【新説・魚食レポvol.6】大好きなイサキのアクアパッツァ
良い時代になった。
多くの料理人が美味しいレシピを惜しげもなく動画で公開してくれる時代。
今回は「アクアパッツァ」とイサキの話…。
【素材データ】
魚種:イサキ
産地:長崎産
規格:400g位
漁法:巻網
備考:市場に来てから1日冷蔵保管していたもの。
触ると1日だけの保管にしては、身が柔らかくなっている。
網で巻かれたあと圧力がかかったのだろうか。
それとも長崎はもう結構暑いだろうから、冷やされずにいた時間があったのだろか。
品質レベルとしては並下。
刺身はギリ出来るけど見栄え悪くなりそうといったところ。
ただエラをよく見ると穴が開いている。
内〆されていた。
【活〆、野〆について】
活〆(いけじめ、かつじめ):生きた鮮魚を、エラ付け根の動脈を切るなどして即殺したもの。
野〆(のじめ):網の中や船倉、カゴの中などで苦悶死したもの。
活〆の方が、
①旨みの素となるATPがたくさん残ること
②血がよく抜け雑菌が身に回らない&色が汚くならない
などの理由から評価が高くなる
※やり方により血の抜け方はピンキリ
内〆は活〆のやり方として外見で傷がわからないよう、エラの内側から動脈と脊髄を切る締め方
「よく、このサイズなのに内〆したなぁ。」
コロナで買い手もつきづらいだろうに……
そんなことを思いながら鱗をとる。
一般的なスーパーで陳列しているものは野〆のものが多いため、それよりはやや上のグレードといえるだろう。
腹を捌くと、卵と白子が出てきた。
この時期にしては少し微妙な脂のり。
サイズが小さい個体だったことも一因だろう。
イサキは初夏の魚だ。
梅雨入りのこの時期、産卵を前にして脂がのり美味しくなる。
僕がとっても大好きな魚の1つ。
去年の夏、イサキ1つでこんなプレゼンをするイベントもやったりしたほど好きだ。
見た目も可愛らしい。
料理は炙り刺身がめちゃくちゃ旨くて好きだ。
※去年6月に長崎壱岐産のデブイサキで作ったもの
ただ今回はせっかくの活〆だが、刺身とするには柔らかくなりすぎた。
何にしようか…
そういえば最近めちゃくちゃ美味しそうなアクアパッツァの調理動画を見た。
「日本にアクアパッツァを広めたシェフのアクアパッツァ」
店名を「アクアパッツァ」にしているほどの方が、看板メニューを教えてくれちゃうんですかーーーっ!
人として大きすぎやしませんかねぇ…。
取材して動画に落とし込んでくれたRopiaさんには感謝しかありません…。
このレシピ、なにが良いって思ったより簡単ですぐ出来るんですよね。
かにへー的にポイントだと感じたのは以下の点。
①最初に魚を炒めることで臭みを飛ばしつつ、皮目を香ばしくし身肉はぼやけないようにする。
②余計な野菜(水分)も加えないことで魚介の出汁味をぼやけさせない。
③トマトは②の理由プラス、グルタミン酸は添加したいのでドライトマトを加える。
④中盤から強火で手早く火を通すことで魚を加熱しすぎて固くするのを防ぐ。
作り方を活字で追いたい人はこちらの「みんなのきょうの料理アーカイブ」に、日高シェフが動画でお見せしたレシピがあるので参考になるかと思います。
ということで、
レシピを完コピしてアクアパッツァを作りました!
調理器具は強火で手早く火を通す必要を感じたため、かにへー家で一番熱伝導率が良い「中華鍋」を使用しています。
炎のアクアパッツァですね。
さて始めます。
下処理してヒレを切ったイサキの両面に切れ目を入れ、塩を振って10分ほど置く。
オリーブオイルを入れて強火で熱した中華鍋にイサキを投入して弱火へ落とす。
(お皿に盛るとき表にする方から焼く。)
2分位ずつ。
両面がこんがり焼けたら、魚が半分かぶるくらいの熱湯を投入し強火にする。
~~こっからはずっと強火だーー!!~~
アサリを入れ、煮詰まり具合によってお湯を足し、そしてドライトマトも入れる。
アサリの殻が空いてきたら、オリーブオイルをた~~~っぷり投入。
白く乳化させたら、パセリを散らして完成!
ド ン ! !
パクリ
うめぇ~~~~~っ!!!!
イタリアン=ニンニクトマトオリーブ
だと思っていてすみませんでした…。
ニンニク入れずに、魚介とトマトオリーブでこんなボディ感強い味が出るなんて知らなんだ。
イサキの身もふっくら。皮もバッチシうまい。
香りも豊かで控えめに言って最高でした…。
シンプルなので、食材そのもの、すなわち魚介の新しい可能性も感じられて幸せです…。
改めて、日高シェフとRopiaさんに感謝感謝です。
そんな素晴らしい知見を残してくれるシェフの方々に、再び平穏な日々が訪れることを願って、結びの言葉とさせて頂きます。
ごちそうさまでした!
余談
【魚屋目線で考えた、このレシピに向く魚】
皮を最初少し揚げ焼きみたいにして出汁を出すため、多少皮が厚めで強い魚が良さそうだ。
例えば、マダイ、クロダイ、スズキ、イトヨリダイ、そしてイサキ。
イサキ科は、ヒゲソリダイ、ヒゲダイ、コロダイ、コショウダイもこれからの暑い時期が旬なので良いでしょうね。
オリーブオイルでコクは足されるため、魚の脂乗り問わず使えるのが素敵なレシピです。
【食材備考】
・ドライトマト
イタリア産セミドライトマト
創業1977年。
いまやサントリーグループの老舗イタリア食品商社「モンテ物産」が輸入したものを使用。
柔らかめで実や水分が少し残ったセミドライタイプ。
常温保管可能にするためか塩気はかなり強め。
特にこだわりあったわけではなく、市場に売ってたのでこれにした。
本当は以下Daikiさんのレシピを見てこのトマトの安い時期に自作しときたかったんです。これはこれで今度チャレンジしてみたいと思います。
・アサリ
熊本産アサリの注水パック
近所のトップバリューに売っていたもの。
品名には「中サイズ」とあったけれど市場だと小サイズ扱いかなというサイズ。
小さいものは殻が弱くて割れやすいが、今回は市場でアサリを買い忘れたので急遽助けてもらった。
サポート頂けたら勿論ありがたいのですが、出来たらそのお金でご自身で魚を買って捌いてみたり、居酒屋でプロが作る魚料理を食べてください~~!!