かなこ

OLです。趣味は自然観察、ピアノ、読書、カフェ巡りなど。

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最近の記事

優しい季節は去って

春が、換気のためにしばらく開けていた窓から、ある日去っていったようだ。 気づけば、明るい黄緑色だった街路樹は、濃い緑色になって生い茂っている。 卵色だった日差しは、白く強い光となっている。 遠慮がちだったインドカレー屋さんの店員さんの接客は、ざっくばらんになってきている。 少しずつ、季節も、私の時間も、濃く深くなっている。 去年くらいまでの私なら「またあのなついあつ…いや暑い夏かあ」とうんざりして引きこもり生活に入っていたけれど、今年(から)はもっと精力的に動いていきたいと

    • 夏の日差しのような眼差しが

      両親が週に一度、地元の港に来た船員さんをもてなすボランティアをしていて、それによく付いていっていた。 そこはフィリピン、インド、ロシア、トルコ、中国、ギリシャ等色々な国からの船員さんが来る場所で、現地の話を色々と聞けて、大人なら楽しめるかもしれない。しかし私は小学校中学年で、挨拶程度しか英語は分からず、外国への興味や知識も乏しかったので、もっぱら備え付けのピアノを弾いたり片隅で古い写真集を読んだりしていた。   そんな中、突然超絶フレンドリーなインド人船員さんが現れた。 しか

      • 私がインドに魅せられている理由

        今、外食の8割近くをインド料理が占めている。 暇さえあればインドの画像をインスタで漁っている。 頭の中でヒンディー語の単語を反芻している。 年末年始にインドに行ってからというもの、インドがどんどん私の中に入ってきてる。 それは、何故だろう。 カンボジア旅で見たアンコールワットやトゥールスレンのように歴史に心を動かされたわけではない。 アリゾナの砂漠やロッキー山脈のように雄大な自然に心躍らされたわけでもない。 道にはゴミや動物の糞が散乱し、人々はしょっちゅう唾を吐き、衛生状態

        • 努力や没頭の先にあるもの

          努力した経験。没頭した経験。 それがいかに大切か、最近やっと言語化できてきた気がする。 初めて化学に出会った時、自分が流れ星になったような錯覚を覚えた。 色とりどりに彩色された迷路のような世界で、一心に自分の未来だけを選んで走る一筋の光。 天高く輝こうとする意志。 それまで人に依存しがちで根無草のようだった自分が、「自分」に集中できた瞬間だった。 しかし、あまりに未熟だった私はこの感情の尊さに気づかず、化学から遠ざかることとなり、25歳までの数年を元通りの自分であてもなく

        優しい季節は去って

          トカゲのイメージが覆された日

          私がトカゲをこんなに好きになったきっかけは、保育園児の時にミクロネシアを旅してからだ。 それまで北国育ちだった私は、小さなカナヘビとミシシッピアカミミガメ以外の爬虫類をろくに見たことがなく、「なんか小さくてひんやりしたやつ」以上の感情は持っていなかった。無機物と同じ存在だった(無機物をこよなく愛してる人には申し訳ないけれど)。 しかし、南の島で見たトカゲは、何という種類のトカゲだろう、チューブから出したままの絵の具のように鮮やかな緑色で、当時の私が両手で持つのがやっとなくらい

          トカゲのイメージが覆された日

          自分を救ったもの

          数年前まで、自分のことが大嫌いで、陰や闇から逃げることばかり考えていた。 今でも、自分の一番好きなもの大切にすべきものから目を背け続け、心の底からワクワクしたことも身震いするほど感動した記憶もなく、心が緩慢で絶望的な死に向かっていた16〜25歳頃までの日々で私は何を得たのか、若い間の約10年という決して短くないあの年月がどういう意味を持つのか、よくわからない。 ただ一つ思うのは、二度とあんな風に自分を嫌いになり否定し続けるような生き方はしたくない(成長しないし何より自分が辛い

          自分を救ったもの

          愛しい痛み

          「もう一度会いたいと願うのは 痛みさえ愛しいから」 インドのデリーのことを思い出す度、Exileの『Lovers Again』のこの一節が脳裏に浮かぶ。 しつこく後をつけてくるおじさまや、トゥクトゥクで全然違う場所に私を連れて行った詐欺師(街全体に詐欺やぼったくりが横行しているようだ)、深夜までクラクションがホテルの客室内まで届いて落ち着いて眠れなかった夜、マスクをしていないと高確率で喉がやられそうな空気の悪さ…今まで旅した中で、デリーがダントツで居心地悪かった。しかし同時に

