輸血にかわるもの

代替医療系インスタグラマーをよく見ているのですが、

輸血はするな


と言っている人がたくさんいます。
たとえば輸血で癌が増えると主張している人もいますが、この手の人たちは大体が

「〇〇の研究で××が示された!」

となっていて、別に主張自体はいいんですが、引用文献がないです。
輸血で癌が増えるという論文なら興味深いので私も読みたいので、わかりやすいところに引用文献書いておいてほしいです。

で、輸血なんてこっちもしたくてしているわけではなく、必要に迫られてやっているわけですが、そんな中、輸血にかわる人工赤血球に関して、奈良医大からすごい報告が出ていました(Blood Adv (2022) 6 (21): 5711–5715.)

これは人工赤血球(人工といっても、人の赤血球からヘモグロビンを取り出し、それをリポソームで包む。保存も効くし、血液型気にしないで投与してOK・・・というコンセプト。間違ってたらすいません)の第一相試験で、安全性と、投与後のヘモグロビンの上昇が示された、というものです。

保存の効くフリーズドライの血小板は海外から報告が出ています(Am J Hematol. 2022;97:256–266.)。人工赤血球もフリーズドライの血小板も献血者は必要としますが、保存が効くことは供給の安定性につながりますし、たいへん素晴らしいと思います。本邦でiPS由来の血小板を投与したという話も聞きますし、もしかしたらフリーズドライの技術はこれと相性がいいかもしれません。

将来的には献血者に負担のかかるような形での輸血はなくなるとといいなとは思っていますが、まだまだ必要なのが現状です。


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