見出し画像

不登校からの卒業(11)

5)解放期

お父様もお母様も、お子さんの不登校をきっかけに最もご自身の心を見つめることになる充実期からさらに時間が経ってきた頃です。

ここまでで長ければ1年半から2年、あるいはそれ以上かかることもあります。


ようやく、お子さんが動き出せるようになり、フリースクールに通い始めたり、学校の別室登校を始めたり、本格的に社会に復帰しようとし始める頃です。

子ども達が一大決心をして、単に親に言われて動いているのではなく、自分から動くことを決めて動くようになってくる頃なのです。

そうすると、やっとお母様は心からお子さんのことを応援できるようになってきます。

もっと言うと、「この子にはこの子の生き方がある」そう思えることで、自分達が身につけてきたものとは違う価値観を持つお子さんを、ようやく受け入れることができるようになっていくのです。

不思議なもので、そうすると、お母様自身が、自分の子どもの時を振り返り、自分が親から言われたことで嫌だったこと、させてもらえなかったことなどが思い出され、形は違うかもしれないけど、自分がされて嫌だったことを、親になった自分も子どもに押し付けてしまっていたと、我が身を振り返ることが多くなってくるのです。

お子さんが動き出し、子どもの「不登校」から解き放たれると同時に、自分の生き方も深く見直していくことになってくるのです。


関西の有名私立進学校に行かれていたお子さんが、不登校になり、引きこもってしまっていてようやく動き出して、弊社にお母様とご本人がご相談に来られたことがありました。

その時に、お母様のお話をお聞きしていて、お母様がこのようにおっしゃったのです。

「進学校に行ってほしいとずっと思い、塾に通わせていました。合格したものの不登校になり、学校を辞めてしまうことになりました。私がこの子を無理に行かせたのと同じです。私も親が厳しく、親に言われるままに進学し、勉強をするしかありませんでした。私は行きたくなくても行くしかなかったので、この子にも同じように学校に行くようにと言っていました。結局、私も子どもに同じことを押し付けていただけなのですね。」

お聞きしていて切なくなりました。

そのことに気がついて、ようやくお母様ご自身も自分のご両親から受けたものについて、良いものはいい、だけど、辛かったものは辛かったものとして認められるようになり、その辛いものからの呪縛から解放されていかれたのです。

この頃のお父様はというと、お子さんが自分から動くことを決めて動きはじめたことに喜びを隠せずにいることが多いです。

ここまでのことで、お父様はかなりお子さんに寄り添うことができるようになっています。

お子さんが動くことに対して、自分は少しでもお子さんを支えたいと思う気持ちになり、お子さんのことを考えられるようになっていることが多いのです。

ここまでは、お母様にも冷たかったり、自分の不安をぶつけたりしてこられたお父様でも、ようやくお母様のご苦労がわかるようになり、お母様にも寄り添えるようになるお父様も出てきます。


ところが、この時にまだ、お母様には寄り添えず、当たるところまではいかなくても、ブツブツ言われるお父様がいらっしゃいます。

やっと動き出したお子さんに対して、嬉しい反面、「もっともっと」とすぐに要求が前面に出てきて、お子さんが嫌な顔をしたり、しんどくなったりすることがあるのです。

それを見たお母様が、お子さんの側に立ち、お父様に対して「今は黙って応援してやってほしい!」とはっきりおっしゃるようになるのです。

こうなると、お父様としては、プライドもあり、「ちょっとできたところでそれではダメだ。勉強するなり、学校に復帰するなりしろ!」と、お子さん、お母様と言い合いになるのですが、2対1ではとても勝てません。


この段階でこれをやってしまうと、お父様は当面、蚊帳の外に置かれてしまいます。

と言うのもお父様に話してもわかってもらえない、とお子さんもお母様も同じように考えてしまうからです。


お父様がどのような状態かを見分けたいときは、この頃はお子さんが頑張りすぎて、少しの間、動けなくなることがありますから、その時のお父様の様子を見ていただけるとわかります。

「ちょっと頑張ったから疲れたんだろうから休ませてやらないとな」と言えたら大丈夫ですが、「せっかく動き出したのに、またか」と不満そうな態度になる場合は、まだまだお子さんにもお母様にも寄り添えない状態です。


どちらにしても、お父様がお母様と全く同じように、お子さんに接することができるようになるわけではありません。そこはお父様とお母様では違うのです。

ですので、お母様は、お父様がどういう状態であろうと、放っておいて構いません。

お母様がご自身の心を深く見つめ、解放し、そして、お子さんが動き出すのを、あたかく応援し見守ってあげるようになれば、同じようにお父様もそのようになっていきます。

これは、お母様、お父様ご自身の心が、不登校というものに縛られるのではなく、自分自身を見つめ直し、これまでの自分とは違った思いになることで、心が軽くなることを感じられるようになるのが、この解放期だと私は考えています。


お父様、お母様が不登校というものから解放されるようになってくる、そんな時期とも言えるかもしれません。



#不登校 #フリースクール #通信制高校サポート #池田市 #親の会 #元気 #笑顔 #学習 #パーソナルアカデミー #私の仕事 #子どもに教えられたこと

この記事が参加している募集

子どもに教えられたこと

よろしければ、ぜひサポートをお願いしたいと思います。