見出し画像

スコアを5打縮める為のフットゴルフマネジメント~ヤーデージブックを活用してW杯で上位進出を狙おう~

~前回の記事はこちら~

前回までの計3回の記事で、練習ラウンドでチェックする10のことについて書かせて頂きましたが、今回は、その中でお薦めしたヤーデージブックの作成についてご紹介させて頂きます。



~ヤーデージブックとは~

皆さんはそもそも、ヤーデージブックというものがなんなのかご存じでしょうか。
テレビでプロゴルフトーナメントの試合を観戦したことがある方は、もしかしたらプロゴルファーがラウンド中にメモを取っている姿を見かけたことがあるかもしれませんが、それが、ヤーデージブックです。

画像1

画像2


JGTOやLPGAツアーでプロゴルファーが使っているヤーデージブックは、専門の会社がトーナメントコースを下見して作成したもので、一冊3~4千円が相場となっています。トーナメントコースのフロントに行くと売っていたりしますが、TYBさんは自社のHPでも販売していますので、興味のある方は買ってみてはいかがでしょうか。


なお、私が知る限り、キャディが持っている場合を含めれば、ヤーデージブックを使っていないプロゴルファーは見たことがありません。
中には、1試合に何冊も買って、練習ラウンドのメモ書き用と清書した本番用を用意する選手もいますし、可愛らしいヤーデージブックカバーを作って愛用している選手もいたりします。このように、プロゴルファーにとって、ヤーデージブックは、ラウンドする上では絶対に欠かせないアイテムの一つなのです。

画像3





~ヤーデージブックの中身~

では、ヤーデージブックの中身はどうなっているのでしょうか。実際にプロゴルファーが使っているヤーデージブックを見ながら、中身を細かく見てみましょう。

以下の画像は、西村優菜プロのヤーデージブックです。

画像4


一般的なプロゴルフトーナメントでは、グリーンの手前と奥のエッジに、それぞれヤード表示の基準となる黄色い点が示されているのですが、このヤーデージブックにもそれがきちんと反映されているのがわかります。(手前の2という数字の下にある点と、奥の27の数字の右側にある点)
奥の距離は27ヤードと書かれていますので、このグリーンは手前のエッジから奥行きまでは27ヤードだということになります。また、横幅はグリッド線を数えればわかるのですが、約33マスですので、33ヤード程度ということになります。(1マスが1ヤード)
なお、このグリーン手前の黄色い目印の点は、フィールド上にあるヤード表示杭の基準にもなっています。例えば、フェアウェイにある100ヤードのヤ―デージ杭は、この点から100ヤード手前にあることを示しているのです。

では、上記情報を参考に、西村プロのメモを紐解いていくことにしましょう。


まず、グリーン周りとバンカーに×印がついていますが、これは、”絶対に打ってはいけないエリア”を示す印だと考えられます。反対に、花道には"Easy"、赤い線で"max"と書かれていますので、西村プロの場合、このホールでのアプローチショットは、「奥には絶対に打ってはいけないので、1番手短いクラブで。手前の花道は安全なので多少ショートしてもOK。打っても赤い線までがセオリー」というように考えたことがわかります。結果として、真ん中の青い丸が、落としどころとして狙っていくべきスポットだと判断したのではないでしょうか。
そう考えると、緑の線で引かれたパッティングのラインの意味も見えてきますね。手前の線は、青い円からグリーン左奥に向かってパッティングした場合、大きくフックすることを意味しています。西村プロは、そのラインに「そこまでuphillしていない」とメモしていますが、これは、見た目よりも傾斜が緩く、あまり上りのパットにはならないことをメモしていると考えられます。一方、奥の線は、右から左にかけて「downhill」と書かれていますので、見た目通りの下り傾斜なのでしょう。
更にこの2つの緑線は、青い円に落ちたボールの転がりも予測することができます。ピンがグリーン左奥に切られていた場合、この青い円にボールを落とすことができれば、傾斜なりにランが出てピンに寄っていくでしょうし、多少強くても奥の緑線の傾斜に負けてボールがグリーン内に留まってくれる可能性も高そうです。

