見出し画像

CAR-T療法前のbridging

医者1年目からevernoteに読んだ論文の要点をずっと書き続けていて、それを外に出すために始めたnoteです。かみ砕いてますが専門的な話題を多く含みます。

B細胞性ALL、再発難治DLBCLに対してリンパ球を採取したあと、投与まで腫瘍の病勢を抑えるためにbridging therapyとしていろいろなお薬が投与されることがあります。

axi-celのZUMA-1試験ではステロイド以外bridging禁止だったみたいですが実臨床では普通にやっているっぽいですね。

DLBCLならPola-BRとか、ALLならinotuzumabとかblinatumomabとかいろいろありますし。

ですが、「bridgingをせざるを得ない」と「bridgingをした方がよい」は全然違う話で、

bridgingをいれてCAR-T前に腫瘍量を最大限減らした方がよいのか、しなくて済むならしない方がよいのか、

それはわかっていませんでした。

ここ最近そういう話題の論文がわりとpublishされ、例えば19-28z CAR-TでB-ALLでbridgingをしてresponseが得られた患者はresponseなしの患者より予後がよいという報告がleukemiaに出てきました。腫瘍量が少ないほどCAR-Tの効果が高いことは既に報告されているので、それに矛盾しないかなという結果です。

あとDLBCLではbridgingをした患者としなかった患者で予後が変わらなかったという報告がbritish journal of hematologyに出てきたりして、これはbridgingをした(=せざるを得なかった)患者のうち抗癌剤とかが必要だった患者の予後が悪かったというblood advancesでの報告と微妙に異なるものでした(逆にradiationなら予後の悪化なし)。

ICANSやCRSの発症についてはbridgingをしてもしなくても変わらないっぽいので、ALLでは可能ならblinaとかでbridgingしてMRD陰性を目指してからCAR-Tを入れ、DLBCLでは病勢が落ち着いているなら化学療法を無理にいれる必要はなく、もしradiationで済むならradiationだけでbridgingを行ったほうがよさそう、というのが今の段階での状況でしょうか。

ただ、根拠はないですがALLはapheresis→bridge→CAR-T→alloという流れになっていきそうな気がします。CAR-T前にblinaいれると再発が増えるという話もあったので、それがどうなるかも気になるところです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?