BMJのクリスマス特集を眺める時間がないくらいには忙しい

いろいろな病院で当直に行かせてもらっていますが、今年はほんとうに発熱の患者さんが少ない。老健から運ばれてくる誤嚥性肺炎や尿路感染はなんというか例年と変わらずという感じですが、とにかく市中の感染症が少ない気がします。

コロナ前は、10~11月くらいに発熱の患者さんにインフルエンザの抗原をオーダーしだし、大体最初は陰性ですが、ぱらぱらと陽性が出始めるとともに冬が訪れるというかんじ。

今年は脳梗塞や心筋梗塞の患者さんが増えてきて、本格的な冬の訪れを感じるというかんじでした。

血圧管理に関して、ある程度重症な人には2剤(カルシウム拮抗薬+ACE/ARBなど)で開始するというのが推奨されていますが、実際は1剤から開始する医者のほうが多いのではないでしょうか。で、それで効果不十分なときに増量するか、もう1種類足すべきか、というのはあんまりデータがなく、

先日のAnnals of internal medicineに出ていた退役軍人のコホートを用いたretrospective analysisは良かったです。178562名の高血圧患者で、治療を強化する場合に45575名においては新しい薬剤を追加し、132987名においては今内服している薬剤を増量していた…という数の暴力のような解析で、新しい薬剤を追加するほうが降圧効果は高いが忍容性に劣るという結果でした。

スリランカで行われたtriple combinationのRCT(JAMA. 2018;320(6):566-579)やこないだlancetに出ていた4種類のcombinationのRCT(QUARTET trial)では少量のcombinationの方が単剤のhigh doseより降圧効果もたかく、忍容性もあんまり変わってなさそうだったので、

非専門の私からするとこのretrospective analysisの結果は意外でした。個人的にはアムロジピン5mgとか、CCBをぼちぼち使ってうまくいかなければオルメサルタンあたりのARBを少量から足してくことのほうが多く、

その慣習を変えるほどのimpactは(何様のつもりだというかんじですが)特にはないのですが、

心の片隅にはとどめておこうかと思いました。

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