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7月27日 読書会報告

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

2024年7月27日の夜に開催した、東京読書倶楽部の読書会の報告です!

この日は新規の方が1名、リピーターが10名の合計12名。お酒を飲みながら読書会、その名もBOOK & BOOZE!

隅田川花火大会、フジロックフェスの裏番組(?)でありながら、お陰様で満員御礼続きです(*^^*)

ワインやどぶろくの差し入れもあって、楽しく語らえたならば良かったですが、何事もほどほどが大事ですね。

紹介して頂いた本

読書会終了後に撮影

スチュアート・ダイベック「僕はマゼランと旅した」白水社

人間は苦難が続いているとき、良いときの記憶を思い出すものである。

レフティは扁桃炎を患ったとき、おばあちゃんが1日中看病してくれた。病気自体は辛いけれども、おばあちゃんと一緒に過ごす日々は特別で、幸せな時間だった。

そんな幼少時代の僕を、窓から眺めるのは高校生なったレフティ。社会不適合者のレッテルを貼られた僕は、過去の輝かしい思い出を寄す処に生きている……(「マイナームード」より)。

この本を手に取ったきっかけは、本著を翻訳している柴田元幸さんの朗読を聞いたこと。誰しも持つ過去の憧憬を思わせる短編集。

 竹宮惠子「エルメスの道」中央公論新社

かの有名なブランド「エルメス」がいかにして有名になったか、初代エルメスから日本進出までの歴史を辿る物語。

かつては馬具を取り扱っていたエルメスが、いかにしてバッグを取り扱うようになったのか。スカーフ「CARRE(カレ)」が生まれた経緯など。

紹介者のお母様が持っていた本が、新装版で出たことを知り紐解いたそうです。

アシュリー・ウォード「動物のひみつ」ダイヤモンド社

ざっくり説明すると、「どうぶつ奇想天外!」を1冊にまとめた本。哺乳類、爬虫類、鳥類、昆虫に至るまで様々な動物の「社会性」に焦点を当てている。

例えば、自分の体長の数千倍もの大きさの蟻塚を作るシロアリ。蟻塚内の部屋には一つ一つ役割があり、壁が破損すると自然とシロアリたちは補修に回る。その様子はまるで人間の白血球のようだ。

人間だけが他の動物よりも優れていると思いがちではあるが、これを読むと「人間らしさ」ってなんだろうとつい考えてしまう。

乙一「暗いところで待ち合わせ」幻冬舎

会社でいじめられている主人公は、気でも狂ったのか、突然駅のホームで人を突き落としてしまう。

焦った主人公はなんとか逃げおおせたいと思い、向かいの家に住む「目の見えない女性」の家に勝手に上がり込むことにする。

いつの間にか物の位置が変わっていることに不審がる女性。果たして主人公の結末やいかに。夏にぴったりなゾットするような乙一ワールドです。

道尾秀介「シャドウ」東京創元社

母を癌で亡くした小学5年生の主人公は、「人は死んだらどうなるのか」を考えるようになる。その後立て続けに友達の母が飛び降りて亡くなり、その友達も交通事故で骨折した。

全く関係がないような出来事だが、この3つの「事件」はつながっているという。果たしてその黒幕は誰なのか。そして表題の「シャドウ」とは一体何なのか?

「ほんタメ」で紹介された作品で紐解いたのだが、いくつか読んだミステリーの中でトップクラスで面白かったという。身近な死を通じて、死とは何かを考える主人公に心打たれる。

J.D.サリンジャー「キャッチャー・イン・ザ・ライ」白水社

クリスマス前に寄宿学校を退学された主人公。いま実家に帰ると面倒なので、ニューヨークで3日間ほど時間を潰すことにする。

退学処分したくせに「グッドラック」と言った校長だの、ニキビを潰すくらいしかやることがない友人だの、世の中全てに嫌気が差している主人公だが、純粋無垢な妹と町で出会った子どもたちには優しく接する。

だがそんな妹から「お兄ちゃんは何を愛しているの?」と聞かれた際、彼は現実を無視するあまり、現実を受け入れなくなっていたことを知る。

村上春樹翻訳の「オサレ」な口語訳。こういう何も起こらない物語が面白いのですよ。誰しもこんなふうに、苦しみながら大人になるんだろうなって。

美味しい料理やお酒と共に

白河三兎「私を知らないで」集英社

中学2年生の主人公は、夏の終わりに神奈川のとある高校に転校する。もとより転勤族ゆえに、親しい友達を作ろうとはせず、いい塩梅の距離感を保つのには慣れていた。

ただこのクラスには、一人浮いている美女がいた。「キヨシ」と呼ばれている彼女は、お昼になるといつもおにぎりを食べていた(つまり山下清、裸の大将である)。

彼女のことは気になるけれど、浮いた存在として近寄りがたい雰囲気。そんな日々も、さらに現れたノーテンキな転校生によって変わっていく。これまた夏にぴったりなボーイミーツガール。

上橋菜穂子「精霊の守り人」新潮社

とある王国の用心棒をしている主人公 バルサ。彼女が護るのは「精霊の卵」を宿したために、実の父親や魔物から命を狙われている皇子。

何度もバルサに護られる皇子は、戦いの末に生きることとは何かを考える。夕食の野ウサギも、同じように命からがら逃げ出したんだろうと。

そもそも「精霊の卵」とは一体何なのか、なぜ彼が選ばれたのか。子どもだけでなく大人も楽しめるファンタジー長編。

タイモン・スクリーチ「江戸の大普請」講談社

江戸時代 都を京都から江戸(東京)へ移すに当たり、その区画整備がいかに行われたか。

かつて奈良や京都は「四神相応の地」を軸に都を築いたが、江戸は北に位置する高い山も、東に位置する池もなかった(そのために上野に不忍池ができたらしい)。

神聖な方角とされる北側に日光東照宮を築き、鬼門となる北東には浅草寺があるが、その先を超えると吉原あり。

東京という狭い地域でも、少し電車に乗ればこんなにも文化が違うと思うとまた面白いかも。

新渡戸稲造「修養」KADOKAWA

前の前の5千円札の肖像画になっていた教育者 新渡戸稲造。青年の立身から老年のときの心構えに至るまで、人生において指針となるような言葉を綴る。

大前提は富や名誉を求めず、他人から称賛されるよりも、その地に名を刻むような人になれという。逆境の時よりも、順調に進んでいるときこそその要因を考えるべし。

現代版に訳されているからという理由もあるが、タイトルの重々しさを感じられないほど読みやすかった。むしろこんなおっちゃんが身内にいたら、面白いだろうなと。

エラ・フランシス・サンダース「翻訳できない世界のことば」東京創元社

「木漏れ日」「侘び寂び」「積読」。日本に住んでいたら馴染み深い言葉も、海外で翻訳したらどうなるのだろうか。そういう、言葉を世界中からあつめた作品。

例えば、「バナナを1本食べるのに掛かる時間の単位(Pisan Zapra)」、「冷たいシャワーを浴びる(Warmduscher)」。短くは言えるけれども、それだけでその言葉の背景を全てを表すのは難しい。

そんな異国の文化に思い馳せる1冊。絵本チックなので、寝る前にでもおすすめです。

2024年8月の読書会スケジュール

8月3日(土) 14:00~16:00
偏愛読書会「森見登美彦」
8月17日(土) 10:00~12:00
朝活×読書会 → 満員御礼!!!
8月24日(土) 19:00~22:00
飲み有り読書会 BOOK&BOOZE!
8月31日(土) 10:00~12:00
朝活×読書会 → 満員御礼!!!

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