石井公二

片手袋研究家。道端に落ちている片方だけの手袋の研究家です。 『片手袋大全』 http:…

石井公二

片手袋研究家。道端に落ちている片方だけの手袋の研究家です。 『片手袋大全』 http://katatebukuro.com/

記事一覧

『オッペンハイマー』の辛さ〜あいまいでなかった日本の私〜

こんなに辛いとは 待ちに待った『オッペンハイマー』。しかし上映中、私の心は引き裂かれそうに重苦しく、観賞後しばらくは具合が悪くなってしまった。どちらかといえば「…

石井公二
3か月前
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『POP LIFE: The Podcast』#281 エルヴィス―巨大すぎるアイコンの輪郭…をまとめてみた!

前回に続き、2回に渡ってエルヴィス特集をしてくれた『POP LIFE: The Podcast』の補足を更新します。今回は#281、2回目のエピソードを補足します。補足と言いながら私的な…

石井公二
2年前
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『POP LIFE: The Podcast』#280 『エルヴィス』をこう観た!…をまとめてみた!

始まった時からずっと聞いてる大好きなポッドキャスト番組、『POP LIFE: The Podcast』。今回、映画『エルヴィス』の公開を記念して、これまた私が人生を掛けて追い続けて…

石井公二
2年前
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明日のアー本公演vol.7『そして聖なる飲み会へ』

初日、12/10の夜公演。以下、感想を忘れないうちに覚書として。 パンフレット冒頭の挨拶文に「飲み会」「ノリ」という言葉があるように、終始ノリで笑った80分だった。今…

石井公二
2年前
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長嶋vs郷ひろみ

尊敬を超えて畏敬の念すら抱いてしまう人物の共通点とは何か?それは「何故その行動を選択したのか常人には理解が出来ない」ことだと思う。 昔、何気なくテレビを見ている…

石井公二
3年前
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現場って?

「現場で頑張ってる人達がいる。オリンピックへの賛否は置いといて、その人達の為にもせめて開会式は優しい目で見てあげよう」 そんな声を数多く目にした。圧倒的に正しい…

石井公二
3年前
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想像ボジョレー

毎年11月の第3木曜日に解禁となるボジョレー・ヌーヴォー。今年は一昨日が解禁日でした。 毎年、ボジョレーの解禁日とバレンタインデーを死ぬほど楽しみにしている俺。10…

石井公二
3年前
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ビートルズと肛門②

(パート①はこちらから) ☆失われたビデオテープ大学に入学して数年経ったある日、大学の敷地内で単位とは関係ない独自の英会話教室が開かれると知った。長年のコンプレ…

石井公二
3年前
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ビートルズと肛門①

☆ビートルズとの出会い私がビートルズにハマった日は、1995年12月31日とはっきり特定できる。大晦日の夜、アンソロジーの編集版が5時間30分にわたってテレビ朝日で放送さ…

石井公二
3年前
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ドーナツを描くと言われた日

「明日の図画の授業は、ドーナツの絵を描きます。なので、必ず明日は見本となるドーナツを持ってくるように!」 私がまだ小学生だったある日の帰りの会。先生が唐突に変わ…

石井公二
3年前
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トークイベントでの惨劇

昔、学生主催のトークイベントを見に行った時のことである。 学生主催とはいえ登壇者は魅力的な人選で(だからこそ私も行ったのだが)、仕事が終わってから急いで会場に向…

石井公二
3年前
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『アメ車のボンネットはバンバンと叩かれた』

15年という年月があれば、我々はどれだけのことを成し遂げられるだろう? 私は大学を卒業した後、20代半ばで夜間の調理師学校に入学した。仕事を終えた後に急いで自転車を…

石井公二
3年前
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『スパイダーマンホームカミング』の“あの曲”について

※以下、『スパイダーマン ホームカミング』のネタバレ含みます。 『スパイダーマン ホームカミング(以下『ホームカミング』)』を見てきた。個人的には面白くもあり、不…

