもらってない自分」という現実を見たときに「俺この1年間で何をやってきたんだろ」って脱力感だけが、襲ってきました。
オウンドメディアも少しずつ形にはなってきていましたが、やっぱり数あるマーケティング施策のうちの1つでしかないし、それは組織としての経営戦略上、当然のことです。
「あ、俺もっと文章を書きたいな」と思いました。
ぼくは「会社を辞めます」と伝えました。
これが、ぼくのwevnal「2回目」の退職です。
「いまの俺ができる、wevnalへの最大の恩返しかもしれんな」
2021年の5月。
奇遇にも、ぼくのwevnalライフが終わりを告げかけたのと時を同じくして、会社がMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を刷新したため「MVV浸透プロジェクト」が始まりました。
そして会社からいただいた「経営陣4名にインタビューして、新しいMVVを社内外に発信していきたいから、手伝ってくれない?」というお声がけ。
最終退社日も決まって、もう全社周知の2歩手前くらいまで来ていたのですが「これがいまの俺ができる、wevnalへの最大の恩返しかもしれんな」と思い、文字通り全身全霊で言葉を紡ぎました。
紡ぎ過ぎて、社長のインタビュー記事は人生で初めての10,000字超え。
インタビュー記事だけだとこぼれ落ちてしまうものがあるなということで、全社員の時間をいただいて70〜80人規模の社内座談会を開き、経営陣4名の口から直接、MVVをもとにした組織や世の中への想いを伝えてもらう機会も作りました。
「丁寧な司会で良かった!」というありがたい言葉も、座談会後に何人かの方から直接言ってもらい、うれしかったです。
そうこうしているうちに、弊社が6億円の資金調達をしたので、投資していただいたVCの方々と社長との対談記事も、担当させてもらいました。
その記事も、10,000字超え。
4月末にぼくが辞めることを決めた時、散った桜が道を塞いでいた近所の公園は、気づけば金木犀の香りが漂っていました。
そんなの絶対に、惚れてまうやろ
そして今日、2021年11月16日。
改めて、ぼくは会社を辞めることにしました。
これがぼくにとっての、wevnal「3回目」の退職です。
正直、この半年間を過ごすなかでめちゃくちゃ考えました。
そんなの、経営陣の皆さんの近くで「この会社をもっと良くしていきたいんだ!」とか「世の中にもっと価値を提供していきたいんだ!」とかって想いを聴き続けていたら、wevnalのことをもっと好きになるに決まってるじゃないですか。
それに、数本インタビュー記事を書いたり、座談会を開いたりしたくらいじゃ返せないくらい、ぼくはwevnalからたくさんのものを与えてもらいました。
そして経営陣の皆さんだけでなく、社員の皆さんも本当に優秀な方たちばっかりだし、本当にぼくのことを可愛がってくれる方たちばかりです。
本当に最高に、恵まれた環境だなって思います。
一番賢い手段だからこそ、選べない
でも「俺ってwevnalのことが好きなんだな」という気持ちが強くなるのと同じくらい、半年以上ぶりくらいにインタビュー記事を書き連ねる日々を過ごすなかで「俺って文章を書くことが好きなんだな」という気持ちも強くなりました。
インタビューがもっとうまくなりたい。文章がもっとうまくなりたい。
そのためには外の世界を見て、自分以外の物差しを持つことが必要だなと思いました。
「このままwevnalを続けて、副業でライターをするのが一番リスク小さいんじゃない?」と、社内のいろんな先輩からアドバイスしてもらいました。
ぼくもそう思います。
まずは副業としてやってみて、軌道に乗ってきたタイミングで独立って手順が、絶対に一番賢いです。
でもこれまで150本以上のインタビュー記事を書いてきたなかで気づいたのは、ぼくは「何かリスクをとって挑戦している人の声」を世の中に発信するお手伝いがしたいんだなということ。
であれば、そういった人たちと同じ土俵に立ったうえでインタビューという「対話」をするため、そしてそういった力のある人たちと同じかそれ以上の力を付けて「応援する権利」を得るためには、ぼくもぼくなりのリスクの取り方をして、もっともっと力を付けなければいけないなと感じました。
「前向きな消去法」
ここまで読んでいただいた方々には伝わったかと思いますが、ぼくはそんなイケイケの若者ではありません。
学生インターンとしてお世話になっていた4年前から今日まで、毎日水面下で足をバタつかせながら、時には溺れかけながら、何とか前に進んできました。
とてつもない全能感だけを持って社会人生活を始めてみたら「俺って意外と不器用な人間だったんだな」と気づきました。
ぼくの中にある「できること」や「やりたいこと」リストに消去法を使ったら「文章を書くこと」しか残ってなかったです。
でも逆に「高級ステーキ」と「高級お寿司」と「文章」が並んでいても、ぼくは「文章」を選ぶと思います。
それくらい「前向きな消去法」です。
ぼく史上、いまがwevnalのことが一番好き
結局ぼくは「文章を書きたくてwevnalに入社して、文章を書きたくてwevnalを退職する」ことになりました。
辞める実感は、いまのところ全くないです。
気を抜いていたら、明日も出勤しちゃいそう。
でも、実感がない理由は何となく分かっていて、感覚的には「wevnalを退職する」というより「wevnalの正社員ではなくなる」って方が近いからです。
メルカリ出身の方々がTwitterでよく使っている「株式会社インターネット」って表現、めちゃくちゃ素敵だなと思っていて。
「企業」と「個人」の関わり方って「正社員」だけじゃないし、この先ぼくがちゃんと力を付け続けていけば、どこかで何らかの形で、また関われるんじゃないかなと思っています。
だからあんまり、寂しくないです。
うそです。寂しいです。
社員の人たちとチャット上で言い合ったしょうもない冗談も、残業してる数人のメンバーで生まれる「ちょっと一杯飲みにいっちゃう!?」というノリも、明日から全部なくなると思うとすんごく寂しいです。
でも、ぼくが自分で選んだ道なので。
wevnalにはまだまだ恩返ししきれていないのですが「独立して大きく羽ばたいて『ぼくの原点はwevnalです』とドヤ顔すること」も、またひとつの恩返しだなと気づきました。
「wevnalのことが大好き」と「wevnalを辞める」は、同時に成立させられるのだなと気づきました。
今日がぼく史上、wevnalのことを一番好きです。
辞める会社のことを大好きなまま辞めさせてくれるwevnalのことが、ぼくは大好きです。
4年間、とってもお世話になりました。
これからはwevnalへの「恩返し」と世の中への「恩送り」を、両方フルスロットルでやっていきます。
またオフィスへ遊びに行った時は、温かく迎え入れてください。
その時には、グングン成長した姿を見せられるようにします!
2021.11.16 藤本 健太郎
wevnalでは現在、事業の拡大に伴って全方位的に採用を強化中です!
インターンにWantedlyの運用を丸々任せたり、新卒1年目にオウンドメディアの立ち上げを任せたり、新卒2年目に「MVV」っていう会社の根幹を発信するコンテンツの作成を任せたりするくらい、機会に溢れためちゃくちゃ最高の会社なので、ご興味ある方はぜひ募集ページをご覧ください。
そしてぼくは12月から、フリーランスとして活動予定です。
その人の想いを発信するインタビュー記事が得意なので、ご興味ある方はぜひyusateme.10@gmail.comか下記のTwitterアカウントのDMにて、ご相談ください🙇♂️
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