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カラーマーケティング VOL.04【 マーケティング・デザイン視点から見た色彩 】

結論から言うと「売れる色がある」ということは、いまからおよそ35〜40年前に、あらかたの研究が終わっています。「売れる色」は存在しています。
 
そして、この投稿に「共感できるデザイン関係者」がいるとすれば、それは「売れるもののデザイン」を いくつも作り上げてきている デザイン関係の業界で、トップクラスの人だけだろうと思いながら 書いています。

そのことを大前提に、順序立てて「色彩をどうマーケティングしていけばいいのか?」。「売れるデザインを作るには、どうすれば良いのか?」の概要をご案内していきます。


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つづき・・・


1)マーケティングとは逆転の発想こと


「売れるデザインをつくることは難しい。どのようなデザインにしたらよいのか、どのようなデザインを選んだらよいのか?」と、世界中の人が悩んでいます。
 
しかし、難しいものだと思い込むのは間違いです。 基本的なマーケティングをきちんと実行すれば、必ず成功するようになっています。
 
そこで、マーケ ティング手法を忠実に実行して成功した神話的な実例を3つ紹介することにしましょう。


まず、第一に、アメリカのデザイナー、レイモンド・ローウィの例です。ローイ氏がデザインしたものは必ず売れたことから彼は「デザインの神様」と呼ばれました。
 
しかし、彼は決して神様などではなく、 マーケティング手法を忠実に実行したに過ぎなかったのです。 次に、日本のアパレルメーカー「WORLD」の例です。
 
ワールドは東証一部に上場している婦人服メーカーですが、売れる服ばかりを製造し、現金取引、返品なしという夢のような商法を実現してきました。
 
この企業も、忠実にマ ーケティング手法を実行して継続的な売上を獲得し続けているのです。そして、もうひとつが「アサヒ・スーパードライ」というビール。


このビールの開発については「元アサヒビール・マーケティング部長」である「松井康雄 氏」が書かれた「たかがビール されどビール」という著書があります。

その本の「41ページ」『不買動機』という節の中に登場する「商品開発コンサルタント」『伊吹 卓(いぶき たく)』という人物。実は、彼が私のメンター
 
1988年。『色彩マーケティング』というレポートを会社に提出した翌年、私は、この人物が講師を勤める「ビジネス(売れる商品・店舗開発)セミナー」に半年ほど参加しました。
 
実は、この「伊吹 卓」という私のメンター(師匠)の「メンター(大師匠)」こそ、レイモンド・ローウィ氏だったのです。伊吹メンターもまた 自分が師事したローウィ氏のデザイン哲学に忠実でした。


消費者の中に潜む「新しいものの誘惑と未知のものに対する怖れ」との臨界点。Most Advanced Yet Acceptable(先進的ではあるがぎりぎり受け入れられる)。
 
