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学校における「働き方改革」

2022.6.16【116限目】

好きな仕事を思いっきり楽しんだ時代

私が新任で滋賀県の中学校の体育教師として赴任したのは、今から52年前でした。体育教師になり、3年生の担任をし、部活動は私がやりたかった器械体操部の顧問になり、夢が叶い忙しいけれど、楽しい毎日でした。

放課後はクラブの指導、試合前になると午後8時ごろまで演技の指導をし、その後、授業の準備や学級の仕事をして下宿に帰るという生活でした。

日曜日は試合の引率や練習のある時は大阪に帰らず、家に帰れる日は、土曜日の遅くに実家に帰り、日曜日の午前中には家を出て友達と会って滋賀に戻る生活でした。

やりがいのある仕事に出会い、父母や下宿先のお母さんや学校の先生方など、多くの方の助けを得て、自分の時間は、ほとんど仕事に使っていました。

小学校教師になった時は、3人の子育てをしていましたが、同居していた母が主婦の仕事や子育てを助けてくれていましたので、仕事に集中でき「働き方改革」という言葉さえ頭に浮かばなかったと思います。


忙しい学校「好き」だけでは済まない時代

今の学校の状況を考えると、学校での取り組む課題が複雑化・多様化していて、それに伴って授業や指導以外の仕事が多く、教師全体の勤務時間が長時間になっています。

女性で働いている方は、家事・育児・教師としての仕事を考えると、毎日が時間との闘いです。我が子の事、学校の子供の事、夫との家事・育児の分担、家ではご近所とのお付き合いもあります。

限りある時間を有効に使うためには、優先順位をつけて仕事を進めていくことや、業務量を見直すことが必要です。

コロナ禍で、学校は急速にデジタル授業が導入されました。これから子どもたちが生きていく未来は、人工知能(AI)など新たな技術の進展により、変化の大きな時代になります。

子どもたちには、その時代を生きるための学習内容が導入され、そんな力を育てるための教育活動が求められる時代になっていくと思います。

限られた時間の中で、子供たちに効果的な教育活動を実践するために「学校の働き方改革」が、話し合われているのだと思います。

今の状態で教育活動を進めていきますと、教師はますます忙しくなり、長時間働かなければならない状況になります。

【46限目】学校が変わる/デジタル授業とアナログ授業にも書きましたが、
デジタル授業だけでは、豊かな人間性や創造性を育てることは出来ないと思います。先生にしかできない指導も大切です。


これから

これまでは、「子供のため」にと、長時間勤務をして頑張ってきた先生も多いですが、時間は限られている中で、することはたくさんあります。

現状を変えていくためにも、業務内容を精選し本来教師としてやるべきこと、また、やらなくていいこと、他の人にお願いできることは引き受けてもらうこと、家庭教育は家庭ですること等を見直すことが必要です。

学校にかかわる人たちや地域の人たちも一緒に協力して、子どもを育てる体制を作ることが大切になってくると思います。


学校への期待

私は、教師は素晴らしい魅力的な職業だと思っています。若い人たちが、教師という職業に夢を持って、ドンドン仲間入りをしてくれる事を望んでいます。

学校の現場は、人手が足りない分、教師が自分の時間を削って頑張っているのが現状です。

少人数学級の実現や担任を補助してくれる教師(副担任制など)や専門的な知識を教えてくれる教師などが集まれば、今よりも一人一人の子供を大切に育てる学校になると思います。

そのためには、教育にもっとお金を使って教師を増やし、未来を担う子どもたちを大切に育てる学校教育が実現できることを期待しています。

こんなことを考えていくのも「働き方改革」だと思います。

学校全体の各組織の機能を有機的に活発に働かせて、働きやすく子どもにとってもより居心地のいい場所になると思います。


気の早いひまわりが紫陽花と一緒に咲いています 夏はもうすぐです


【編集担当より】
教員の方の働き方改革は、教育の在り方自体をどのように変化させるのかということや、社会の在り方/働くということ自体、技術の進化、家族の在り方、ライフスタイルの多様化、学生の考え方の変遷、保護者の考え方、少子化/未婚率の上昇など、社会における多岐にわたる要素が絡みます。様々な立場や世代で意見が異なることがあり、妥当な解決策が見いだせないように思います。

「人づくりは、国づくり」といった表現で考えると、日本という国がどのように変わっていくのか、何を大切にしていくのか、そういった多くの事柄や未来を見据えて、教育の在り方、教員のあるべき姿が決まっていくのでしょうか。閉塞感が漂う日本の社会において、未来を担う子供たちは宝物であり、教育は日本が成長するために最も重要テーマの一つだと思います。

「働き方改革」という言葉は、残業を減らし生活を充実させるという意味では、大変良いですが、一方で何が何でも達成するといった部分を否定的にとらえてしまうことがあるかもしれません。例えば、マーケティングなどの領域では、ワークライフバランスも大事ですが、人をワクワクさせる/驚かせるような企画や商品をつくるのに、通り一遍等の働き方で果たして実現できるものでしょうか。個々人において、適切なバランスというのは、異なるように思います。

個人的には、「働き方」を改革するのではなく、合理的に結果を導くことやプロセスを最適化することが何より重要かと考えます。ビジネスにおいては、なんと無駄の多いことか。ビジネスでも教育でも全体のデザインや仕組みを作り、ユーザー/学生の受け取るベネフィットを最大化することが最優先されるべきかと思います。その中でいかに効率化できるか、また従業員が幸福に仕事や毎日を過ごせるようにすることがトップマネジメントの役割ではないでしょうか。

例えば、「テレワーク」についても、最近では辞める会社もよく聞きます。「テレワーク」しない会社は時代遅れだといった意見もあるでしょう。しかしながら、「テレワーク」することがすべてが正しいわけでもなく、功罪が必ずあり、どのように働き方をデザインしていくのが良いのかを、ユーザーへの価値提供を起点に考えると良いかと思います。例えば、グループでのディスカッションやアイデア、企画の立案をテレワークでするというのは、果たして良いものでしょうか。十分な準備や環境設定をしてもかなり難易度が高くなるように思います。対面の方が良いことなど山ほどあります。

教育については、専門ではないのでわかりませんが、現場が疲弊していることは間違いないと思います。予算や経営の問題で和歌山の学校のようなことも起こるのかもしれません。より働きやすい日本になればよいなと日々思っています。

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