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Buenos Airesの街を行く。

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2015年から住み始めたアルゼンチン、ブエノス・アイレスでの日々。タンゴだけでなく街や人、食を通して感じた、何気ないけれど大切な記憶たち。
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Metropolitanoのない五月

Metropolitanoのない五月

二年前の今日、
ここBuenos Aires では Campeonato de baile de la Ciudad (通称 Metropolitano) と言われるタンゴの大会の決勝が行われれました。

Metropolitano大会とは、Buenos Aires市主催で毎年5月に行われるもので、優勝者には8月の世界大会へのシード権が与えられる、いわば世界大会の予選のようなもの。

私個人として

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-わたしの履歴書-

-わたしの履歴書-

長谷川 恵 (Hasegawa Kei)
アルゼンチンタンゴダンサー
現在はアルゼンチン, ブエノス・アイレスに在住、サロンタンゴのプロダンサーとして活動中です。
名古屋市出身。

[photo: Hernán Blanco/Argentina]

◆タンゴ歴

中学生時代、夏休みの登山と冬休みのスキー学校に参加した他は、高校3年間の部活で剣道をやっていたことが、私の人生で唯一の運動らしき運

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Buenos Aires の街を行く。   -ブエノス・アイレスへ-

Buenos Aires の街を行く。   -ブエノス・アイレスへ-

ちょうど今から5年前の6月

私は南米アルゼンチン、ブエノス・アイレスに向けて飛び立った。

プロのタンゴダンサーになる、という想いからだった。

この時、アルゼンチンタンゴを踊り始めて6年。レッスンやミロンガ(アルゼンチンタンゴのダンスパーティーのこと)に通い詰め、踊り狂いながらダンサーを夢見るサラリーマンだった。

笑えるような話だが、
“ダンサーなれる、なりたい”
と実際に思ったのは、地元名

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Buenos Aires の街をゆく。  -勢いで決めたアパート-

Buenos Aires の街をゆく。  -勢いで決めたアパート-

最初に住んだ場所は、San Telmo地区。
ブエノス市内では、古い建物が数多く残る地区だ。

何にも考えていなかった。
タンゴ以外のことはなーんにも。

タンゴをもっと踊れるようになりたい。
そんな想いだけで約半年のブエノスタンゴ修行を思い立ち、この地に来てしまった。あまり皆にはオススメできない無計画な渡航だったが、当時の私はそんなことにも気付いていない、ある意味幸せな、ある意味かなりなおバカさ

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Buenos Airesの街をゆく。 -ブエノスでは一日に一つの用事を済ますことが出来たらオッケーさ-

Buenos Airesの街をゆく。 -ブエノスでは一日に一つの用事を済ますことが出来たらオッケーさ-

Buenos Airesでの最初の生活は、
刺激的であり、時に悲惨なものとなったが、今となっては全てが素晴らしい思い出だ。
それらをここへ書き残していこうと思う。

私がブエノスに住み始めたのは5年前の2015年。
とにかく毎日迷子になって、毎日お腹が空いていた。今のように携帯のオフライン地図もなく、紙切れの地図を見ながら行き先へと向かう日々は、かなり私を疲弊させていた。

バスにはバス停がない。

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