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読書会報告⑤~3月の読書会で、紹介された本です~

3月の読書会では、このような本が紹介されました。

・『アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか? 大人の発達障害を考える』

 (米田衆介:著)

・『鬱の本』(点滅社)

・『スーツアクターの矜持』(鈴木美潮:著)・

・『いのちの初夜』(北條民雄:著)

・『試練に立つ自主管理ーユーゴスラヴィアの経験ー』

 (M.ドルローヴィチ:著 / 高屋定国・山崎洋:訳)


・まず最初は、『アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか?大人の発達障害を考える』の紹介です。この本の著者である米田医師が、今年度で明神下診療所を閉院することになり、改めてこの本を皆さんで共有したいということで紹介していただきました。

この本を紹介してくださった方は、ちょっとした違いが最終的には大きな違いになっていくという先生の言葉にハッとさせられたそうです。ほんの少しの違いが、思いもよらないところで大きな違いになっていくこと。100人いれば100人が違うという、当たり前のことに気付かされる本です。この

実は、私もこの本が出版された当時に読んでいたのですが、支援のためというよりは、「あれ?私って、もしかして?」という気持ちで手に取った本でした。

この本をもとに、病気や障害の診断について話が膨らんでいきました。現場で感じていることの一番は、“診断名がつくことで、本人が楽になるかどうか”という所です。また、今の社会の有り様にそぐわないと、すぐに診断がついてしまう社会がどうなのか等、話が広がっていきました。

この本は、読みやすい(元の文章よりもかなり読みやすくなっているようです)ですし、何より困っている方に、スッと届くような本なので、ぜひ読んで頂きたいです。

・次に、点滅社から出版されている『鬱の本』を紹介していただきました。この本は、鬱の時に読んだ本や、憂鬱になると思い出す本など、「鬱」と「本」をめぐるエッセイ集とのことです。

84人分のエッセイが綴られており、詩人の谷川俊太郎さんの寄稿もあり、さすがだなという文章でした。

鬱というと、誰でもなりうる病気という認識があるかと思います。ですが、もう1つの視点として、現代のような、時間で動くような社会に合わせることができなくなった時に、“鬱”という病名がつくような、社会の構造があるのではないかという話が出ました。

一方で、何かを創造する時の原動力になったりもする、この厄介な気分と、どう付き合っていくかを本を通して、感じることができるんじゃないかなと思います。

・『スーツアクターの矜持』は、特撮好きの方が紹介してくれました。50人以上の方への長期取材をもとに、まとめられている本とのことです。スーツアクターに焦点が当てられるようになってきた経緯や、視界や動きが制限されている危険な中で、なぜスーツアクターをしていけるのかといったことが紹介されているようです。特撮好きな方は、ぜひ!

・北條民雄の『いのちの初夜』は、私が紹介した本ですが、「生きるということはこういうことなのか」と、胸にすとんと落ちたような作品でした。北條民雄自身が、ハンセン病を患い、若くして亡くなった方です。入院中に川端康成に書簡を送り、そこから川端に師事するようになります。ハンセン病を患い、人里離れた病院に入院して、療養した自身の体験をもとに書かれた作品だそうです。

作品の中でも、ハンセン病に罹り、山奥の病院に入院することになる青年が出てきます。その青年は今まで暮らしていた世界にも戻れず、かといって、症状が進行していく状況にも現実味を感じられず、死ぬことだけを考えて日々を送ります。そこである日、本当に死にそうになる体験をして病室に戻り、今、まさに目が見えなくなるような状況の患者と言葉を交わします。

そこで青年がどのような心情になるかは、ぜひ読んで確かめて頂きたいです。個人的に感じたことは、”生”というのは過去や未来にあるものではなく、今この瞬間にあるということです。今までどのような出来事があったとしても、これからどのようなことが待ち受けているとしても、今の心持ちは自分で選択ができる。読んだ後、なんだか妙に晴れ晴れとしたような心持ちになりました。

・最後に『試練に立つ自主管理ーユーゴスラヴィアの経験ー』の紹介です。今はユーゴスラヴィアという国は解体されています。第二次世界大戦後に、ソ連型の社会主義建設に専念したのですが、1948年にソ連が率いるコミンフォルムから追放された後は、労働者自主管理型の分権的な社会主義を生み出し、独自の社会主義をおこなっていた国だそうです。

歴史等に詳しくはないのですが、今ある社会が全てではないという視点は、自分の置かれた状況や物事を見るときに非常に有益だと感じます。社会に合わせて生きていくしかないと思うのと、今ある社会と違う社会の形があって、様々な取り組みができるのだと思いながら生きていくのでは、だいぶ内面の自由度が違うのではないのでしょうか。

今回の読書会は、こんな感じでした!

次回は、4月27日(土)の17時ごろからです♪

ぜひ、ご参加ください。

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