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【短期・長期での違い?⏰】「日本の為替介入の分析」:経済論文解説 No.21 2023/08/18


Introduction:卒業論文は早めに仕上げたい💛


私もいよいよ卒業論文の執筆に
取りかかる時期がやって参りました👍

何事もアウトプット前提のインプットが
大事であると、noteで毎日発信してきました

これは、どのような内容で
あっても当てはまります👍

論文を一概に読んでも
記憶に残っていなかったり
大切な観点を忘れてしまっていたりしたら
卒業論文の進捗は滞ってしまうと思います

だからこそ、この「note」をフル活用して
卒業論文を1%でも
完成に向けて進めていきたいと思います

私の卒論執筆への軌跡を
どうぞご愛読ください📖

今回の参考文献📚

今回、読み進めていく論文は
こちらのURLになります👍

『日本の為替介入の分析』 伊藤隆敏・著
経済研究 Vol.54 No.2 Apr. 2003

前回の内容📖

介入効果を評価するためのタイムスパン🌟

今回の投稿では、介入効果を評価するにあたっての、期間の選択「短期・長期」について検討することにします

介入が行われたというが判明した瞬間には、為替レートは、ジャンプするのが通例です

実際に、私が研究対象とする「2022年の円安是正介入」の直前の動向を見てみると以下のように、円高方向へジャンプしていることがわかります👍

2023/08/17 10:51 閲覧

介入による直接的な(Bid または Ask を Hit していく)効果によるものと、その介入の存在を知ったディーラー達が、期待を変えて、取引のレンジを変えることによるものという要因が挙げられるのです📝

しかし、介入から時間が経つに従って、介入の大きさや、介入に伴うコメントの影響もあって、介入の当初の効果が薄れることも充分想定されます

逆に、介入をきっかけとして、市場参加者の期待が変わり、介入当初の効果が更に強化されることもある点が、政策評価の難しさを極めているように思います

したがって、どのような期間で考察するのかという前提条件を踏まえた上で、「介入効果」が有効であったと判断できるか、ならびにその結果の解釈が差異が生まれることに異論は無いでしょう📝

ここでは、公表データによって測ることのできる最小単位が、日次であることを考慮して、「超短期」を、介入が行われた日の変化と定義していくことにしましょう

日本の通貨当局の介入が、東京市場で実施されることもあれば、ニューヨーク市場で実施されることもあります

従って、t日の介入を含む最小時間帯は、t-1日のニューヨーク終値から、t日のニューヨークの終値であることになります

このように、そこで、超短期の効果は、事前をt-2からt-1日までの、 ニューヨーク終値で、事後を t‐1 日から t 日のニューヨーク終値で定義して、介入の効果を定義することになる点をしっかり確認しておくことが大切です

①超短期のケース

超短期とは、為替介入が行われている時間を含む短い期間になります

為替介入が、t日の東京時間に行われたとすると、t-2日からt-1日の動きとt-1日とt日の動きを比較して、効果を判断することになります

しかし、一日だけの為替レートの動きから、介入の効果を評価するのは、適切ではないと考える人も多いでしょう

その理由としては、2日後には、介入効果が「剥げ落ちる」かもしれないからです

介入による為替レートの変化が、1日しか継続しなかった場合に、介入が効果があったとは、評価できない、という見解もありうるからです

逆に、介入当日は、介入効果(意図した為替レートの変化)がなかったものの、翌日になって、介入警戒感が浸透することにより、介入効果が出てくることも十分考えられるのです

そこで「短期」という概念をもう一度確認する必要があると思います

②短期のケース

この論文では、「短期」の効果が次のように定義されていました

短期とは、介入が行われた日を含まない前3日間のドル・円レートのトレンド線の傾きと、 介入が行われた日を含む後3日間のドル・円レートのトレンド線の傾きを比べるという状況を想定しています

ここで、難しいポイントなのは、介入がしばしば毎日行われていたケースに対する評価になります

すなわち、介入の評価をする時期「事前」の期間にも、「事後」の期間にも、介入が行われていたとすると、これは、介入効果の分析になりません💦

例えば、以下のケースが該当します
介入を2日連続で行った際に、1日目の介入の効果は2日目の介入 の効果と重複してしまい、単体としては分析不可能となります

したがって、短期の分析につき、介入日を含む3日間のドル・円レートを基に分析する場合には、中2日間を置かずに行った介入を1単 位とし、この単位(cluster)毎に介入の効果を分析することとすれば、この問題は解決されることになります

