八月の湯治⑧ 最終回【涙のラストダイブ、さらば三英荘】
<前回はこちら>
いつものように宿で昼食を摂っていると、マナーモードのはずのスマホが鳴る。緊急速報だ。滞在している北杜市、警戒レベル3。高齢者等避難が発報された。
北杜市でも長野県寄りのエリアが中心だが、油断はできない。
ここ増富は標高1,000m、渓谷沿いの温泉地だ。三英荘は小さい旅館で、山に沿うように建てられている。街の中心を流れる本谷川、河川境界からも十数メートルしか離れていない。
この時点では大した降雨ではなかったが、断続的に降り続いていたため地盤が心配だ。