研究社note

創業1907年の出版社。英語の辞書や語学書を作っています。主な刊行物は『新英和大辞典』…

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創業1907年の出版社。英語の辞書や語学書を作っています。主な刊行物は『新英和大辞典』『リーダーズ英和辞典』『コンパスローズ英和辞典』『英文解釈教室』『英語リーディング教本』など。noteでは広く「言語」をテーマとする記事を載せていきます。

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  • 批評キーワード辞典 re-entry

    日常の言葉の中に潜む社会と時代の刻印を抉り出す試みです。

最近の記事

『英文解釈クラシック』シリーズ

大好評『英文解釈クラシック』シリーズの新刊(基礎編)が、2024年3月19日に発売となります。 「単語を覚えて、たくさん読んでいるのに、英語の成績が思うように伸びない……。」 こうした悩みの多くは、英語の「正しい読み方」がわかっていないことが原因です。日本語と英語では構造が大きく異なるため、英文を読む際になんとなく単語の意味をつなぎ合わせるだけでは、一定以上の難易度には対応できず、成績は頭打ちになってしまいます。 『英文解釈クラシック』シリーズでは、英語の「正しい読み方

    • 英和辞典にまつわる素朴な疑問 Q&A

      2023年10月に『ライトハウス英和辞典(第7版)』が刊行されます。第6版の刊行が2012年なので、今回は11年ぶりの改訂となります。 刊行を記念し、今回は英和辞典に関して「編集部では当たり前だけど、読者の方々の中には疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれない」という「素朴な疑問」にお答えする形で記事を執筆しました。そのなかで、今回改訂された『ライトハウス』にも少し触れたいと思います。 Q. 英和辞典の「収録語数」って何? 皆さんが英和辞典を選ぶとき、一つの判断基準とさ

      • 『英語語源辞典』と活版印刷裏話

        今回は『英語語源辞典』とちょっとした裏話のご紹介です。 『英語語源辞典』ですが、堀田隆一先生に「ゆる言語学ラジオ」、Voicyでご紹介いただいたのをきっかけに、読者の皆様からも新たな反響をいただいております。堀田先生には、たくさん語源辞典があるなかで「日本語で書かれたものでベスト」(場合によっては世界一)と評価していただいています。ありがとうございます。 ★寺澤芳雄(編)『英語語源辞典(縮刷版)』▶Amazonへのリンク ★堀田隆一先生の『英語の「なぜ」に答える はじめて

        • 『パズルで解く世界の言語』サンプル問題&書店イベント

          サンプル問題6月刊行の『パズルで解く世界の言語――言語学オリンピックへの招待』はちょっと変わったパズル本です。 ここでは書籍未収録のサンプル問題をご用意しました(※書籍の問題はすべて書き下ろしです)。予備知識は不要なので、ぜひ挑戦してみてください! 解答時間目安:  初級3-5分/中級5-10分/上級10-15分/難関15-30分 ※私的利用以外のDLや印刷は禁止です。 書籍では、気軽に取り組める問題から、試行錯誤必須の解き応えたっぷりの問題まで全51言語を扱っています

        『英文解釈クラシック』シリーズ

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        • 批評キーワード辞典 re-entry
          9本

        記事

          気持ちが伝わる! リアルフレーズBOOKシリーズ【9言語】

          4月になり、進学・進級や語学番組などをきっかけに、新しい言語に挑戦する方もいらっしゃることと思います。 そこで、今回は『リアルフレーズBOOK』シリーズをご紹介いたします。 本シリーズでは、ネイティブが使う自然な言い回しが学べます。 どの言語も、ベーシックな表現から、喜怒哀楽・ビジネス・恋愛・グルメ・慣用句など、思わず使ってみたくなる表現満載です。 ポイントとなる語彙や文法の解説付きで、独習者も安心して使えます。 また、実際の音声は付属CDやダウンロードで確認できます。

          気持ちが伝わる! リアルフレーズBOOKシリーズ【9言語】

          『コンパスローズ和英ライティング辞典』

          まえがき本書は以下のような方針で編集されています。 英文ライティングに役立つ、頻度の高い用例(フレーズ、例文、テンプレート)を集める。用例からキーワードとなる英単語を設定し、それに日本語を対応させて、辞典形式に編集する。キーワードは直訳の観点だけでなく、場合によっては用途や機能で連想される単語からも検索できるよう設定する。 訳出する文書の性質(レポート、論文、メールなど)を明確にターゲットにした訳語・語法・用例を積極的に掲載する。特にアカデミック・ライティングとビジネス・

          『コンパスローズ和英ライティング辞典』

          「科学的に効果的な英語学習」本特集

          新しい年が始まり、「今年は英語をがんばりたい!」という方もいらっしゃることでしょう。 英語学習は一朝一夕にはいかない長い道のり。 勉強するなかで、モチベーションが下がることもあれば、「こんなやり方で大丈夫かな?」と不安になることもありますよね。 巷には多様な学習アドバイスや成功談が溢れていますが、中には個人的体験や俗説を語ったものも少なくありません。 そこで今回は、「第二言語習得」研究に基づき、効果的な英語の学び方を解説した本を3冊ご紹介いたします。 勉強をどう進めてい

          「科学的に効果的な英語学習」本特集

          憧れのイギリス英語本特集

          弊社のイギリス英語本を7冊紹介いたします。 イギリス英語がもっとわかり、もっと好きになるラインナップとなっております。 ぜひお手に取ってみてください。 イギリス英語でしゃべりたい方に1. 『イギリス英語発音教本』 小川直樹 著 ★初歩から学ぶ正統派イギリス英語発音! 日本人英語を脱却して正統派のイギリス英語を身につけられる、本格的な入門書。発音指導のプロである著者が、日本人の苦手な音を重点的にトレーニングします。初心者でもすぐに学べて現地で役立つ実践的トレーニング本です

