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高度成長期真っただ中の多摩に育ち、ニュータウンの発展を傍目に育ったら、いつの間にか都市…

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高度成長期真っただ中の多摩に育ち、ニュータウンの発展を傍目に育ったら、いつの間にか都市計画コンサルタントになっていました。その後、大学で産学連携に携わるうちにまちづくりだけでなくものづくりにもご縁。今は、持続可能な都市・社会を考えるスペースの運営などやっています。何ものだろう?

最近の記事

備忘メモ:GHG排出量削減に向けて都市ができること

なにかで積ん読しておいたらしいIPCCプレスリリースが机の横から出てきて(そんなに長くない文章なのだがリリースの日本語がわかりづらいのはなぜだろう)、整理する前にメモ(なので、意見表明までには至っていません)。 『根拠は明白、行動の時はいま ― 2030年までの排出量半減は可能(2022年4月4日付 IPCC プレスリリース・日本語訳)』 ▼背景と全体的動向IPCC第3作業部会報告書がベース。第3作業部会は気候変動の「緩和」をテーマとしている(第1作業部会は自然科学的根拠

    • 建築・都市学生が考える”アーバニスト”とは?2024

      1.この文章の背景 古巣(前職)の芝浦工業大学での年一回の講義も3回目。「都市計画概論」という大層なタイトルの講義、最初のコマが僕の様な亜流(?)で良いのだろうかと悩みつつも、教員であった訳でもなく(変なポジションの職員でした)、現在は都市プランナーとも言い難い(でも都市計画家のNPO理事でもある)僕に貴重な機会を与えていただいていることには感謝しかなく、ちょっと昔の話だが都市のプランニングで学んだこと、大学コーディネーターとしての経験、シティラボ東京/アーバニストとして現在

      • バザールとクラブとコミュニティ運営

        「バザールとクラブと日本のまち」というオンラインイベントに参加してきた(2024年4月8日)。「バザール」というパブリック性と「クラブ」というプライベート性から日本人、日本のまちを語る…といった感じで、ネタ本の『バザールとクラブ』(朱喜哲、2023、よはく舎)をまだ読んでいないので理解はだいぶ甘いのだけど、一応、まちに関わるコミュニティ運営を生業としている身として、モンモン考えさせれるものがある。 ▼バザールとクラブとコミュニティコミュニティ施設の運営を生業としているにも関

        • 吉祥寺と西荻窪の路上から反ファスト風土化を考えてみる

          ▼「東」吉祥寺という場所住所は武蔵野市吉祥寺◯◯町(最寄り駅は西荻窪)という生活が始まって21年。気づいたら人生で最も長く住んでいる街になってしまった…。生まれが多摩の僕にとって、吉祥寺は中学生頃に「友だちと最初に買い物にいった街」だ。親に連れられて選ばれるのではなく、行き交う人を見ながら、自分たちの感覚で服を選んで小遣いをはたいた街。 他に選択肢がなかったわけでもない。新宿は電車で20分少しで行けたし、あと10分かければ渋谷や池袋もあった。ただし中学生には大きすぎた…。

        備忘メモ:GHG排出量削減に向けて都市ができること

        • 建築・都市学生が考える”アーバニスト”とは?2024

        • バザールとクラブとコミュニティ運営

        • 吉祥寺と西荻窪の路上から反ファスト風土化を考えてみる

          コミュニティのかたちと都市デザイン

          このイベントは、『コミュニティのかたちと復興区画整理』刊行イベントという位置づけ。「土地区画整理事業」という都市計画事業の手法で、更に言うならば東日本大震災という未曾有の都市破壊の復興において、「地域らしさ」を継承できるか、がテーマとなっている(2023年12月1日開催)。配信支援を行いながらだったので途中で聞きそびれた箇所もあることを予め言い訳しておくが…、微力とは言え復興まちづくりに携わった者として、ポイントと感じたことはメモしておきたい。 多くの地域で用いられる手法で

