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これからのディレクターに求められるコトとは何か

アーティストリレーションとは何か


Artist relations。

私が大切にしている言葉です。


正確にいうと私に演出やイベントを教えてくれたかつての上司であり演出家が使っていた言葉です。


アーティストリレーション。

その名の通りアーティストとの関係性です。


私はアーティストマネジメントでそのキャリアをスタートさせました。

ゆえにこの言葉は私の唯一無二の武器でした。


仕事を行う上でアーティストとの関係性をいかに強く結んでいくか、信頼を貯金していくかが私の仕事の最優先事項であったと思います。


小さなプロダクションでスタートしておりますのでマネジメントもしますがプロモーション、宣伝活動、レコーディングの段取りも全て行っていました。

また、曲作りやライブのために寝食を共にし、時には激しく意見をぶつけ合いながら苦楽を共にしていく中で、家族以上の強い絆が生まれ、成功に向けての大きな推進力になりました。


一方でこの関係性に亀裂が入ると良い作品を生み出すことは出来なくなってしまいます。

アーティストとの関係性=アーティストとの信頼関係が仕事におけるベースになっていました。



何もない自分が大きな仕事を生み出す術


自分には才能がない...だから大きな仕事を生み出すことは出来ない。

そう思っていないでしょうか。


自分に特別な才能などなくても大きな仕事はできる。

私はそう思います。


世の中をアッと驚かせる仕事をしたいなら、世の中をアッと驚かせる才能と出会えば良いのです。

そんな才能と出会った時、私は前述のアーティストリレーションを念頭に培ってきたスキルで小さな信頼を積み上げていきます。


アーティストと表現していますがアーティストは人です。

つまり人との関係=人間関係を強固に結ぶ力


人に信頼を得る力を高めればあなたがこの人と大きな仕事を成し遂げたいという思いは大抵成就するのではと思います。


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ディレクターからカタリストへ


そんなアーティストリレーションを強化しアーティストとの関係性を培っていく中で私はディレクター業を行なってきたのですが、最近このアーティストリレーションはアーティストとアーティストを引き合わせ、その化学変化で更により魅力のある仕事を生み出すという形に進化させています。


才能と才能をぶつける。

そこから生まれる化学反応の結果は反応性に富んだ新しい答えを生み出してくれます。


アーティストは一人でもとても魅力のある人ですが別の才能と出会うと更に大きく輝きます。

場合によっては全く違ったものを生み出すこともあります。


この考え方は私が化学を専攻し、修士過程に至るまで実験室で実験を行うことでAとBを化学反応させるという化学で言うならば「化合」と言う考え方が染み付いているからであると思いますが、その化学反応を起こさせるために必要なものがあります。


それがカタリスト=触媒と言うものです。


小学生が理科で学ぶとき、酸素を発生させる実験をするときオキシドールを分解して水と酸素が発生しますが、この実験をする時二酸化マンガンを加えます。

それ自体は水と酸素の成分ではないですがその分解の反応を助けるのです。

反応性を高める、それを触媒と呼びました。


私も私自身はアーティストではないがアーティストが何か生み出す際、そのプロダクトが大きな化学反応を生み出すその反応性を高める存在でありたいと考えるようになります。


私は良質の企画やプロダクトを生み出すための触媒=カタリストでありたいと。



チームラボが提唱するカタリストと言う職業


そんなことをふっと意識したのはデジタルアートで様々な地域で話題を作るチームラボのクリエイティブの職種にそう表記されていたこともあります。

ディレクターという表記ではなく、カタリストとという肩書きとしているようです。


チームラボに所属する方のブログによると

カタリストとは

1.化学でいうと触媒
2.促進の働きをするもの
3.相手に刺激を与える人


と言われています。

チームラボではカタリストが入ると

1.ものづくりをするメンバーの反応が大きくなる
2.モチベーションが上がる
3.アイデアをバンバン出して引っ張る


と紹介されておりました。


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アーティストリレーションとカタリストで化学反応を


私も音楽、イベントに関わる世界にいて肩書きは主にディレクターという肩書きで仕事をしてきたつもりですが、何かを生み出す人たちと仕事をする中でその信頼をアーティストリレーションを一番に、という信念の下、プロダクトやステージがより豊かなものになるためその反応性が上がるための試行錯誤をしてきたつもりです。


どちらかというとディレクターというよりはカタリストとして


この話はエンタメの世界に限ったことではなく不確かな時代、”コト”や”体験”が求められる時代に求められるディレクターの新しいカタチであるのかもしれません。



以前に私が書いたこちらの記事も併せてご覧ください ↓



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