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役目を終えたクリスマスツリーの行方 西ヨーロッパ

西ヨーロッパでは、1月6日にもなると、役目を終えたクリスマスツリーが町中に並び、ツリーで埋め尽くされる。

欧州では毎年、森に植え替えられる生きたクリスマスツリーの鉢植えをレンタルする仕組みもあるが、居住地域によっては、そうもいかない。そこで毎年12月になると切り倒したツリーを購入する人も多い。切られたものの売りに出されない木も含めると、膨大な数の木が捨てられていることになる。

そこで、役目を終えたクリスマスツリーをどのように有用にリサイクルできるのか。各国の創意工夫を紹介する。

1.クリスマスツリーを家畜のごちそうに
農場や動物園では、寄付金と引き換えにツリーの回収サービスを行っているところがある。英国最古の都市型農場であるロンドンのケンティッシュ・タウン・シティ・ファーム(Kentish Town City Farm)では、回収したツリーをヤギの餌とする。ヤギにとっては美味しい餌となるだけでなく、天然の虫下しにもなると考えられている。

2.クリスマスツリーで海岸を保護
切られたクリスマスツリーをビーチに植えたり埋めたりすることで、砂丘を高く支える砂丘植物とする。砂丘は、洪水から土地を守る役割を担うが、陸上の森林よりも単位面積あたりの炭素蓄積量が多く、産業革命以降に地球上で排出された炭素の3分の1を蓄積してきたブルーカーボン生態系でもある。丁寧にクリスマスツリーを地面に植え、風が吹けば枝に砂が取り込まれ、砂丘をさらに高く築き上げる。
イギリスのコーンウォールに拠点を置く団体ビーチ・ガーディアン(Beach Guardian)では、ボランティアで古いクリスマスツリーを海岸に運び、砂丘の保護に活用している。

3. クリスマスツリーを街の堆肥に
ビーチが近くになく、ツリーを回収してくれる農場も見つからない場合は、多くの地方自治体や慈善団体がツリーを引き取って堆肥に変えてくれる。また細かく砕かれたツリーは、公共地帯の緑を維持するためにも使用される。パリでは、市議会が市内各所にツリーの回収場所を設置しており、回収されたクリスマスツリーは細断された後、市内の緑地に散布される。
「以前は、モミの木を焼却炉で燃やしていた。だが、生分解性で自然素材のモミの木を利用しない手はない」とパリ市の庭師、ニコラス・スール(Nicolas Soules)氏は言う。
パリでは、2024年のオリンピック開催に向け、シャンゼリゼ通りをグリーンで一新する予定だ。そしてサステナブルなクリスマスツリーは、人々の家の前に届けられた後、責任を持って堆肥化される。

4.ツリーを寄付して動物園で遊ぶ
クリスマスツリーは、家畜にとっておいしいご馳走であるだけでなく、動物園でも動物のための強化学習プログラムとして有効活用されている。
ベルリンとプラハの動物園では、ゾウ、ゴリラ、バイソンが、役目を終えたツリーで遊んだり、匂いを嗅いだり、かじったりして楽しんでいるという。プラハ動物園のミロスラフ・ボーベック(Miroslav Bobek)園長は、売れ残ったクリスマスツリーを業者から譲り受ける。「家庭で使われたツリーには、装飾品やお菓子がかかっていたりして、小さな針金が入っていることがある。それは動物には危険だ」。イギリスのクレブドンにあるノアズ・アーク・ズー・ファームでも、ゾウ、ベンガルトラ、アンデスクマ、ライオン、アカシカ、ニワトリが食べたり遊んだりできるよう、クリスマスツリーの寄付を募っている。

(引用元)https://www.euronews.com/green/2023/01/02/4-weird-and-wonderful-ways-to-recycle-your-christmas-trees-this-year

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