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「サステナビリティ×ウォーカブル in TOKYO」を考えるに当たって

2023年10月23日に行ったイベント。めちゃくちゃ充実していたのだけど…、登壇者の豊かさに比べて時間が圧倒的に足りませんでした、皆さまごめんなさい。シティラボ東京のウェブサイトにレポートを書いたのだけど、かなりの長文になってしまった(これでも心を鬼にして削ったのですが)。

なので、レポートには事前に調べたことや想いを込める余地がとてもなかったので、ちょっとこちらにメモしておきます。

1.なんで今、ウォーカブル?

シティラボ東京は「持続可能なまちづくりのためのビジネス創出に向けた参加型プラットフォーム」を標榜しています。なので、ウォーカブルに関しても、その観点から考えてみたいと思いました。ウォーカブルの効果を大きく分けると「繁栄(商業や投資の活性化)」、「健康(心身の健康)」、「持続可能性(脱炭素化)」と言えるかと思います。これらは大きな意味で「サステナビリティ」と言えるでしょう。

ところで、日本の「施策」としてのウォーカブル、その元となる「WEDO(Walkabel/Eye level/Diversity/Open)は、2019年「都市の多様性とイノベーションの創出に関する懇談会」 で掲げられました。面白いのは、懇談会自体はウォーカブルを最初から目的とするものではなく、「人間中心の豊かな生活」と「イノベーションの創出」を議論した結果導かれたとのことです。いわば、主に「繁栄」文脈からのアプローチと言えるでしょう。

ここに「持続可能性」(余力があれば「健康」)文脈から再考することで、ウォーカブルもより立体的な輪郭を持てるのではないか。もちろん、WEDOを否定するものではないし、この中でも健康や持続可能性は述べられてはいますが、一度一方向から光を当てると当初視野に入っていたものが陰になるということもあるでしょう。現行の施策を語るのであれば我々より適任はいくらでもいるので、むしろ、サステナビリティの観点と空間以外も含めた多様なアプローチから、より多面的に捉え直していこうという想いです。

2.ウォーカブルはサステナビリティになにができそう?

前置きが長くなりましたが、ではまず「ウォーカブル×サステナビリティ」にはどんな可能性がありそうでしょうか?

例えば、『ドローダウン 地球温暖化を逆転させる100の方法』を見ると、「歩いて暮らせる街づくり」は解決策総合ランキングの54位となっています。これを高いと見るか低いと見るかは人によって様々かもしれませんが、ランキング全体を見ると、都市が単独で実現できる取り組みとしては上位です。

また、ウォーカブルと相性のよい「自転車インフラ(59位)」や「グリーンルーフ(73位)」なども一体で推進すれば、相乗効果も期待できます。あわせ技でランキング20くらいに上がる?!

3.世界の中で日本の都市はどう見られているのだろう?

では、「TOKYO」はウォーカブルやサステナブルという観点でどういう位置付けなのでしょう?

(1)Walkable

ウォーカブルに関しては、世界の色々な都市で参考にされている「Walk Score」という指標があります。ここで「TOKYO」を検索してみると…スコアは「100」、満点じゃないですか!これは、London、Paris、Cpenhagenといった世界で押しも押されもせぬウォーカブル都市と同スコアです。試しにIkebukuro、Osakaも調べてみると「99」とほぼ同レベル。日本の主要としてはだいたい「Walker’s Paradise」クラスでした!

Walk Scoreがこれだけ高ければ、TOKYOをはじめ日本の都市もさぞや世界的に高評価なのでは?と思って、ウェブを検索してみました。検索ワードは「World top 10 walkable city」。あれ?どこにも日本の都市が出てこないなぁ…。このサイトが偏っているのかも…。ということで、TOP10がわかりやすい3つのサイトをプロットしてみた結果が下の図になります。

日本の都市…、ランキング外です。フィレンツェは3つのサイト全てでランクイン。パリやニューヨーク、ボストン、バンクーバー、メルボルンなどは2つでランクイン。どういうことなのでしょうね?便利だけどエモくない?、ネットに情報が少ない?TOKYOの規模が大きすぎてイメージがわかない…?。

(2)Sustainable

同じ様に「Sustainable City」も調べてみましたが、こちらもTOP10にはランク外…。日本は鉄道網の発達もあり、結構高評価なのではないかと期待していたのですが…。

※厳密には、調べた中で東京や京都が挙げられているサイトもありましたが、TOP10が明確に絞りきれなかった(TOP16とかTOP20とか…)ため除外しています。
※コペンハーゲンが3つのサイト全てでSustainable Cityランクインしつつ、Walkable Cityでランキングしていない…ところにこの調べ方の限界はありますね…。

あくまで「(主に観光の観点から?)ネット上で評価されている」ランキングなので、学術的なものではないですが…。なんか納得行かない…。

まぁ、そんな訳で、これは実際にウォーカブルに取り組んでいる人たち、サステナビリティやモビリティの専門家も交えて一発議論せねば!そんなことを思いながら本イベントを企画し、10月23日に臨んだわけです。

ここでの議論は本当に楽しかったので、是非(字数の関係上、だいぶ涙を飲んで削りましたが)レポートも読んでやってください!

(おまけ)

Walkable / Sustainable Cityを同じ地図にプロットしてみるというのもなかなか面白くて…。パラパラマンガのように両者を切り替えてみると…、バンクーバーやボストン、ストックホルム、メルボルンなどは、ウォーカブルとサステナブルの両面で高評価。ヨーロッパを見ると、なんとなく、北がサステナブルで南がウォーカブルという傾向にも見えてきて…(あくまでウェブ記事上の評価TOP10の重ね合わせなので、取りこぼしはたくさんあるハズです)。

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