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地方でまちづくりの仕事がしたい、新卒・学生でもできることとは?

「まちづくりの仕事するにはどうすればいいでしょうか?」
「まちづくりの仕事ってどんなことするんですか?」

宮崎県都農町に移住して、学生や20代の人たちからよく聞かれること。

前提として、まちづくりという仕事は残念ながらありません。
まちづくりは結果的総称、概念的なものだから。

同じカフェでも、
好きなコーヒーをお客様に提供したいのであれば飲食業
まちをよくしたいと考える人たちが交流する場をつくりたいのであれば、まちづくりになるのかもしれません。
それぐらい、あいまいな感じだと、ぼくは思います。

まちづくりというと、都市計画や建築・不動産のイメージも強いかもしれません。

ぼく自身のまちづくり経験は、ほとんどが建物・空間づくりだったので、建築・不動産系の人たちがやってることをもって、まちづくりと言われてる節はたしかにあります。

ただ、それは建築や不動産の投資額が大きいので、民間企業が参入する余地も大きいのでプレイヤーが多かった、という理由からだと思います。
ハコ物行政といわれるまちづくりが主流でしたので(いまでも)

教育や福祉もまちづくり、政策づくりや住民対応もまちづくりなのですが、経済性を伴わないため行政や公共機関で完結するため、公務員にならない限りは、給与をもらえる仕事としての認識はされにくい印象があります。

以上の前提を踏まえて、ぼくらの会社、イツノマで新卒二年目を迎える社員やインターン生がやってきた仕事を実例に、新卒や学生もできるまちづくりの仕事、厳密に言えばまちづくりにつながる仕事を紹介します。

まちづくりという専門スキルはなく、企画・営業・運営・デザインなど汎用的なスキルの組み合わせでしかない、とぼくは考えています。

ぼくがやってきた限りでのまちづくりの構造を整理するとこんな感じ。

新卒や学生がまちづくりに関わる仕事として可能性が高いのは、圧倒的にプロジェクト。点です。点と点をいかにつなげて線、つまりは戦略にして、その線をさらにつなげて面としてのビジョンにしていくか。

そのつながりを前提に、新卒や学生が、まずできるプロジェクトを4つ。

1.店舗運営

まちづくりで必ず出てくる施設の3点セットは、カフェ・コワーキングスペース・ホテルではないでしょうか?

賑わい創出や交流拠点として、官民連携でも取り組みやすいもの。

新卒や学生の仕事としても、一番わかりやすく、比較的、取り組みやすい内容です。といって、それぞれの施設の本来的な専門性、難易度はめちゃくちゃ高いことは言うまでもありませんが。

運営というと抽象的ですが、清掃、設備管理から接客・サービス、集客のためのPRや営業が主たる仕事に。

学生のアルバイトでも多く経験する職種だとは思います。従って、職種としてだけとらえると、まちづくりを自覚しにくいものかもしれません。

やる仕事は清掃でも、こなすだけの清掃で効率化だけ考えるのかととらえるのか、どうやればまちづくりにつながるのか考え続けるのかによって気づきや学びに格段と差がつきます。

運営だから、と言われた数字をあげることだけに終始するのか、数字をあげつつどのようなにぎわいや交流を起こせばよいか、どう起こすか現場から企画を発想していくかで、その人の成長角度に大きな開きが生まれます。

2.イベント

イベントもまちづくりとしてわかりやすい仕事ではないでしょうか?

マルシェや祭りなど、どこの地域でも実施していますよね。

イベントは地道で泥臭い作業や力仕事が多いもの。新卒や学生にとっても、体力面をはじめ、わかりやすく貢献できる仕事です。

主催する側も、来場する側も、その町の人を中心として多種多様な出会いが生まれやすいため、学生にとって、一番まちづくりっぽさを感じられます。

ただし、イベントはどこでもやっていて、住民も既視感たっぷりなだけに、あたらしい発想や他にない催事、出店者など、差別化・独自性をうむ企画力が問われます。

イベントを数多くこなし、率先して片付け・運営・設営をやりつつも、立ち上がりの企画やPRを考えて提案するチャレンジを重ねていけば、そのまちにとって代替のきかないスキルを身につけチャンスが広がる仕事です。

3.ワークショップ

ワークショップも、まちづくりといえば必ず出てくるプロセス。

当日の運営補助や、テーブルごとの進行役など、新卒や学生にも任される役割が多く、活躍の余地があります。

単に業務としてこなすだけではなく、参加者から出た意見をいかに実現に近づけるか?事後のアクションまで見据えて取り組めば、企画力の向上につなげられます。

また、どのような問いを立て、参加者がどのように関わるかを決める当初の企画やデザインは、専門性も高く、奥の深い仕事です。

一回や二回の経験ではイメージがわかないと思いますが、対住民のファシリテーションとあわせて、毎回、向上心をもって取り組み、プロのファシリテーターの研究をしていけば、将来の貴重な専門スキルにつながる可能性はあります。

4.小中学生のキャリア教育

最後は小中学生キャリア教育について。
これは、どこのまちづくりでも行っていることではないかもしれませんが、ぼくらの場合は、活動の中心をしめています。

小中学校の総合学習のカリキュラム企画から運営(各学年、年間24時間)、地域クラブ「まちづくり部」(毎日放課後)、ゼロカーボン推進チーム「GreenHope」(週1放課後)。

この業務については、ほぼ新卒と学生で完結できています。
大きな方向性やカリキュラムの骨子は会社としてつくりますが、日々の小中学生の対応は、年齢が近い20代のほうが円滑に運営できると判断してます。

塾講師や家庭教師と異なり、正解のあることを教えるわけではないのと、日々決まったルーティンはないので、新卒&学生は日々、どうすれば意味のある時間にできるか、小中学生以上に探究する習慣がついてきています。

学校における探究学習との連携、リアルなまちづくりにつなげて小中学生たちが想像できない体験の提供など、まちづくりと教育を重ね合わせる企画の力は体得できます。

5.想像力

以上、ぼくらがやってきたまちづくり、という偏った範囲ではありますが、新卒や学生ができることを抜粋してみました。

ただの作業としてやるか、まちづくりにつながる作業と思ってやるか、その差は大きいです。

カフェにしても、イベントにしても、それを生業として、専門的に深めているプロの会社さんに比べると、指導者もいなければ、ナレッジ・マニュアルもないため、そこだけ捉えれば素人同然です。

ただ、まちづくりを構成する一つの要素として、最低限の運営は自学自習で覚えつつ、他の業務と連携、編集することで、カフェとしても付加価値を出せることにつながります。

要は、この業務が何につながるのか、何とつなげるのか、想像力が一番大事になってくるのではないかと思います。

新卒、学生に限らず、地方の現場においては、ぼく自身もその業務のほとんどはプロジェクト、点です。

でもその点に埋没せず、点と点を重ね合わせながら、いかに線としての戦略をつくりあげ、その線と線を重ねて面としてのビジョンにしていくか。

その逆も然りで、ビジョン、戦略、プロジェクトをどう連携させていくかがぼくが考えるまちづくりなのではないかと思います。

点|プロジェクトに必要な力は実現力
点を線にする戦略に必要な力は編集力
面にするビジョンに必要な力は俯瞰力

それぞれのステージで、求められる力が変わっていくのも、まちづくりの面白いところではないかと思います。




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