KENOTE

中学生の頃は小説家になりたかった内科医です。血液が専門です。たまに嫁が登場します。

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中学生の頃は小説家になりたかった内科医です。血液が専門です。たまに嫁が登場します。

最近の記事

医局をやめて転職してパパ休をとった話③ 

育休(パパ休+有給)が始まって1か月強。 鶏むね肉のレシピをインスタで漁っては作り、kurasiruやクックパッドの偉大さを知る毎日を過ごしていますが、ミルクをあげながら論文を読んでなんとか世間に遅れをとらないようにしています。 妊娠が判明してから毎日飲んでいた酒を断ち、子供が生まれてから妻が退院するまでの間だけ解禁。ビールの不味さにびっくりし、再度禁酒生活を送っています。うちは妻は酒が飲めないのでよく分かりませんが、酒好きな奥さんの場合は基本的に夫側も妊娠中は禁酒すべきだ

    • chatGPTにERに運ばれてきがちな患者対応をやらせてみる

      chatGPTに医師国家試験を解かせたところ55%の正解率だったという記事を読みました。55%というのは正直かなり低いですが、AIがそれだけ解けたというのはすごいです。 あれは選択肢があるので簡単なのですが、実際の臨床では鑑別をあげてやるべき検査や治療を考えていくというのが大事で、そういうのにchatGPTはどれだけ対応できるのか? というのをやって遊んでみました。 「老人施設入所中の寝たきりの89歳女性。1週間前から食事摂取が低下し受け答えが出来なくなってきたため受診

      • 大学病院の助教が医局をやめて転職、パパ休をとってみた話② 育休とれませんといわれた話

        田舎に引っ越して、転職先探し。これはm3さん経由でいろいろな紹介会社に応募し、最終的に3つの病院の面談を経て今の病院に決まりました。 そのとき妊娠20週くらい。 「育休をとる」 ことを面接ではっきり宣言、それでもOKというところに就職しました。 保育園も事前に見学しました。延長保育はやっているか、土曜日の保育はやっているか、夜間保育はやっているか、何か月から入園できるか、などを確認しました。 この条件もクリアし、なんだかんだで無事出産。そのあとに電話がかかってきて、

        • 大学病院の助教が医局をやめて転職、パパ休をとってみた話①

          とある有名な駅舎のある田舎で初期研修を終えたあと、母校に帰って血液内科として7年勤務しました。 大学院を終え、基礎研究はまったく成果をあげられませんでしたがなんだかんだで助教になり、そうこうしているうちに結婚、妻の妊娠が発覚しました。 我が医局で子供のいる男の先生は何人もいますが、みな育休など取得せず、朝から晩までひたすら生産性のない雑用と教授の御用聞き。病棟も血液培養とれとか、抗癌剤開始時に医者も立ち会えとか、明日の朝で間に合うような処方を深夜に処方しろとか、とにかく生

        医局をやめて転職してパパ休をとった話③ 

        • chatGPTにERに運ばれてきがちな患者対応をやらせてみる

        • 大学病院の助教が医局をやめて転職、パパ休をとってみた話② 育休とれませんといわれた話

        • 大学病院の助教が医局をやめて転職、パパ休をとってみた話①

          iPS由来血小板の論文

          iPS由来の血小板を聞いたとき、抗HLA/HPA抗体が陽性かつ血小板輸血不応になり、どうしようもなくなってしまった人に対して使っていくのだろうなと考えていましたが、赤十字に頼めばわりと探してくれますし、最悪抗体の特異性さえわかれば的なところもあるし、無いなら無いでええやろ、と思っていたところはあります。 が、論文(この間のblood)をちゃんと読むと、それは違うことがわかります。再生不良性貧血に対して血小板輸血をしたら、HPA-1aに対するHPA抗体を作ってしまい、血小板輸

          iPS由来血小板の論文

          BPAについて -食品添加物についてのお勉強①

          代替医療系の記事の中で、 よく出てくるワードの1つはBPA(bisphenol A)です。 が一番まとまっていると思います。 簡単にいうと50mg/kg/dayで生殖機能への影響なしとしていたのに、0.002mg/kg/dayでも影響があるという実験結果が出てきて、色々問題になった。そのため追試をしたところ、大丈夫だった、ということのようです。 動物でめっちゃ効いた抗癌剤が人で効かないなんてよくある話ですが、逆に動物実験で大丈夫なことが人で大丈夫なわけではないので、とりあ

          BPAについて -食品添加物についてのお勉強①

          輸血にかわるもの

          代替医療系インスタグラマーをよく見ているのですが、 輸血はするな と言っている人がたくさんいます。 たとえば輸血で癌が増えると主張している人もいますが、この手の人たちは大体が 「〇〇の研究で××が示された!」 となっていて、別に主張自体はいいんですが、引用文献がないです。 輸血で癌が増えるという論文なら興味深いので私も読みたいので、わかりやすいところに引用文献書いておいてほしいです。 で、輸血なんてこっちもしたくてしているわけではなく、必要に迫られてやっているわけです

          輸血にかわるもの

          ITPの新薬と鉄欠乏の関連

          鉄欠乏性貧血は、日本人の貧血の原因として最多です。 単に鉄欠乏といっても、過度な運動による鉄の消費、鉄分摂取不足、過多月経、といったものから、偏食、消化管出血(大腸がん、胃がんなど)など、いろいろな原因があり、有名どころだと、山本佳奈先生が「貧血大国・日本」という本を書いています。 確か彼女も私とおなじ血液内科の先生だったと思いますが、血液内科をやっていると意外と鉄欠乏性貧血に出会うことは少ないです。ほとんど一般内科のほうで対応されているからでしょうね。 知識を深めるう

