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不登校からの卒業(15)

無くても子どもが動ける解放期と愛心期

以前、お子さんが不登校になった後、お子さんが元気になる過程で、ご家族がどのように元気になるかという過程には、6段階があり、ご家族がお子さんと共に成長してきたとします。

それでも、解放期と愛心期のような状態にならなくても、お子さんは動き出し、「不登校」を卒業することがあるのです。

この解放期というのは、お父様、お母様が不登校というものから解放されるようになってくる時期なのです。

不登校だった子どもが、ようやく動き出し、フリースクールや教育支援センターなどに通い始め、学校復帰や次の進路への道が見えてきたところだと思います。

不登校からの卒業(11)
解放期

子どもが不登校をすることで、ご家族が一番学ぶことは、「親としての覚悟」です。

お子さんが不登校することで、親として、不登校になったお子さんの、辛さ、苦しさ、悲しさ、不安、恐怖、こういった感情も、将来のことも全部、背負って一緒に考えていく、という覚悟です。

この覚悟ができた時に、親も子も、不登校から解放されるのだと思います。

そして、その覚悟を持って、お子さんを動かそうとするのではなく、あたたかく見守り、いつかきっと動き出すと「心から信じる」ことができるようになると、そのとき初めて、お子さんの悩み、苦しみがわかり、無性にお子さんのことが愛しくなるのです。

長い間、私は不登校の子ども達と向き合ってきて、「不登校」は命がけの行為なのだと、子ども達から学びました。

一人暮らしの大人なら、社会からの断絶は間違いなく「死」を意味します。

だから、子どもの社会である「学校」からの断絶は、生きていけない可能性を持つのです。

子ども達は、本当に命がけで「学校に行かない」のです。

子どもの命をかけた訴えに、ようやく耳を傾けることができ、心から信じることができるようになり、お子さんを愛しく思えるようになるのです。

そうすると、学校なんか行かなくてもいい!元気でいればいい!元気が一番!と心から思えるようになるのです。

不登校からの卒業(13)
愛心期


ところがです。

子どもが動き出すために、ご家族の覚悟がなくても、無性に愛しくなくても、ご家族がお子さんの状態や思いについて、ある程度の理解ができ、お子さんの不安感が薄れてくれば、お子さんは動き出すことができるのです。

特に元からエネルギーのある子ども、時間が経ってエネルギーが溜まってきた子どもの場合、動き出せてしまうのです。

ここで動けてしまうから、子どももご家族も、これ以上の学びがないことがあるのです。

動き出したら、勉強や進路やと、学校に通っている子どもたちに追いつかないといけないと、焦って動くのです。

こうなると、子どももご家族も、「普通でいられること」「動けていること」に満足し、そのことに忙しくて、不登校だったことを十分に考えることなく、先のことに向けての努力をしていくことになるのです。

ここに大きな落とし穴があると、私は思っているのです。

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