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『マガジン「家族介護者の気持ち」を、「創作大賞2022」に、応募しようと思います』。

 私は、家族介護者でした。

 介護を始め、自分自身が心臓発作を起こし、「もうちょっと無理すると死にますよ」と循環器科の医師に言われたこともあり、仕事をやめ、介護に専念する年月が、約10年続きました。

 その途中で、家族介護者にこそ、個別で心理的な支援が必要と強く思うようになり、分不相応かもしれませんが、自分で専門家になろうとして、勉強をして、臨床心理学専攻の大学院に入学したのは、2010年のことでした。すでに40歳後半になっていました。

大学院

 大学院では、家族介護者の方、10人にじっくりと話を伺って、その言葉をGT Aという、やたらと手間のかかる分析をして、1枚当たり40×40で、約120枚と、かなり多めの修士論文を仕上げました。一人当たりのインタビュー時間は約2時間。もっとも多い方は4時間を超えました。

 タイトルは『「家族介護者の「気持ちの変化」の再検討」にしました。それは、書籍だけでなく、過去の論文を読んでも、「家族介護者の気持ち」は、本当に理解されていないんだ、という思いを、微妙な怒りと共に感じていました。だから「再検討」です。

 この論文の肝は、介護者の方々の「正直で率直な言葉」をきちんと話してもらい、それを記録できたことだと思っていました。その部分は、切実で、迫力もあり、これまでの論文では見当たらないような、新鮮さがあったと思います。

 分析に手間取ったこともあり、通常は2年の期間だったのですが、3年かけて、大学院を修了しました。

書籍化

 修了後、修論を書籍化する提案もいただいたのですが、結局は、立消えになりました。それは、自分自身の話題性のなさ、も関係あるように思いました。

 それから、臨床心理士の資格も取り、同時に、家族の介護も続けながら、仕事として「介護者相談」も始められ、それは、これまでの経験や学んだことや、修論に書いたことなども、生かせると感じていました。

 時々、市民講座のような機会も与えていただき、そこで、話をするときは、修士論文の内容を元にして「家族介護者の気持ち」のことも伝えるようにしてきました。

 仕事を始めて、5年目の2018年年末に、義母が103歳で亡くなり、19年間の介護生活も終わりました。

「介護者相談」に、相談に来てくださる方には、少しでも役に立つように、といった思いで取り組んでいましたが、少し社会を広く見ると、私も伝えてきた「家族介護者の気持ち」については、今も、まだ理解には届いていないように感じて、無力感や焦燥感もあり、もう随分前に諦めていた「書籍化」を再び考えるようになりました。

 まずは、書籍化が実現したときに、インタビュー内容を記載していいのかどうか。その許可を、再び、修論の時に、協力していただいた方に確認しました。ほとんどの方から、許可をしていただきました。

 ありがたいことでした。

出版社

 19年間の介護生活で、終盤は就寝時刻は午前5時半頃になっていました。そうした昼夜逆転の生活が10年以上、続いていたので、その生活リズムを直していくのに、かなりの時間がかかっていました。

 それと同時に、修論を元にし、あとは、自分の経験や、秘密保持に注意しながらも、仕事上の経験も入れて、書籍化をしようとして、企画書を作り、出版社に再び送り始めました。

 メールで返事をもらったり、こちらが添付した返信用ハガキに記入して返送してもらったり、封書で返事をもらえる出版社もありましたが、ただ、何も反応がない、という会社も少なくありませんでした。

 そして、わざわざ返信をいただくのは、忙しい中、申し訳ないとは思うのですが、「出版界の厳しい状況のため」という表現が、断りの文章の中に、ほぼ必ず入っていました。

 昔、ライターをしていた頃、最も多く聞いていた言葉の一つが「売れ線」でした。私の企画している「家族介護者の心理」に関する本は、「売れ線」ではありません。介護者の理解が進むことは社会的に意義があるとは思うのですが、無名の著者が書いた本は、部数が見込めないのも分かります。

 そんなことを考えたら、なんらかの形で「有名」になるまで、永久に書籍化できないように思えてきて、なんだか、また無力感に襲われました。

 一度だけ、編集者とお会いすることができ、企画をさらに練り直し、編集会議にかけてもらうところまでは行きましたが、それも、半年以上待って、結局はダメでした。介護の本は、飽和状態で、目新しさが感じられない、という理由らしく、なんだか嫌になり、しばらく、出版社への企画書を送付する気力がなくなりました。

 個別な体験の本は豊富に出版され、その意義も大きいと思っています。でも、まだ、誰も「家族介護者の心理」を、より一般化し、支援にも役立つように書こうとしていないように、思っています。だから、生意気かもしれませんが、自分が書籍化しようと思っています。そのことで、インタビューに協力してくれた方々の貴重な声も、きちんと伝えたいと思っていますが、この試みは、新鮮ではないのでしょうか。

 なんだか、意気消沈したり、がっかりしたり、無力感に襲われたりと、自分の気持ちも、よく分からなくなっていますが、それでも、企画書を送付することは続けています。

創作大賞2022

 だいたい週に2回の更新のペースですが、1年半以上は、このnoteを続けています。記事の数は、200本弱になりました。

 そして、最近、「創作大賞2022」を知り、これは、どんな作品でも、また過去に投稿したものでも「創作大賞2022」をつけて、再投稿すれば、審査の対象になることを知りました。

 出版社に企画書を送っていますが、その企画の柱の一つが、この「家族介護者の気持ち」の変化です。書籍化の際には、この内容に、実際の家族介護者の声をできる限り、多く載せて、その気持ちをより広く伝えたいと思っています。

 この「創作大賞2022」で入賞すれば、書籍化のチャンスがあるらしいです。可能性は限りなくゼロに近いのは、これまでの書籍化された本を見れば、なんとなく予想はつくのですが、それでも、参加することで、一人でも多くの人に読んでもらえるかもしれません。

 そこで、マガジン「家族介護者の気持ち」で、「創作大賞2022」に参加しようと思います。

 元々、これは、10本の記事で、しかも、どの記事から読み始めても大丈夫なように書きました。

 今回、「創作大賞2022」に参加するにあたって、10本の記事が、なるべく抵抗なく、読み進められるようにしようと思っています。ですので、現在の記事とは少し変わり、1から、読み進める人以外には、やや読みにくくなる可能性があります。

 申し訳ないのですが、ご容赦くだされば、幸いです。

 細かい修正をして、そして、「創作大賞2022」に参加したいと思っています。





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