以上から、例えば、残り100ヤード地点から西村プロがアプローチする場合を推測すると、「赤い線まで110ヤード(エッジからの距離が10ヤードと書いてある)なので、110ヤードに届かないクラブで、グリーン右のエッジから約15ヤードの青い円のあたりを狙う。」と考えることが容易に想像できます。
また、ピンがグリーン左奥にあるときは、「多少ランが出ても傾斜でピンに寄っていくのでスピンが効いていなくても大丈夫」と考えるでしょう。ラフからのアプローチはスピンが効きにくく、ボールも止まりにくくなるので、青い円の中にボールを止めることは難しいのですが、ピンが左奥にあるならば、ラフからでも思い切って青い円を狙っていくのではないでしょうか。


では次に、イ・ミニョン選手のヤーデージブックを見てみましょう。

画像5


フェアウェイに描かれている円の中に×印のあるマークは、スプリンクラーやマンホール等の目標物を示しており、その隣にある大きな数字は、グリーン手前の黄色い基準点からの距離を表しています。黄色い丸と三角の印は、それぞれ100ヤードと150ヤードの距離表示です。

ちなみにイ・ミニョン選手の場合、この数字を緑色で消して、別の数字を書いていますが、これは何だと思いますか?実はこれも、このヤーデージブックの中にヒントが書かれているのです。

赤い字で書かれている数字と、その数字の右にあるマイナスがついている数字をご覧ください。これは、手前に向かって赤い矢印が引いてある為、ティーイングエリアから見てこの目標物が何ヤードのところにあるかを示しています。
例えば、右下にある木は、”ティーイングエリアから235ヤード、グリーンエッジまでは188ヤード”ということです。また、-29と書かれていますが、これは、ティーイングエリアから29ヤード下っていることを表しています。
他の赤い数字も同様にマイナス表記になっていますから、このホールは、全体的にティーイングエリアからかなりの打ち下ろしになっているということがわかるのです。

なお、打ち下ろしのホールの場合、ボールは普段よりも遠くに飛ぶので、ヤーデージブックに書かれた距離よりも短い距離でグリーンに届きます。イ・ミニョン選手が緑色のペンで書いた数字は、元々書かれていた数字よりも数が少なくなっている為、これは”実際に打つときの飛距離”に数字を書き換えたということでしょう。
一般的に、ゴルフでは、高低差が10ヤードあれば1番手クラブが変わってくると言われていますが、実際に打った感覚として、”この地点からは何ヤード”ということがわかっているのであれば、その数字をメモしておいたほうが打つクラブに悩まなくなるのでマネジメントが楽になります。イ・ミニョン選手も、高低差を考えて番手に悩むよりも、この距離だからこのクラブ、とすぐに決断できるよう、自らの手でヤーデージブックをカスタマイズしたと言えるのではないでしょうか。

なお、このヤーデージブックは、LPGAツアー、ヤマハレディースオープン葛城のNo.16番のモノなのですが、実際のコースは以下の様になっています。特に下の高低差の図をご覧頂きたいのですが、ヤーデージブックに書かれいている情報の通り、大きな打ち下ろしのホールになっていることがわかります。

画像6



このように、ヤーデージブックは、コースレイアウトだけでなく、コース上のありとあらゆる目標物からの距離や高低差までがわかる優れモノです。
そして、更にここに、実際にラウンドして体感した感覚や見た目との違い、コース攻略法やマネジメント方法等を忘れないようにメモしておくことによって、より一層信頼度の高い自分だけのヤーデージブックが完成するというわけです。

また、ヤーデージブックは、繰り返し使い、新たに気付いた情報を追記することによって、より優れたアイテムへと進化していきます。使えば使う程、アップデートすればする程、あなたのスコアメイクに役立つようになっていくのです。

ラウンド中は、「ラインが微妙だから試しにちょっと転がしてみようかな」なんてことはできるはずがありませんから、過去のラウンドで起こったあらゆる出来事をヤーデージブックにメモし、瞬時に思い出せるようにしておきましょう。




~次回の記事はこちら~


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?