スクリーンショット_2018-07-03_21

自分のツイートが2,500LIKEを超えたから、松木安太郎さんを営業妨害するnoteを書いてみた

サッカー解説者の松木さんをご存知だろうか。

「いけぇー!」
「シュートだぁ!」
「ふざけたロスタイムですね〜」
「なんなんすかコレ」
「レッドカード三枚くらい必要だ」

こんなフレーズばかりを言っていたら、間違いなく街中で飲み歩いているオジサンかと聞き間違えるであろう。

しかし、これは地上波のサッカー中継での1コマ。しかも、日本代表戦で解説を担当する人から発せられる言葉だからこそ、人は虚を衝かれた気持ちになる。

この解説スタイルには賛否が激しく別れており、「松木さんはいつもテキトーなことばっか言ってる」「松木の解説はうるさいからダメ」と、サッカーに関する一定の知識を持つ人からは、次第に辛口なコメントも目立つようになってきていた。

でも、ふと1つのツイートがバズった時に、「なぜ松木さんはあのようなキャラなのか?」という質問の答えに気づかされることになる。


「サッカー」は決して大衆化されてはいない

今回のnoteを書くに至ったのは、日本人は「サッカーワールドカップ」に興味はあれど、「サッカーが特段好きか?」と言われたら、案外そうではないかもしれないと気づいたからだ。

確かに、サッカー選手になりたい子供は、2018年になっても沢山溢れ返っているのは事実である。

けれども、「サッカーを普段から楽しんでいる人は多いか?」と言われると、必ずしもそうではないのかもしれない。

なぜなら、多くの人はJリーグが毎週末開催されている事実を知らなければ、地元のチームに所属する選手を11人言えないことがほとんどだからだ。

でも、それは非難されることでもなければ、咎められる理由でもない。

Jリーグの露出なんて地上波では年間数十試合あれば良い方だし、試合結果を伝えるニュースにしても、夜のスポーツコーナーの1コマであることがほとんどだ。

そんな環境で「Jリーグについて詳しくなってくれ」と願うのは非常に難しいし、僕もセネガル代表のシセ監督みたいな表情になったって、なんら不思議ではないのだ。


松木さんの「底抜けな明るさ」には脱帽するばかり

だからこそ、松木さんの「なんか面白そうなことを言っている解説」は、多くの人を惹きつける。

絶叫や変なフレーズを繰り返す松木さんではあるものの、その解説は闇雲に発狂している訳でもなく、実はテクニックに溢れていることはあまり知られていない。

これがタイトルにも書いている2,500LIKEを超えたツイートである。

上のコメントはJ SPORTSが提供しているYouTubeコンテンツでの一幕。

サッカーを取り巻く戦略・戦術の理解や説明に長けており、識者からも一目置かれる戸田和幸さんがコメントしたことがフックとなり、サッカー好きを中心に多くのリツイートとLIKEを集めることになったのだ。

要は、松木さんのそうした配慮ある部分に一切気づくことがなく「あの人は大したコメントをしない」「にわかファンだけが好きな存在」と見なしていた人たちにとっては、まさに不意を突かれたような反応として今回のバズが起こったように思われる。

そんなときにふと、「松木さんってどんな人だったっけ?」と考え直したのが、今回noteを執筆した理由である。


錚々たる面々を率いた「初代Jリーグ年間最優秀監督」

松木さん自身のキャリアを紐解くと、実はとてつもない人であることに気づかされる。

選手時代は日本代表に選ばれるほどの実績を持ち、右サイドバックとしてワールドカップ予選に出場したことも。

また、松木さんを語る上で欠かせないのが、1993年に就任したヴェルディ川崎での監督業である。

そのときに率いた面々は、今でもテレビに出ずっぱりな面々が揃う。

ラモス瑠偉、三浦知良(カズ)、武田修宏、北澤豪、ビスマルクといった選手たちを束ね、初代Jリーグ年間王者に輝いているのだ。

また、柏レイソルをのちにJリーグ王者に導いたネルシーニョ監督をヘッドコーチとして仲間に引き入れ、二頭体制としてJリーグの連覇も達成。

この2年間は選手からのストライキにもあったりと一筋縄ではいかなかったものの、監督して揺るぎない実績を残しているのだ。

その後は監督業から離れてコーチライセンスを取得。次第に解説業にも力を入れるようになり、一度は監督業に復帰したものの、現在までに数多くの試合で解説を務めている。

今となっては人気サッカー解説者として誰しもが知る存在であり、テレビCMやバラエティでも目にする機会が増えてきている。


「普通に解説できる人」がピエロを演じる意味

もちろんのこと、松木さんよりも戦略・戦術論を語るのに長けている人たちは沢山いるし、僕自身もそういった専門家の意見を見る・聴くのは大好きだ。

上に例で挙げたようなfootballista(フットボリスタ)さんなんて専門知識の極みのような洗練された記事が多く、サッカーフリークから見たら見応え十分なサッカーメディアだ。

でも、こうした記事やメディアとは対照的に、松木さんのような存在が世の中から必要とされていること、人気を集めていることの意味を知ることが、今のサッカーファンには求められているように思えてならない。

なぜなら、そこまでサッカーとの縁がなかった人にとっては、専門的な意見ばかりを耳にすると、興味関心を失ってしまう可能性が高いからだ。

そういう方々とのコミュニケーションにおいて、松木さんが敢えてピエロを演じていることは、重要な示唆を与えているはずだ。


「相手目線」に立って、自分の「好き」を伝えること

昨今のインターネット上での反応を見ていると、草の根からの「プラスマインドな振る舞い」が、新規観戦者を呼び込めるどうかに大きな影響を及ぼしていると感じられます。
「プラスマインドな振る舞い」を心がける人が増えるだけで、Jリーグのまだ見ぬ可能性が切り開けると、私自身は本気で思っています。綺麗事かもしれないけど。

出典:サッカー観戦初心者にオススメなのはゴール裏? 柏レイソルサポーターのアンケート回答から気づいた「席種よりも大切な◯◯」

前に自分が書いたnoteでも言及した内容で、インターネット上で「コアファンvsにわかファン」の対立を煽るよりも、自分の「好き」を伝え続けことは非常に大切であることをお伝えした。

そして、そんなときには決して“独りよがり”にならず、相手の目線に立ってサッカーの魅力を伝えることが求められているのだ。

実際にこうした取り組みをしている人たちもいて、「#はじめての栃木SC」と銘打ったこの企画では、これまでサッカー観戦をしたことがなかった人たちが中心となり、インターネット上で大きなムーブメントを起こしたのは記憶に新しい。

ワールドカップで熱が高まった今だからこそ、「サッカーと関わりが少なかった人」と一緒に楽しむ方法を考えられるサッカー好きこそが、次の日本サッカー界を盛り上げるキーマンであることは間違いないのである。


※松木 安太郎さんのお写真は、 motherland inc.[マザーランド] の公式ホームページよりお借りいたしましたm(_ _)m

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?