【魚食ダイジェスト】2020年9月期ムツゴ、花枝丸、ボウゼなど(魚ラップ入り)
みなさんお久しぶりです。
かにへーです!
ゆるりと月1で更新しようと思っているnoteですが、今月は食べた魚をダイジェスト的に紹介していきます…!
えぇ、かにへーが習慣にしていることはlike a crab...魚食なのだから…。
1.ムツゴの面倒を見る
先日、三浦半島を訪れたところ、
市場に取り残された魚があった。
ムツゴだ。
ムツゴとは?
ムツの小型サイズ(100-200g位)のことを指す。
アカムツでもなく、クロムツでもなく標準和名「ムツ」。
クロムツの幼魚と正直区別がつきづらいが、皮がうっすら茶色っぽいのがムツ。
三浦半島の仲買さん曰く
「あまり大きくならずに網へまとまって入るのは、ムツだと思ってるよ~。」
小さいのに歯はいっぱしのムツ様で鋭く、中骨もそれなりに固い。
つまり、万人が素直に「美味しい!」と思えるように調理するなら捌く必要がある「手間がかかる魚」だ。
さらにこのサイズの魚は、アジ、イワシともぶつかるので量販店のバイヤーは仕入れに躊躇する。しかも言うてそこまでの量が毎日とれるわけでも無いので外食チェーンもメニューに入れづらい。
なので売れずに安く残ってしまうのだ。
そんな可哀そうな魚。先輩に言って仕入れてみたら、僕も全然売れずにやられてしまった。
責任をもって1kgちょっと購入することとなったのである。
小一時間かけてフィーレにしまくり、同僚に配り、一部を持ち帰った。
さて、
どう食べれば良いんだろうか?
まず産地である三浦半島では寿司にされたりする。
身の味自体は少々薄いが、トロンとした食感に、皮目のムツらしい脂がジワっときて旨い。
やや濃い目の出汁入り煮切醤油などで大いに楽しめること間違いない。
炙ると、より食感がほぐれ、香ばしさが箸を進ませこれまた良い。
僕は塩コショウで下味をつけ、フライと南蛮漬けにした。
魚の味が弱めなので下味は重要だ。逆に個性は無くなるが味付けを素直につけてくれる魚なので、カレー粉と魚醬を組み合わせたもので下味をつけても良いし、いろいろと遊びは効く魚に感じる。
両方とも、トロンとした身質が最高だった。
こんなに美味しいのに…なぜ…。
食べながら、いつから日本人は小魚の面倒を見れなくなったのだろう。
とやるせない思いが出てくる。
もしも僕が時空を操作できたならば、ムツゴを戦後すぐの時代に送ってあげたい。ムツゴはきっと多くの人命を救うヒーローになれることだろう。
ムツゴの面倒を見て、君もヒーローだ!
2.花枝丸の衝撃
花枝丸(ホァズーワン)をご存知だろうか?
ある日、同僚が「イカで花枝丸作ったぜ!」と写真を社内のチャットツールにあげたのだ。
「なんだこれは!?」
コロコロとした可愛い球状の揚げ物がそこにあった。
さては、すりみ揚げか??
第一次さつま揚げブームが来ていた僕はすぐさま反応。
聞くと、どうやらメシ通に「日本いか連合」という面白い人たちが、台湾では有名で美味しいイカ料理として紹介してたらしいのだ
1回高雄と台北へ行ったことあるけど知らなかったぞ!
魯肉飯食って満足してたぜ…。
早速、手元にあったセネガル産の冷凍ヨーロッパコウイカを使ってチャレンジ!
他にはラード(豚の油脂)と片栗粉を入れてミキサーで混ぜる。
これを茹でたら「花枝丸」の完成だ。
さらに!これを揚げると炸花枝丸(ズァーホーズーワン)という完全体となるというのでやってみた。
つける調味料は胡椒鹽(フージャオイェン)という塩+胡椒+味の素を混ぜたもんで、これまためちゃくちゃ台湾屋台料理的で面白い
ケミカルな旨味がズキューーンっ!と走ったあとで、食感がプリんムニュムニュ...次第にイカの味が口に広がり...
むちゃくちゃ楽しい一品でした
残ったものは弁当に使えるし、上につなげた記事にあるように花枝丸(茹でまでした状態)で冷凍しておけば、ささっと使える良タンパク質素材にもなるし、良い料理との出会いでした。
※ちなみにラードの量が上の記事通りだと胃に来て多い印象だったので半分くらいがオススメです。
3.イワシの豆腐ハンバーグ
9月中旬を過ぎてから本州でのイワシの水揚げがかなり減ってしまったが、今年は4月ころから数か月にわたって主に銚子のイワシが水揚げ多く、脂ものって長く楽しめた年だった。
刺身に飽きたころにお弁当へも入れれる料理を検討し、調べて良いなと思い作ったのがこちら。
ジャジャーン!
イワシの豆腐ハンバーグ
イワシのなめろうに、よ~~く水を切った豆腐を混ぜてゴマ油で炒めたら出来上がりだ。
豆腐により、食感がふわっふわとなり、食後感も軽くなり女性が嬉しい一品。
崩れやすく、男性は物足りないかもしれないが、胃がお酒に疲れていたら染みること間違いなし!
最近、水揚げが増えてきた北海道のイワシ(今年は小型なんだよなぁ…)はトラック便で関東に来るものだと1日関東近郊でとれたものより鮮度が悪いため、刺身が難しい場合がある。そういった身が弱ったイワシにも使えるのも嬉しい点だ。
刺身→なめろう→ハンバーグorつみれ
これぞ青魚の大勝利3段活用だ!