略して「MAYA段階」に忠実に進めよ。という話。つまり「新しすぎてもダメ」「古臭いのもダメ」「流行に乗り始めぐらいのものが売れる」という哲学。
 
これこそが「私が、参加したセミナーで学んだもの」でした。とっても乱暴な言い方をすると「トレンドを自分で作らず、トレンドに乗れ」という手法です。
 
ローウィ氏が徹底したのも、このマーケティング手法。WORLDという会社が徹底しているのもこの手法。伊吹氏が推奨していたのも、この手法だったのです。


このように、マーケティング手法を忠実に実行すると不思議なほど売れるようになります。これは、2020年を過ぎた「今の時代」でも 全く同じだと断言できます。
 
では、さきほどから繰り返し強調している「正しいマーケティング手法」とはいったい、どういったものなのでしょうか。
 
その原理は、簡単にいえば「お客様(消費者)の気持ちをつかんで、お客様が欲しがる物を用意する」 ということです。言葉でいうと簡単なことなのですが・・・
 
これを実行できる人(企業)が少ないのです。まったく矛盾していると思います。 なぜこのようなことになってしまうのでしょうか。


それは、私たちが自分の好みにこだわり自分の考え方を捨てられないからです。 その点でレイモンド・ローウィ氏は偉大でした。
 
彼は1つの仕事を受注すると、できるだけ多種類のデザインをつくり、それを不特定の消費者に見せ、消費者が気に入らなかったり嫌いなものを指摘させました。

そして、悪い評価を受けた作品を惜し気もなく捨ててしまったのです。 まさに我を捨て、欲を捨てたのです。欲を捨てると「私の考え」がなくなります。
 
「業界最先端の自社技術で作った『私の考え』で作った製品が売れたら自慢できる」「私の感性でデザインしたパッケージ商品が売れたら自慢できる」・・・


こういう「自慢したい欲」を完全に捨ててしまうと、冷静に「クライアントのお客様=クライアント・ユーザー」の気持ちがつかめるようになります。
 
マーケティングとは、理屈を覚えたり、理論を解釈したりすることではなく、クライアント・ユーザーの気持ちをつかむために、いろいろなことをすることです。
 
たとえば、行列のできる店舗を徹底的に見て回る。また、そういう店の店頭へ通いまくり、そこで購入するユーザーに意見を聴きまくるという行動そのものです。
 
そこには「私の思いつきを自慢したいという欲を捨てて、購入者の立場で考える」という逆転の発想があります。それを徹底することがマーケティングなのです。


2)色は口ほどに物をいう


「目は口ほどに物をいう」という「ことわざ」がありますが、同じことが色についてもいえます。すなわち「色は口ほどに物をいう」

いいえ、正確にいえば「色は口以上に物をいう」と言うべきなのでしょう。それほど、色には人を動かす効果があるのです。

特に女性性の強い人は、美しい色に非常に敏感です。美しいものを見ると、陶酔感に浸れるようです。

あるジュエリーショップの責任者の女性に聞いたことがあるのですが、そのお店を愛用するある女性のお客様は、毎晩、宝石箱を開けて宝石を見て楽しんでいるのだそうです。


そして「私が死んだら、棺桶の中へ宝石箱も入れて ください」といったそうです。 私などは美しいものに鈍感ですから、そういう女性性の強い人の感性を想像することができませんが…

しかし、宝石の値段は満足価値の値段だと思います。美しいと感動する喜びがなければ、だれも、そんな高額なものなど買わないのではないでしょう。

女性性が強い人には、美しいものに対して特別敏感な感受性があるようです。ですから美しいものに対して興味をもつのです。

たとえば華道という世界があります。花を花瓶に生けるだけといえば無粋になりますが、この世界には多くの流派があり、たくさんの人たちが華道を楽しんでいます。


ここで思うことは「美しさ」というものは心の底に働きかける感情的でノンバーバルなコミュニケーションではないかということです。
 
心の底というのは意識下、または潜在意識ということを意味しています。あるいは、心のバイブレーション(振動) といってもよいかもしれません。
 
感情的なコミュニケーションは潜在意識的なものですから、感じることはできても、それを言葉で表現するのは非常に難しいのです。
 
しかし、じっくりと色について考えてみると、1色ずつに感情を表現するたくさんの言葉が浮かんできます。私はこれを「色彩言語」「カラー言語」と名付けました。
 
そこで、次回の投稿より「それぞれの色」が感情に直接働きかける効果について、マーケティングと関連させながら紹介していきたいと思います。


この話の続き


ここで、念を押しておきたいことがあります。商品でも料理でもWeb情報でも同じなのですが「中身」と「外身」の2つが必要になるということ。
 
たとえば「ラーメン」なら「ラーメンそのもの」が美味しい。さらに「見栄えが良い盛り付けの型」があり「彩りまで良い」ということ。
 
ここで説明しているものは「色」。料理でいう「彩り」料理が不味いと話になりません。Web構築も同じ。中身の情報が悪いと話になりません。
 
そのコトについては「経営者としての戦略」「担当者としての手法」を別途、ご案内しています。繰り返しますが、ここでは「彩り=色」についてのみレポートします。


ここでは『「デザイン」における「色彩」というものについての概略のみ』を ご案内します。商品開発の詳細ノウハウについては、別のマガジン(シリーズ)をご覧ください。

商品開発経営のための業績向上経営戦略シリーズ(有料)


商品開発担当者のための 売れる商品開発ノウハウシリーズ(有料)


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