【#11】くりす就活やめるってよ~ホテル運営の駒となって思うこと~
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フロントマン生活、スタート~7月16日~
私は山奥の温泉街にある、宿泊施設へとむかった。
目的はアルバイト。
年末年始にリゾートバイトでお世話になったつてで、フロントとして採用していただいた。(年末年始はレストランだった)
ここでは生活費がかからない。そのため効率よくお金を貯めることができる。今後の活動資金を貯めるには最適な環境なのだ。
もちろん、それが一番の目的ではないが。
一か月のフロントマン生活のスタートである。
平凡な仕事7月17日~28日
早いもので、もう10日間も過ぎ去ってしまった。
感想としては、良くも悪くも平凡な日々だ。
週に5,6回、指定された時間にフロントへ向かい、誰でもできる仕事をこなし、食事をとり、温泉に入り、寝る。
農業アルバイトほどの濃密な人間関係も、強烈な気づきや学びも今のところない。
文章にするほどの事件もない。
それでも備忘録として記録しておこうと思う。
仕事内容
僕の仕事は13時または14時から始まる。
フロント業務と言っても、カウンターに立つ仕事ではなく、
・入館したお客様への検温とアルコール消毒の呼びかけ
・ロビーからエレベーターまでのご案内
・客室までの荷物運び
・掃除
が主な仕事内容だ。
おそらく仕事中に発する言葉の4割ほどが
「いらっしゃいませ。検温とアルコール消毒のご協力をお願いいたします」
「お荷物は別のエレベーターで運ばせていただきますので、客室にてお待ちください」
である。
もはや、ペッパー君と変わらない。
やりがい
正直なところ、やりがいは全くない。
ただ「コロナ対策に努め、お客様の荷物を運んだり、館内に関する質問に答えるというプログラミングをされた、若めの兄ちゃん風ロボット」でいればよい。
会社もお客様も、基本的にはそれを求めている。
だから私はロボットを演じる。会社とお客様のために。
それでも、言われたことだけをこなすのはあまりにつまらない。
なぜなら私はロボットではないからだ。
だから考える。
どうすれば私に与えられたロボットという役割を全うしつつ、価値を生めるかを。
検温ロボットのときに価値を生むことは不可能だ。
検温ロボットに必要なことは、円滑に業務をこなし、なるべく早くお客様にチェックインしていただくことである。
だからこそ僕にできることはできるだけスムーズに説明をして、余計なことをしないこと。どれだけ早くお客様を通すかが重要。
だから僕は検温ロボットとして、検温をすることだけを考えるのだ。
荷物運びは人による。
ニーズは人それぞれだからである。
例えるなら床屋に似ているかもしれない。
まず「髪を切る」という一番の目的がある。そして、お客さんによって
会話をしたい人、黙って切って欲しい人、音楽を聴きたい人など、さまざまいる。
それと同様に、
「どちらからいらっしゃったんですか?」
「当ホテルのご宿泊は初めてですか?」
といった会話をすることもあれば、
荷物持ちとして淡々と歩くときもある。
お客様の雰囲気、年齢、性別、歩く速度も観察してどう対応するのか、決めるのだ。
これが意外と面白い。
仕事の感想
スタンスとしては、「ロボットとしてのプログラミングを発揮しつつ、ときどき人間として人と接する」ようにしている。
僕は正直なところ、
このスタンスで行う仕事を半年、1年、5年、10年20年と続けたいとは思えない。
なぜなら、コントロールできない要因が多すぎる。
お客様の特徴もあるが、お客様以外の部分が大きい。
例えば、コロナ禍でインバウンドがいなくなった。
その結果、週末は比較的混むが、平日には近くの都市に住む、ご年配が中心になった。その数は一日十数件。
単純計算一時間に2組ほどなのだ。
案内に10分かかるとして、二組で20分。
毎時間40分余るのだ。
…毎時間40分という表現は置いておいて。
では、暇な時間に何ができるか。
答えは何もできないのである。考え事をしたり、他の従業員と多少会話が出来たりする程度だ。
余暇でもなく、仕事とは言えない時間。
達成感も喜びも楽しさも、あるいは辛さや学べることもない、全くの「無」の時間。
本当にロボットになってしまったかのような感覚。
これが続くのか、そう思うとかなりしんどい。
つまり、僕の思う仕事のやりがいとは「自分は自分として、どれだけ干渉されずに取り組めるか」なのかもしれない。
誰にでもできる仕事でもよい。
そこで、自分らしい、人にはできない価値を生みたい。
荷物を運ぶ時間すら、お客様に楽しんでもらおうと会話をするように。
雑草を抜きという仕事を、いかに気持ちよく取り組めるかを考えるように。
だからこそ、自由度の高い仕事を選ぶ必要がある。
検温ロボットとして生きていくには人間に戻る権利すらないように。
荷物運びとして生きていくには外的要因が強すぎるように。
下積みは必要だと思うが、「積み上げるものがない、積み上げたくない」下積みに気をつける必要がある。
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