          ITPの新薬と鉄欠乏の関連

          豊胸などで生じる悪性リンパ腫

          本記事は、英国におけるBIA-ALCLのガイドライン(British Journal of Haematology, 2021,192,444–458)をもとに作成しています。 豊胸手術で悪性リンパ腫になる?乳房の中にインプラントを埋め込む手術は豊胸や乳癌術後の乳房再建などで以前から行われていましたが、10年くらい経過して未分化大細胞リンパ腫(ALCL)という悪性リンパ腫を発症する例が多数報告され、乳房インプラント関連ALCL(BIA-ALCL)という概念が確立されまし

          豊胸などで生じる悪性リンパ腫

          忙しい人のためのFL初回治療の論文

          濾胞性リンパ腫の1st lineはいろいろあるが、どの治療がよいかということはまだ確立されていない状況です。Wang et al., Blood Cancer Journal (2022)12:1で報告されたnetwork meta-analysisにおいて、4700名くらいを解析。R-CVP、R-CHOP、BR、G-CVP+G維持、G-CHOP+G維持、GB+G維持、R-Len+R維持、R-CVP+R維持、R-CHOP+R維持、BR-R+維持、BR+R維持4年を比較検討した

          忙しい人のためのFL初回治療の論文

          ケイセントラの溶解用キットが異常に使いづらいからなんとかしてほしいと思っている人が自分以外にもいて嬉しかった

          ケイセントラ(ワーファリンの拮抗剤)の溶解用キット、なんであんなんなんですかね…。ナースさんに聞いてみたら「あれ使いづらいから普通にシリンジで溶解してるよ」とのこと。出血やべえワーファリン飲んでてINRやべえって時にさらなる試練を課してくるストロングスタイル。 私が医者になった頃はDOACが出るか出ないかといった頃で、癌関連のVTEに関しては、ヘパリンとDOACの間でどういう差があるかわかっていませんでしたが、CARAVAGGIO試験(アピキサバンvsダルテパリン)、HOK

          ケイセントラの溶解用キットが異常に使いづらいからなんとかしてほしいと思っている人が自分以外にもいて嬉しかった

          BMJのクリスマス特集を眺める時間がないくらいには忙しい

          いろいろな病院で当直に行かせてもらっていますが、今年はほんとうに発熱の患者さんが少ない。老健から運ばれてくる誤嚥性肺炎や尿路感染はなんというか例年と変わらずという感じですが、とにかく市中の感染症が少ない気がします。 コロナ前は、10~11月くらいに発熱の患者さんにインフルエンザの抗原をオーダーしだし、大体最初は陰性ですが、ぱらぱらと陽性が出始めるとともに冬が訪れるというかんじ。 今年は脳梗塞や心筋梗塞の患者さんが増えてきて、本格的な冬の訪れを感じるというかんじでした。

          BMJのクリスマス特集を眺める時間がないくらいには忙しい

          夫からのプレゼント

          初めまして。嫁です。 夫にがGRAFFのピアスを プレゼントしてくれました✨ クリスマスだけじゃなく、 毎月記念日には花束をプレゼントしてくれるし、 夫は本当にずっと私を女性として見てくれるから 凄く幸せ✨✨✨ この幸せが永遠に続きますように☆彡

          夫からのプレゼント

          鉄欠乏性貧血とは

          鉄欠乏性貧血が頻度が高い国民病であるとか、背景に婦人科疾患や消化器疾患があるから検索をちゃんとするとか、鉄をちゃんと補充するとか、緑茶と鉄剤を飲ますと吸収が落ちるからよくない(あんまり根拠なし)とかビタミンCと一緒に飲むと吸収がよくなるとか(食事中の鉄ならそうだが薬の場合はあまり関係なし)、CKDの患者とか透析患者ではいろいろ考えることがあるとか、 それはまあそれとして。 TMPRSS6の変異などにより先天性に鉄欠乏性貧血がおきることがあることも専門医テキストを最初から読

          鉄欠乏性貧血とは

          CAR-T療法前のbridging

          医者1年目からevernoteに読んだ論文の要点をずっと書き続けていて、それを外に出すために始めたnoteです。かみ砕いてますが専門的な話題を多く含みます。 B細胞性ALL、再発難治DLBCLに対してリンパ球を採取したあと、投与まで腫瘍の病勢を抑えるためにbridging therapyとしていろいろなお薬が投与されることがあります。 axi-celのZUMA-1試験ではステロイド以外bridging禁止だったみたいですが実臨床では普通にやっているっぽいですね。 DLB

          CAR-T療法前のbridging

          Lanifibranor

          このnoteでは基本的には最近お勉強したことを書いていきます。 以前からevernoteに読んだ論文の論点を書くということを研修医1年目からやっていて、それをそろそろ外に出したいなというのがnoteをはじめたきっかけです。もちろん、分かりやすくかみ砕いています。 非アルコール性脂肪肝、NASHとかNAFLDとか呼ばれるものがあります。 肥満や糖尿病の人でかなり頻度が高く、肝硬変や肝細胞癌のリスクとなるわりに、痩せてくださいお薬はありません、という感じで対応されることがほ

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