石井公二
7年前
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『オッペンハイマー』の辛さ〜あいまいでなかった日本の私〜

『オッペンハイマー』の辛さ〜あいまいでなかった日本の私〜

こんなに辛いとは

待ちに待った『オッペンハイマー』。しかし上映中、私の心は引き裂かれそうに重苦しく、観賞後しばらくは具合が悪くなってしまった。どちらかといえば「国」という枠組みの煩わしさから距離を取るように生きてきたので、自分がこのような反応をしたことが自分でも意外だった。

こんなことになってしまったのは、劇中の登場人物たちが日本人にとって辛い発言や態度を見せたからではない。それはあの時代を描

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『POP LIFE: The Podcast』#281 エルヴィス―巨大すぎるアイコンの輪郭…をまとめてみた!

『POP LIFE: The Podcast』#281 エルヴィス―巨大すぎるアイコンの輪郭…をまとめてみた!

前回に続き、2回に渡ってエルヴィス特集をしてくれた『POP LIFE: The Podcast』の補足を更新します。今回は#281、2回目のエピソードを補足します。補足と言いながら私的な感情が入ってるのはご勘弁を!

1:30~「エルヴィスのプレイリスト」
タナソーさん選曲(なのかな?)のプレイリスト、初めての方には入門編として凄く良いですよ。

2:25~「『ブルームーン』と『ブルーハワイ』」

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『POP LIFE: The Podcast』#280 『エルヴィス』をこう観た!…をまとめてみた!

『POP LIFE: The Podcast』#280 『エルヴィス』をこう観た!…をまとめてみた!

始まった時からずっと聞いてる大好きなポッドキャスト番組、『POP LIFE: The Podcast』。今回、映画『エルヴィス』の公開を記念して、これまた私が人生を掛けて追い続けてるエルヴィスの特集を二回に渡ってしてくれてます!

まずはタナソーさん、三原さん、宇野さん、池城さんという座組が最高ですし、皆がエルヴィスを熱く語ってくれてるだけで涙出ちゃう。

途中、三原さんが「エルヴィスって話題が多

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明日のアー本公演vol.7『そして聖なる飲み会へ』

明日のアー本公演vol.7『そして聖なる飲み会へ』

初日、12/10の夜公演。以下、感想を忘れないうちに覚書として。

パンフレット冒頭の挨拶文に「飲み会」「ノリ」という言葉があるように、終始ノリで笑った80分だった。今年7月のアーの演劇『一つきりの夜に』は観劇中ずっと頭をフル回転させながら見ていたのに、ラストでエモーショナルな地平に連れていかれた。一方、今回の公演は笑いながらも最後の最後では突き放されたような印象を受けた。

それは、本公演自体が

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長嶋vs郷ひろみ

長嶋vs郷ひろみ

尊敬を超えて畏敬の念すら抱いてしまう人物の共通点とは何か?それは「何故その行動を選択したのか常人には理解が出来ない」ことだと思う。

昔、何気なくテレビを見ていると郷ひろみが野球をしていた。郷ひろみに野球のイメージはあまりなかった私は「何だろう?」と不思議に思い、その番組を見続ける事にした。しばらく見てみると大体の概要が見えてきた。

郷ひろみは野球が得意らしく、しかも根っからの巨人ファン(この辺

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現場って?

現場って?