ただし、その代わり、サンプル数は減少しますので、実証分析において留意する必要があるのです

そのために、さらに、介入の効果を長い期間で定義することも考えられるでしょう

③長期のケース

本論文における長期とは、介入が行われた日を含まない前7日間のドル・円レートのトレンド線の傾きと、介入が行われた日を含む後15日間のドル・円レートのトレンド線の傾きを比べることによって政策効果を判断するという期間の概念となります

ただし、この場合には、中14日間をおかずに行った介入を 1 単位(Cluster)として、 その効果を分析することとなりますので、サンプルサイズなどによるバイアスの存在も発生しやすくなってしまうでしょう

超短期のように、短い時間で介入効果を計測しようという考え方は、資産価格は、新し い情報を織り込むまでには時間はかからない、というファイナンス理論の考え方に忠実なものと考えられます

その理由としては、長期の時間をとることで、介入以外に大きな影響をもつ事件(Event)が発生することがあり、介入効果を純粋に取り出すことが、困難となるからです

その一方で、マクロ経済学的に考えると、介入がたとえ超短期に成功したとしても、その後、効果を失ったとしたならば
その介入は、ノイズと変わらない、という結論になってしまいます

したがって、介入効果という場合には、あくまでも、長期的な効果を持たなくてはいけない、という立場になるのです

ただし、超短期には効果がなくても、当局の意図が次第に浸透することにより、長期的に効果を持ってくる場合も想定されます

このように、超短期でみるのがよいのか、短期でみるのがよいのか、はたまた長期でみるのがよいのかに、ついては、どのような現象をとらえようとするのか、またどのような効果の仕組みを考察しようとするのか、により異なった立場がありうるのも当然のことなのです📝

単独か協調介入か✨

アメリカの金融当局による介入は、データがNY連銀四季報で公表されています

以下では、日米で同時に介入が行われたか否かで、効果に差があるかどうかを考察していくことにしましょう

本論文では、日米の「同時介入」を、日本とアメリカが同じ日に介入を行っている場合と定義されています

アメリカの場合には、ほとんどすべての介入は、ニューヨーク時間の行われているとされています

したがって、日米の同時介入は、日本の介入が日本時間あるいや委託介入としてヨーロッパ時間におこなわれたあと、アメリカの介入がニューヨーク時間で行われる場合と、日本の委託介入と米当局の介入が、ともにニューヨーク時間で行われるケースが想定されます

しかしながら、ここでは、日次データをつかっているので、この二つの場合を区別することはできません

アメリカの金融当局による介入は、1991年4月から、2001年3月までの10年間に合計22回介入しています

また、1992年 1 月-2 月にかけて3回円買い介入、1993年4月から8月にかけて5回、円売り介入しています

1994年4月から1995年8月にかけて、100円近辺 から、80 円まで円高が進行し、その後、100 円近辺に戻す過程で、13 回、円売り介入を行っています

1994年11月2日には、8億ドル
1995年4月3日には、7.5 億ドルの円売りを行ったのが、規模 1 位、2 位であります

また、この後の円安進行の中で、1998年6月17日に、8.33億ドルの円買い介入をしています

これは、アメリカによる介入規模としては、 過去最大であったとのことです📝

このような歴史をしっかり理解した上で、卒業論文執筆に取り組んでいきたいです👍

本日の解説は、ここまでとします

今回、私が卒業論文執筆において取り上げる
24年ぶりの「円安是正」介入は本当にレアな経済政策
ということを再認識できたような気がします💖

私の研究テーマについて🔖

私は「為替介入の実証分析」をテーマに
卒業論文を執筆しようと考えています📝

日本経済を考えたときに、為替レートによって
貿易取引や経常収支が変化したり
株や証券、債権といった金融資産の収益率が
変化したりと日本経済と為替レートとは
切っても切れない縁があるのです💝
(円💴だけに・・・)

経済ショックによって
為替レートが変化すると
その影響は私たちの生活に大きく影響します

だからこそ、為替レートの安定性を
担保するような為替介入はマクロ経済政策に
おいても非常に重要な意義を持っていると
推測しています

決して学部生が楽して執筆できる
簡単なテーマを選択しているわけでは無いと信じています

ただ、この卒業論文をやり切ることが
私の学生生活の集大成となることは事実なので
最後までコツコツと取り組んで参ります🔥

本日の解説は、以上とします📝

今後も経済学理論集ならびに
社会課題に対する経済学的視点による説明など
有意義な内容を発信できるように
努めてまいりますので
今後とも宜しくお願いします🥺

マガジンのご紹介🔔

こちらのマガジンにて
卒業論文執筆への軌跡
エッセンシャル経済学理論集、ならびに
【国際経済学🌏】の基礎理論をまとめています

今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参りますので
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます📚


最後までご愛読いただき誠に有難うございました!

あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏

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