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カラーマーケティング VOL.05【 マーケティング・デザイン視点から見た色彩 】

結論から言うと「売れる色がある」ということは、いまからおよそ35〜40年前に、あらかたの研究が終わっています。「売れる色」は存在しています。
 
そして、この投稿に「共感できるデザイン関係者」がいるとすれば、それは「売れるもののデザイン」を いくつも作り上げてきている デザイン関係の業界で、トップクラスの人だけだろうと思いながら 書いています。

「Google」という会社が「カラーマーケティングの研究と実験を開始した」というニュースが流れました。正直、驚きました。「何をいまさら・・・」というのが私の感覚です。
 
購入に対応するカラーマーケティングは日本において1985年頃には始まっていました。私もまた、研究者をしていた1人です。研究のスタートは「店舗デザイン」からでした。

シリーズ最初の投稿

1985年頃、商店街での食品購入から、食品スーパーでの商品購入に消費者の動向が完全にシフトしました。商店街の商店の接客販売から「セルフ販売」へとシフト。

1990年頃から「パッケージデザインの研究」が、商品開発に関わるデザイナーたちの中で始まりました。当初はパッケージ商品を作る食品メーカーが行っていましたが・・・

少しずつ「流通業」の企業とタッグを組むようにシフトしていきました。そして「高額食品メーカー」と百貨店がタッグを組んで研究を本格化していった経緯があるのです。

そのことを大前提に、順序立てて「色彩をどうマーケティングしていけばいいのか?」。「売れるデザインを作るには、どうすれば良いのか?」の概要をご案内していきます。

物理学の世界では、1900年代前半に「アインシュタイン博士」や「湯川秀樹 博士」が基礎物理学を構築しバトンを受け取った方々が今「量子物理学」へと発展させています。
 