          コミュニティのかたちと都市デザイン

          「サステナビリティ×ウォーカブル in TOKYO」を考えるに当たって

          2023年10月23日に行ったイベント。めちゃくちゃ充実していたのだけど…、登壇者の豊かさに比べて時間が圧倒的に足りませんでした、皆さまごめんなさい。シティラボ東京のウェブサイトにレポートを書いたのだけど、かなりの長文になってしまった(これでも心を鬼にして削ったのですが)。 なので、レポートには事前に調べたことや想いを込める余地がとてもなかったので、ちょっとこちらにメモしておきます。 1.なんで今、ウォーカブル?シティラボ東京は「持続可能なまちづくりのためのビジネス創出に

          「サステナビリティ×ウォーカブル in TOKYO」を考えるに当たって

          都市計画家の「銀言」①〜「プランナーの仕事は第一次近似解を出すことなんだよ」(伊藤滋)

          ふと気づいたら都市計画なんて世界に足を踏み入れたのがもう30年前。民間の都市計画事務所に勤め、大学の産学官・地域連携に係り、今は都市・環境をテーマとした拠点の運営。もはや都市計画家(以下「プランナー」)とは言いづらい立場だが、都市・地域に係り続けていることは間違いないし、大御所と呼ばれる都市計画家の「登壇」や「著書」ではない言葉を聞くこともそれなりにあった訳で…。「記録」には残らないが「記憶」に残った、そのような言葉を残しておこうと思う次第。公的な「金言」ではない、「いぶし

          都市計画家の「銀言」①〜「プランナーの仕事は第一次近似解を出すことなんだよ」(伊藤滋)

          日本語「アーバニスト」はいつから?

          ▼言葉は自然と成長してくるものなので…とある行政のお仕事をお手伝いしている関係で以下のような質問をいただいた。 これは意外に難しい質問で、まず「アーバニスト」という言葉の意味をどうとるかにもよる。僕たち一般社団法人アーバニストでは、この言葉を「都市生活者と専門家の汽水域において、都市に働きかける実践者」という、かなり大きなくくりで使っている。 ただし、「アーバニスト」という言葉自体は、当初は「都市計画の専門家」といった意味合いだし、それが時代を経て「都市に住み、都会の生活

          日本語「アーバニスト」はいつから?

          建築・都市学生が考える”アーバニスト”とは?

          ▼分不相応ですが一コマ講師をしてきましたありがたいことに前職の関係で芝浦工業大学修士1年の講義に呼んでいただき、一コマお話をさせていただいてきた(2023年4月10日)。講義名は「都市計画概論」、その中で「地域デザインの実践紹介」というテーマ、「豊かな地域をデザインする”アーバニスト”とは?」というサブタイトル。 僕自身は、都市計画コンサルタントを17年やったのち、芝浦工業大学では教員としてではなく、産学官・地域連携コーディネーターという職員の立場で4年3ヶ月関わらせていた

          建築・都市学生が考える”アーバニスト”とは?

          のら街日記(姫路・大阪・浜松)

          姫路はじまりはいつも突然に 13:00、洗濯が終わった、仕事はたくさんあるが、いま自分一人で動かせるものはなさそう。この時期、岩手県大船渡で復興まちづくり仲間が集っていることは知っているが、この時期の東北はハイシーズン。宿もレンタカーも危険過ぎる上に、電車の本数が少ない(新幹線は全席指定が多い)、ちょっと今からはデンジャラス。ということで、虫が湧いたような唐突さで西に向かう(一応、仕事は「プランナー」なのだが)。 14:48、東京発。のぞみ75号で姫路へ。姫路は3つの理由

          のら街日記(姫路・大阪・浜松)

          MaaSが都市を変える 移動×都市DXの最前線(読書メモ)

