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「遮光」中村文則 / 読書メモ

サクッと。

GWは中村文則ですね。笑。

筆者の文庫本に変えて、のくだりにて。

デビュー作の『銃』とこの二作目の『遮光』は、なんというかぼくのやわらかい部分に属する。

  • 僕はこう解釈しました。
    上記の「やわらかな」を「生々しい」と変えてみる。

  • つまり中村文則の処女作『銃』と二作目『遮光』は、小説家中村文則の内側に、悪魔のように根付いてしまった生々しい生得的な部分に属する。

僕の中から、原石の固まりのようなものが、そのまんま出たような小説かもしれない。「何かを持ち歩く」というのもこの二作には共通している。(あとがき、より)

★以下、ネタバレを含むので注意!

『銃』では、たまたま拾った『銃』を持ち歩き、銃に取り憑かれたようになって、最後には暴発させる。

『遮光』では、事故死した彼女の小指が入った『瓶』を常に携帯する。最後は小指を飲み込むことで世界を完結させようとする。

僕は『銃』を初めて読んだとき、後頭部を金属バットで思いっきりフルスイングで殴られたような、そんな衝撃を受けた。『銃』はそれほど僕にとって衝撃的だった。デビュー作(つまり新人)でこんな凄まじい作品が描けるものか。と恐怖に囚われたものだ。それは村上龍の作品「限りなく透明に近いブルー」以来の衝撃だった。それは今でも変わらないし、先(調べる)まで、『銃』が芥川賞受賞作品かと思っていたが『土の中の子供』が芥川賞の該当作品で、え、あ、そうなんだ。と首を傾げた。

ここでは『銃』について熱く語りたいわけだけど『遮光』を読んだわけだから、遮光推しということで。笑。

図書館から借りて読んだわけだが、買って、家の書棚において置きたいと思った。僕の創作ノートの一つとして、いつでも読み返せるようにしておきたい。

まずちょうど今、習っている。箇条書きにする。


❶「短文」
❷「だった調」
❸「12章(シンプルな章立て)」(40文字×15行 / 600文字 =1頁×142頁 / 85200文字 = 400字詰め原稿用紙換算213枚)
❹「作家のテーマ性(これは、ぼくも絶対に見つけねばならぬ、作家が運命で請け負った固有のテーマ)」
❺「典型的な二人のヒロイン」
❻確かな外観描写。❶と❷に通ずる。
❼完璧な取材(準備)に裏打ちされた作品(作り)。
❽かなは常用漢字(記者ハンドブック)の通り。
❾つまり『基本に忠実(教科書のよう)な小説』作り。❶と❷と❸と❻と❼と❽に通ずる。


この作家は、まさしく五年、いや二年(言い過ぎたか、笑)に一人の逸材だと思った。

贔屓しすぎかな。笑。
ではこの辺で。

ちょっと、思ったんですが、野間文芸(新人)賞とか芥川賞とか、川端康成賞とか、大江健三郎賞だとか、三島由紀夫賞だとか、いろいろあるけれど、割と、出来レース(かませ犬になって陳列される作家もいる)んだと、師匠から聞くと、あって、モヤモヤするが。

でもよく考えてみたらデビューしたら「それほど自分の周りにゴロゴロと居るわけじゃない」「年功序列的な文壇の部分が見え隠れするんだなぁ」と思った。
問題は、二作目三作目も精力的にデビュー作と同じかそれ以上の水準の作品をずっと熱意を持って描き続けられるか。

描き続けてれば、それはデビュー後の作家らが自然と淘汰されて、上記の賞のお鉢が順繰りと回って来る。そんな気がした。

ちょっと暗い陰鬱なのばかり読んでたので、海外文学で軽いタッチの読みたいなぁ。ハードボイルドとか。ボソボソ…



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