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「主人公」は2種類しかいない。

物語には「主人公」というものが出てくる。
それは、
・その物語における中心人物
・物語の進行を眺める視点役
・物語世界の解釈基準者

……などなど、単なるキャラクターとは一線を画す役割を担う。

ただ、実際のところ主人公というものの描き方や役割の担わせ方というのは、作品ごとに異なっている。
そのような中で、自身の作品の主人公を、どのように描写しようか、扱おうか、本当にこの立ち位置でいいのか? など迷いが生じることがある。

そんなときに便利なのが、主人公というものを以下のように2種類、シンプルに捉えてみることである。

・共感型
・理想型

すべての物語作品の主人公は、必ずこのどちらか、あるいは両方の型にあてはまる。

まず共感型というのは、冒険ものやスポーツもの、恋愛ものなどに出てくる、成長していく主人公である。
最初は状況に苦労したり、下手だったり、平凡だったりしても、次第に立派な存在になれる。
その過程を、読み手が楽しむための主人公だ。

次に理想型というのは、推理ものやダークファンタジー、勧善懲悪などに出てくる、能力の高い主人公である。
その手腕で事件を解決に導いたり、悪を断罪したり、はたまた自身の欲望を満たす、そんな唯一無二の存在。
その類まれなる才能や能力による爽快感を、読み手が楽しむための主人公だ。

以上が、共感型と理想型の主人公の違いである。

そして、もちろんこの2種類は同居し得る。

・物語の時系列(冒頭〜終盤)
・物語の状況(日常〜クライマックス)
・物語内の場所(内〜外)

なぜなら、こういった物語の諸所により、主人公の役割が変化することは当然だからだ。
具体例として、

・敗北をきっかけに厳しい修行を重ね、リベンジに成功する
・いつも失敗ばかりすることで有名な社員が、とある事件でその隠された能力を発揮して活躍する
・バリバリ働くキャリアウーマンだが、一度家に帰れば超絶ぐうたら干物女になる

このような主人公は、確かに共感性と理想性を備えていることになる。


物語における主人公というのは、他のキャラクターとは一線を画す重要な存在であり、作者はその描き方や立ち位置に迷うことも少なくない。

そんなときでも、あくまで主人公は「共感型」か「理想型」の2種類しかないのだ、ということを頭においておく。
そして、時と場合と場所などの、物語における他の要素によって、主人公の共感性と理想性は切り替わることがある。

そういったことも含めて、主人公にあるべきタイプは共感型と理想型なのだ。

これを忘れなければ、自ずと主人公の扱い方について、迷うことはなくなるだろう。

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