今の時代、AIなども発達してきています。若い世代の方々に、これからさらに発展させて欲しい。そう思っています。私のバトンを受け取ってもらえると嬉しいです。

前回の投稿

つづき・・・


1)暖かい色、涼しい色。


色には暖かく感じるものと涼しく感じるものがあります。夏になると女性が白や青色の服を着ることが多くなります。
 
中でも特徴的なことは、ストライプの服を着る女性が必ずいるということです。
 
百貨店勤務時代、レディース衣料の担当者から「ストライプは永遠のベストセラーだ」という言葉を聞いたことがあります。
 
ですから私は毎年夏になると意識して見るようにしています。


しかし、どういうわけか、それほど多くの女性が着ているとは思えません。それがかえってよいのかもしれませんが、いつまでたってもすたれません。 
 
そして、ストライプの服を街で見かけるたびに「夏が来たなあ。いつ見てもいいなあ」という感じがするのです。
 
もっとも、真夏の太陽の下では赤い色が似合うということもあります。熱帯地方では原色がよく使われていることがその好例です。
 
色そのものに暖かさを感じるものと冷たさ(涼しさ)を感じるものがあり、それを暖色、寒色と呼ぶことはご存じのことでしょう。


・暖色…赤・橙・黄

・寒色…青、緑、紫


そのような理由から、 冬になると暖色系の色の服を着た女性が増えてきます。
 
暖色か寒色かということは、単に心理的なことだと思いやすいものですが、実はそれ以上の効果があります。実験をしてみるとすぐにわかります。
 
同じ温度の水を、同じ形の二つのガラスコップに入れ、それぞれ赤と青の色をつけておきます。そしてその両方に左右の指を入れてみるのです。
 
どちらの方が暖かいと感じるでしょうか。結果は、お察しの通り、たいていの人は赤い色の水の方が暖かい感じがすると答えるのです。


ある企業で、社員食堂を改装した際に、その壁の色を淡いピンク色から青色に塗り替えたことがありまし た。
 
そうしたら、社員の方たちは「寒い、寒い」と言い始め、とうとうコートを着て食事をする人まで現れたのです。
 
食堂の温度はこれまで通りにきちんと調節してあるのにです。そこで元通りの淡いピンク色に塗り直し、椅子にはオレンジ色のカバーを掛けました。

すると寒いという苦情が出なくなったと いうのです。


古い著書が手元に あります。アメリカのルイス・チェスキンという色彩専門家が報告している例ですが(出典:『役立つ色彩』)、実にアメリカらしいと思います。

というのは、アメリカ人はペンキを自分で塗るという習慣があって、気軽に色を塗り替えるからです。
 
こういう本を私が手元に置いているということからも、私が40年近くも前から「色彩と販売の研究」をしていたことが、御理解いただけると思います。


2)重い色、軽い色


色には重さ、軽さを感じさせるものがあります。 これも、さきほど紹介したのルイス・チェスキンの報告例です。
 
ある工場で製品を黒い箱に入れてトラックまで運ばせていたところ、労働者たちは午後になると早々に疲れた様子を見せました。
 
そこで箱を明るい緑色に塗り替えたところ、苦情もなくなり、欠勤も少なくなって生産性が向上したということです。
 
もちろん、色を塗り替えたからといって重さが変わるわけではありませんが、人間には「重いと思うと実際に重く感じる」ということがあるのです。


こんな話もあります。 企業の経営者、役員のことをよく重役といいます。
 
重役というのは重要な役目・仕事をしている人ですから、そういう重役の方が仕事で乗る自動車の色は、その多くが重い感じがする黒い色になっています。
 
今は車の色もカラフルな時代ですが、やはり重厚さということになると黒になるでしょう。
 
このように考えると、私たちは気づかないうちに色の持つ心理的なものに操られていることがわかります。


同じものなのに、重いか軽いかによって質の良否を測るという習慣が私たちにはあります。
 
その原体験は、農作物にあります。果物は成熟してくるとズッシリと重くなります。
 
スイカの熟しぐあいの測り方は、持ってみてズッシリ重いかどうかということです。
 
このような習慣が身の回りに何かにつけてあります。ですから、人が食品スーパーなどで野菜や果物を買うときにはーつひとつ手に持って重さを測るのです。


流通業界の食品売場には「重さは品質だ」という言葉まであるのです。重さは、私たちが品質を測る際の基本的な考え方のーつとなっています。
 
また、何かのイベントで景品をもらうことがあります。包装紙に包まれているので何が入っているのかわかりません。
 
そのような場合は、手で持ってみて重さを感じとり、よい物かどうかを推察するものです。
 
このように、重さは価値を測る基準にされる傾向があります。


このごろでは、スマホやPCなど「軽い」「薄い」「小さい」「身軽」という感覚がもてはやされていますが、それがすべてではありません。

たとえば自動車など、大きくて重いものがよいというイメージを持つ商品(製品)もたくさんあります。
 
歳を重ねた人は、人問としても軽薄な行動をとるのではなく、重厚な行動をとるべきです。そして、そのような重みのある色の代表がなのです。


この話の続き


ここで、念を押しておきたいことがあります。商品でも料理でもWeb情報でも同じなのですが「中身」と「外身」の2つ、どちらも必要になるということ。
 
たとえば「ラーメン」なら「ラーメンそのもの(中身)」が美味しくないとダメ。そのうえで「見栄えが良い盛り付けの型」があり「彩りまで良い」必要があるということ。
 
ここで説明しているものは「色のみ」。料理でいう「彩り」の部分。ですが、料理が不味いと話になりません。Web構築も同じ。中身の情報が悪いと話になりません。
 
そのコトについては「経営者としての戦略」「担当者としての手法」を別途、ご案内しています。繰り返しますが、ここでは「彩り=色」についてのみレポートしています。

ここでは『「デザイン」における「色彩」というものについての概略のみ』をご案内します。商品開発の詳細ノウハウについては、別のマガジン(シリーズ)をご覧ください。

商品開発経営のための業績向上経営戦略シリーズ(有料)


商品開発担当者のための 売れる商品開発ノウハウシリーズ(有料)


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