          MaaS 「自動車という伝統的な交通手段に加えて、新たな選択肢を提供し、自家用車という魅力的な移動手段と同等化それ以上に魅力的な移動サービスにより、持続可能な社会を構築していこうというまったく新しい価値観やライフスタイルを創出していく概念」(牧村和彦、「移動革命とMssS-MssSの現在と未来」『土木学会誌』vol.105) その大義(個人的フィルターあり) 年間130万人が死亡している「交通事故の減少」、過剰な交通の抑制による「CO2排出量の削減」、誰もが移動できる「

          MaaSが都市を変える 移動×都市DXの最前線(読書メモ)

          大企業と地域は“共創関係”を結べるのか(備忘)

          2023年3月17日「POTLUCK FES」に紛れ込み。各セッションとも面白かったのだが、とりあえず「大企業と地域は“共創関係”を結べるのか」セッションは「アーバニスト」の概念から見て面白かったのでメモ(第 5 章「地域への眼差しがビジネスを強く、優しくする」のアップデートに向けて…) 企業が地域と関わる多様なステージとアーバニスト像▼企業が地域課題に向き合うために ・50%以上の社員が社会課題の講演に関わることが組織評価に関わる ・起業を渡り歩く人材、社内で色々なサー

          大企業と地域は“共創関係”を結べるのか(備忘)

          創造社会×サステナブルシティ 試論①

          2023年3月4日(土)に「サステナブルシティ・サミット3~サステナブルシティに向かう創造社会へ」を開催する。このイベントはオープニング、クロージングと合わせて4つのテーマでセッションを行うのだけど、実行委員会形式で色々な人に協力してもらっていて、みなでブレストして出た話に大いに多いに頼りつつも、まずは個人的にとりまとめてみたので、メモしておこうと思った次第。 創造社会「創造社会」とは「一人ひとりが本来もっている創造性を十全に発揮する社会」ということになるそうな。例えば、リ

          創造社会×サステナブルシティ 試論①

          福岡は一番捨てやすく戻りやすい故郷である(珍)説

          僕が唯一シリーズで見ている「タモリ倶楽部」終了の話に寂しさを拭いきれない…今日このごろ。 ところで、『全国まちづくり会議2018in福岡』では、なんとあのタモリさんがビデオレターで基調講演をしてくれて(恐るべし九州人ネットワーク)、またそれがタモさんらしく、知識とヨタ話が混在して面白かったのだが、撮影禁止だったこともあってうろ覚えだった。 その講演の一部元ネタ的なもの(筑紫哲也、タモリ、武田鉄矢による呑み鼎談)を発見したのでメモ。 …と最後は「いくらウソついてもキレイに

          福岡は一番捨てやすく戻りやすい故郷である(珍)説

          形/型の裏にあるもの

          お仕事がら、周りは「クリエイティビティ」に対する価値観がすごく高い。一方、「形/型」という言葉に対しては決まりきったもの、表面的なもの、古いものとしてネガティブなイメージをもって使われがちでちょっとかわいそうな気分もする…ということで、だいぶ過去の思い出から形/型について考えてみた。ちなみに、これはあくまで現時点までの考え方。2023年3月4日に「創造社会」をテーマにイベントを行い、それを経てもまた考え方が変わっていく予感がヒシヒシとするので、だからこそいまメモしておこうとい

          形/型の裏にあるもの

          都市の欲求を可視化する〜(番外編)「きもちいい」は「おかね」になる?

          ■まちの快適性の図り方まちに緑が多い、文化度が高い、よいコミュニティがある、歩いて楽しい…。まちづくりでは、基本的にこのようなことを目指しているし、そんなまちがよいという想いは基本的にみんな共通だとは思うのだが、実際にオシゴトとしてつくろうとすると、色々な壁にぶつかるわけです。「それは君の個人的趣味でしょ」、「管理コストは誰が負担するの?」…要は「それって儲かるの?」問題。 たぶん、言っている人も、まちの方向性としては賛成しているのだが、事業者や管理者として対外的に、また、

          都市の欲求を可視化する〜(番外編)「きもちいい」は「おかね」になる?