          憧れのイギリス英語本特集

          自 由 (河野真太郎)

          ――守るべき「自由」/桎梏としての「自由」 自由とは何か 人はどのような場合に自分が自由だと感じるだろうか。逆に、どのような場合に不自由だ、または自由がないと感じるだろうか。  たとえば、人が外国へ行きたいと望んだとする。ある国に住む A さんは、外国に行こうにも飛行機代がなく、行けないとしよう。別な国の B さんは、お金はあるけれど、住んでいる国が海外渡航を禁止しており、行けないとする。この二人のうち、どちらが自由で、どちらが自由でないと、あなたは思うだろうか。  あ

          自 由 (河野真太郎)

          マネジメント(大貫隆史・河野真太郎)

          ――この語は「管理」を免れているか 「管理」と「マネジメント」 筆者はマネジメントの専門家ではない。いや正確には、用語としての「マネジメント」について専門的知見を有していない、と言うべきか。にもかかわらず、この言葉をキーワードとするのには、もちろん充分な理由がある。  一つの理由は、マネジメントを、専門家の間にのみ通用する用語〔ターム〕と言って済ませられなくなった、ということだ。たとえば、「マネジメント・サイクル」という用語を頻繁に使うのは、おそらく専門家だけだろう。とこ

          マネジメント(大貫隆史・河野真太郎)

          み ん な (秦 邦生)

          ――あなたは「みんな」の一人なのか? 「みんなのうた」の時代〔ころ〕  「タイム・トラベルは楽し/メトロポリタン・ミュージアム……」。表題の「みんな」という言葉を聞いて、筆者の頭のなかに軽快なメロディとともに自動再生されるのは、大貫妙子作詞作曲の童謡「メトロポリタン美術館」の、この一節である。「NHKみんなのうた」ウェブサイトの情報によれば初回の放送月は 1984 年の 4 月から 5 月にかけて。20 年以上前なのに鮮明に覚えているということは、当時小学校低学年だった筆者

          み ん な (秦 邦生)

          サヴァイヴァル (越智博美)

          ――生き残ったことの意味とは? 経済学はサヴァイヴァルの物語を愛好するから サヴァイヴァルものをすぐれて同時代的な物語学として読む宇野常寛は、『ゼロ年代の想像力』のなかで、『新世紀エヴァンゲリオン』(TV 版)が社会的自己実現を疑い、それに頼らぬ承認を渇望する「引きこもり」に向かったことにその源流を見る。この「引きこもり」が、90 年代末からゼロ年代初期にかけて、自己愛に退却する「セカイ系」を産み出すとともに、サヴァイヴァル系物語を産み出した。とりわけ 2001 年前後から

          サヴァイヴァル (越智博美)

          戦 争 (遠藤不比人)

          ――敵は正しく見定められるのか? 「24 時間戦えますか?」 たとえば「自由競争」であるとか「競争原理」などという表現が肯定的な意味で飛び交うのが、私たちの社会の現状である。そういった社会において、「戦争」という言葉の意味内容が、いつのまにか、比喩的なレベルで「競い合う(競争)」といった新自由主義的な美徳と化しているのではないか?この疑問をまずは提出したい。  ここで、かつてある精力剤の CM が採用したキャッチ・コピー「24 時間戦えますか」(1988 年初出)を思い出

          戦 争 (遠藤不比人)

          国 民 (大貫隆史)

          ――この言葉からこぼれ落ちるものは何か 「国民」とは? 「国民」という言葉を、私たちはどんな場面で使うだろうか? もしかすると、すぐには思い浮かばないかもしれない。もちろん、「国民が一丸となってこの難局を乗り切ろう」、といった言い回しを耳にすることはある。しかしそれは、ごく一部の限られた人々(政治家など)が使うのを、例えばテレビなどで(ひょっとすると、やや「しらけ」ながら)目にする、といった感じではないだろうか。家族や友人との会話のなかで、「国民」という言葉を口にすることは

          国 民 (大貫隆史)

          技 術 (河野真太郎)

          ――ナウシカ、フーコー、ハイデッガーの隘路 技術と自然 技術(technology)の対義語は何だろうか。まずは「自然」であろう。いきなり古代ギリシャ哲学の用語を参照するならば、テクネー(technē)とピュシス/フュシス(physis)の対立ということになる。だがここでは難しそうな哲学的議論には深入りせず、常識的に考えてもらえばいい。技術のもっとも広い意味は、現代的な科学技術や工業技術だけではなく、自然を人間の力で、何らかの形に加工すること全般なのである。このように考えれ

          技 術 (河野真太郎)

          コミュニケーション(大貫隆史・河野真太郎)

          ――カタカナ語に潜む罠 日本語のなかのカタカナ語 最初に、いわゆる「カタカナ語」をめぐる問題について、ごく簡単に言及しておいたほうがよいかもしれない。  私たちがカタカナを使うのは、どんな場合だろうか? 外国の人名(「ジョン・ブル」)、地名(「イーストエンド」)などの固有名を標記するとき、私たちはためらいなくカタカナを用いる。ただし、固有名詞ではない言葉をカタカナ語で表記するとき、何らかの「ひっかかり」を感じることがある。  こうした「ひっかかり」――これを「抵抗」と呼

          コミュニケーション(大貫隆史・河野真太郎)