ケイセントラの溶解用キットが異常に使いづらいからなんとかしてほしいと思っている人が自分以外にもいて嬉しかった

ケイセントラ(ワーファリンの拮抗剤)の溶解用キット、なんであんなんなんですかね…。ナースさんに聞いてみたら「あれ使いづらいから普通にシリンジで溶解してるよ」とのこと。出血やべえワーファリン飲んでてINRやべえって時にさらなる試練を課してくるストロングスタイル。

私が医者になった頃はDOACが出るか出ないかといった頃で、癌関連のVTEに関しては、ヘパリンとDOACの間でどういう差があるかわかっていませんでしたが、CARAVAGGIO試験(アピキサバンvsダルテパリン)、HOKUSAI VTE Cancer(エドキサバンvsダルテパリン)、SELECT-D(リバロキサバンvsダルテパリン)など大きな臨床試験が行われ、だんだんとDOACで良くない?みたいな流れになってきたので、地味ながら近年activeに変化している領域ではあります。

専門分野だとレナリドミドなど内服している患者さんで血栓予防のためのアスピリンが必要なのですが、血栓ハイリスクの場合はヘパリンが推奨されていますが、さすがに大変なので(あと人種的に血栓が少ないというのもあると思いますが)本邦ではたぶん大体アスピリンです。DOACでも大丈夫なんじゃないかというのは大半の血液内科医が思っていることかと思いますが、実際はエビデンスがなく、変な話ですがただでさえ化学療法の選択肢が大量にある中そんなところで変にリスクを負いたくないので、一次予防であんまりDOACに手を出す医者はいないのではないかと思います。

そんなかんじですが、心房細動(Af)ではもうDOACの中では何を使えばよいのかという直接比較が行われる時代になってきていて、

RCTのメタ解析(Lopez-Lopez JA, et al. BMJ. 2017;359:j5058.)をはじめ、
DOACの中で消化管出血が少ない(JAMA. 2018;320(21):2221-2230.)、リバロキサバンより出血も血栓も少ない(JAMA.2021;326(23):2395-2404)など、結論からいうとapixabanの1人勝ちみたいな感じです。

1日2回なので、飲み忘れという最大の懸念(…というか1日2回だから血中濃度がDOACの中でもっとも有効と安全のバランスがとれる感じになるのだと思いますが)はありますが。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?