4.絹揚げ×魚
妻が作る料理に絹揚げが使いまくられている。
絹揚げの煮ものから始まり、絹揚げの揚げ出汁、薄く切った絹揚げと野菜の炒め物。
毎週家にはコープから絹揚げが届き、日々のおかずに紛れて消化されていく。
「なんでこんな使うの?」
と素朴な疑問をぶつけると、
「よくもそんなことを……っ!価格の安さっ……タンパク質の傘増しのためよ!」と返ってきた。
苦労をかけている。
これは僕も絹揚げを使って家計を救わねば…!
ということで、アクアパッツァにぶち込んでみました。
※以下で書いたレシピの、貝を入れるタイミングに投入してます
https://note.com/kanihee/n/n94580f29f084
これが案外イケまして、美味しく食べれました。
アクアパッツァしようにも人数に対して魚がちょっぴり足りない!という困った家庭人にはオススメです。
余ったアクアパッツァの汁にご飯とチーズを入れてレンチンしたら簡単リゾットになり、翌日のオシャレな弁当に活かせて妻もニッコリ。
家庭を幸せにするレシピです。
※イクラ醤油漬けは会社で余った筋子を塩水洗いしたのち、醤油:煮切みりん=1:1につけて即時に作成
これまた、めちゃんこ美味しかったのでオススメです。
5.ボウゼの丸ごと唐揚げ(ラップはこちら)
徳島からボウゼが入荷しました。
標準和名はイボダイ。エラの上にある黒い斑点がイボみたいというのが名前の由来だそうです。
どっちかというと関西で知名度高く人気の魚。
兵庫生まれの先輩は興奮してました。
も少し大きいサイズの干物は高級品として扱われます。
ただ今回のは、これまたムツゴと同じで150g位前後の小魚。
このサイズは前述のとおり大正義マアジさんとの戦いです。
いろんな産地で水揚げされたマアジさんが、まるでAKB48グループのように各スーパーの売り場という市場を覆いつくし(実力もありますからね…)、このボウゼさんのような地方では有名で実力もある小魚がひょんなことで上京しても売り場をとれず苦渋を飲まされることが多いのです。
【ボウゼのラップ】※ビートにのって口ずさんでみよう!
わたし徳島では 大人気のボウゼ
若いしもっと 売れるでしょ当然
ついに上京 現れたの突然
全然売れずに かにへー呆然♬
ボウゼさんがアジに調理素材としてマウントがとれる点は、骨の柔らかさ。
アジは前の記事で書いたように血管棘というの含め小魚にしては骨が硬めなんです。
強い流れにも時に逆らって泳いだりするんでしょう。
ボウゼは違って柔らかめなんです。
ということで、丸揚げにしてしまいましょう。
ポイントは高油で中骨をカラっとあげること!
ただ身は加熱しすぎると水が抜けすぎてパサパサになってしまうので、高温の油が骨へ直接あたるように背側から両サイドに深い切れ込みを入れてあげます。
※ボウゼも血管棘(尾側の中骨から下にのびる小骨)は少し固めなので、そこまでしっかり包丁を入れときましょう
それに塩とコショウをなじませ10分放置し、水気をささっととったら片栗粉と小麦粉を等量で混ぜたものにつけて、180℃くらいで揚げます
油の音が小さくなったなぁ~となったら揚げ時。
あとはお好みで柑橘を絞っても良し、チリソースをかけても良し。
バリバリっといっちゃってください!
頭が結構香ばしくて旨かったです。
背開きにして、塩を軽くふったものをピチっとシートでくるんで冷蔵庫で干物にしてもうまいです。
僕は一部を干物にして弁当に入れました。
【ボウゼのラップ その②】※ボウゼが売ってたら歌ってみよう!
ボウゼ)
オレは東京で 売れ残ったボウゼ
かにへー頼むから 買っておくれ
かにへー)
儲けどうせ無いぜ空いた両手買うぜ当然
別に君を求めてないけど ドルチェ
ガッバーナよりも 魚好きの道化
美味しく調理して 食べてこうぜ
さて。
ここまで長い文章をお読み頂き本当にありがとうございました。
駆け足となりましたが、今月のかにへーの魚食ダイジェストはいかがでしたでしょうか?読んで頂いた方は今月どんなものを食べてましたか?
今後も私かにへーは、魚食の新たな可能性、楽しみを追求していきたいと思いますので、ぜひお楽しみに!
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最後に…サンマ…
あ…一応サンマも食べました…。
漁場が遠いため鮮度がいまいち。
脂乗りも全然。
でも...
食べると堪らなくうまいのがサンマ...
サンマにしかない風味がある
イワシとも違う
ニシンとも違う
サンマにしかない香り、苦味、旨味
秋はやっぱりサンマだ…。
食べていると、
妻から「今年ってサンマなんでこんな高いの…?」という素朴な疑問が来た。
そうか。大半の人は「今年サンマなんか高いね~。」「とれないらしいよ~。」「え~まじショック~。」くらいの感覚なのかもしれない。
魚業界では通説なのですが、要因は以下3つと考えられているます。
1.同じ餌を食べているイワシが増えた
2.他国(台湾、中国)がとる量が増えた
3.気候変動(温暖化)などの影響で回遊ルートが変わった
このうち1と3はどうしようも無い。
でも2はなんとか出来ます。
他国と議論して漁獲枠を設定すれば良いんです。
一応、日本政府も議論を進めようと動いているようですが、今年は残念なことに新型ウイルスの影響でこのサンマの資源管理を話し合う会議も流れてしまってるようで、今後の動きに期待したいと思います。
食べるとも、食べ尽くさぬように。
今月もごちそうさまでした。
サポート頂けたら勿論ありがたいのですが、出来たらそのお金でご自身で魚を買って捌いてみたり、居酒屋でプロが作る魚料理を食べてください~~!!