「現場で頑張ってる人達がいる。オリンピックへの賛否は置いといて、その人達の為にもせめて開会式は優しい目で見てあげよう」

そんな声を数多く目にした。圧倒的に正しい、優しい。でも、その正しさと優しさに絶望を覚える。

私は仕事の都合上、毎週1回豊洲市場に通っている。築地時代から数えるともう20年以上そんな生活を続けている。

選手村や各種競技会場にほど近い豊洲市場周辺は、五輪開催前から大規模な交通規

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想像ボジョレー

毎年11月の第3木曜日に解禁となるボジョレー・ヌーヴォー。今年は一昨日が解禁日でした。

毎年、ボジョレーの解禁日とバレンタインデーを死ぬほど楽しみにしている俺。10月も終わりに近づき、夜なんか少し肌寒くなってくるといよいよ落ち着きがなくなってきます。「ボンゴレ」とか「オコジョ」とか聞いただけでもボジョレーを連想してしまって涎が溢れ出てきます。

「ボジョレー・ヌーヴォーなんか美味しくないよ!

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ビートルズと肛門②

ビートルズと肛門②

(パート①はこちらから)

☆失われたビデオテープ大学に入学して数年経ったある日、大学の敷地内で単位とは関係ない独自の英会話教室が開かれると知った。長年のコンプレックスを少しでも克服できればと、私はすぐに申し込んだ。

私のクラスを受け持ったのは、30代前半のアメリカ人男性K先生だった。授業が終わってから雑談を重ねるうち、彼がビートルズマニアであることを知った。その他の話題でもK先生とは気が合い、

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ビートルズと肛門①

ビートルズと肛門①

☆ビートルズとの出会い私がビートルズにハマった日は、1995年12月31日とはっきり特定できる。大晦日の夜、アンソロジーの編集版が5時間30分にわたってテレビ朝日で放送された日だ。私は15歳だった。中学2年生でギターを弾き始めて、音楽への興味が広がり続けている時期だった。

「ビートルズくらい、ちょっとは知らないとな」

軽い勉強のような気持ちで、大晦日の放送を見ようと決めた。

その日、家族は年

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ドーナツを描くと言われた日

ドーナツを描くと言われた日

「明日の図画の授業は、ドーナツの絵を描きます。なので、必ず明日は見本となるドーナツを持ってくるように!」

私がまだ小学生だったある日の帰りの会。先生が唐突に変わった課題を出した。(そうかー、ドーナツの絵を描くのかー。楽しそうだな)。

しかし子供はすぐに忘れる。家に帰るが早いか再び外に飛び出し、クタクタになるまで遊び倒す。五時を告げる『夕焼け小焼け』のチャイムが町に鳴り響く頃には、ドーナツの事な

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トークイベントでの惨劇

トークイベントでの惨劇

昔、学生主催のトークイベントを見に行った時のことである。

学生主催とはいえ登壇者は魅力的な人選で(だからこそ私も行ったのだが)、仕事が終わってから急いで会場に向かった。

第一部開始直前になんとか間に合い、椅子に座って息を整えているとトークイベントが始まった。しかし、議論は盛り上がりそうになるのだが、いかんせん主催者である学生の覇気がなく、受け答えも要領を得ない。

どこか不完全燃焼感を残したま

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『アメ車のボンネットはバンバンと叩かれた』

『アメ車のボンネットはバンバンと叩かれた』

15年という年月があれば、我々はどれだけのことを成し遂げられるだろう?

私は大学を卒業した後、20代半ばで夜間の調理師学校に入学した。仕事を終えた後に急いで自転車を漕ぎ、学校に向かう日々。調理実習はともかく、座学の授業中は眠気を堪えながら必死にノートを取った。しかしそれが辛い日々だったかというと全くそんなことはなかった。

夜間部には10代から70代まで幅広い年齢層が通ってくるが、昼間部と違い「

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『スパイダーマンホームカミング』の“あの曲”について

※以下、『スパイダーマン ホームカミング』のネタバレ含みます。

『スパイダーマン ホームカミング(以下『ホームカミング』)』を見てきた。個人的には面白くもあり、不満もあり、あの名作『コップ・カー』の監督作としては…という感じだった(しかし僕は基本的にどんな映画を見ても面白いと感じる人間なので、その意味ではもう全然大満足!なのだが)。

それでも作中、否応無しに興奮してしまい、鳥肌が立ちまくった場

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