          愛しい痛み

          不公平な椅子取りゲーム

          先日、とあるイベントで2チームに分かれ、一方のチームの条件が不利な椅子取りゲームをした。 私は、不利な方のチームだった。 不利な条件1.座れる椅子がもう一方に比べて少ない。 不利な条件2.もう一方が知っている秘密のルールを知らない。 どんどん座りそこね、ゲームの輪から出ていく不利チームの人たち。 残っている不利チームの人数が減るにつれ、仲間を応援したい気持ちが強くなっていく私。 有利チームもだんだん元気が無くなり、殺伐としていく空気。 限られた椅子を奪い合う不利チームの人たち

          不公平な椅子取りゲーム

          不公平な椅子取りゲーム

          先日、とあるイベントで2チームに分かれ、一方のチームの条件が不利な椅子取りゲームをした。 私は、不利な方のチームだった。 不利な条件1.座れる椅子がもう一方に比べて少ない。 不利な条件2.もう一方が知っている秘密のルールを知らない。 どんどん座りそこね、ゲームの輪から出ていく不利チームの人たち。 残っている不利チームの人数が減るにつれ、仲間を応援したい気持ちが強くなっていく私。 有利チームもだんだん元気が無くなり、殺伐としていく空気。 限られた椅子を奪い合う不利チームの人たち

          不公平な椅子取りゲーム

          人生初のインドその7〜バンコクの朝そして帰国〜

          2024.1.3 バンコクのカオサン通り近くのホテルで1泊し、オフィス街スクンビットで朝ご飯をテイクアウト。 定刻通り(むしろ20分ほど早く)フライトは関西空港に着陸し、街の清潔さや人々のおとなしさにふわふわした気分になりながら23時半頃帰宅。 インドに行くには、精神的にも肉体的にも強くなければいけないと思っていた。 確かに、空気の悪さ(特にデリー)や衛生状態の悪さは想像を上回っていたし、しつこい声かけや平静を保つのが難しい局面もあった。 しかし、強さを得たというよりも、

          人生初のインドその7〜バンコクの朝そして帰国〜

          人生初のインドその6

          2024.1.2 朝食がてらガヤの駅近くを散歩。 まず感じたのは、イスラムの香りのする模様や色彩(ムガル帝国の影響?)の美しい建物が多いこと。 朝ごはんに駅近くのホテルの一階のレストランに入る。 店員さんはほとんど英語がわからないようで、ジェスチャーと片言のヒンディー語と英語で頑張る。 人生で交わした会話の中で一番ジェスチャーの割合高かったけれど、私の拙いヒンディー語(というか単語を発しただけ)を丁寧に聞き取ってくれて感激した。 その後、宿に戻ろうとリキシャに値段交渉し

          人生初のインドその6

          人生初のインドその5

          ムガルサライを出て2時間半後、定刻より11時間(!)遅れで列車はガヤに到着。 やっとこの満員電車から降りられるという解放感と、なんとなく連帯感が生まれた相席の方々との別れの寂しさがないまぜになった気持ち…に浸る間もなく、大急ぎでトゥクトゥクを拾い、ガヤ空港に向かう。 しかし、残念ながらコルカタ行きの飛行機はすでに出発してしまっていた。 そして、コルカタ→クアラルンプール、クアラルンプール→ホーチミン、ホーチミン→中部という帰りの3便に乗り遅れる可能性も出てきた。 とりあえず空

          人生初のインドその5

          人生初のインドその4

          2024.1.1 せっかくのゲストハウス、せっかくの大晦日、夜更けまでワイワイしたかったのだが、2日間あまり眠れていないのに加えて刺激の強い日々に疲労が溜まり、限界を感じていたので前夜は23時半に就寝。 しかし、外では1時半頃まで爆竹が鳴り響き、3時間程度しか眠れなかった。 眠い目をこすりながら元日朝のガンガーを歩くことに。 ボートでクルーズしたかったのだが霧が深く、断念。 ご覧の通り、全てが乳青色に幻想的にぼやけていた。 そして、ガンジス川で沐浴をする人たちも沢山いた。

          人生初のインドその4

          人生初のインドその3

          2023.12.31 朝6時発の電車Bande Bharat ExpressのVaranasi Executive Classに乗ってバラナシへ。 約9時間半の電車旅の始まりです。 定刻より約1時間遅れで(上出来!)バラナシに到着。 トゥクトゥクに、ゴドリア交差点で降ろしてもらうようお願いする。(宿の近くの道は細いのでトゥクトゥクや車は入らないため、近くの大きい道路で降ろしてもらってあとは歩く) デリーと違って牛が沢山歩いていて、異世界感。 しかし、運転手さんにまたし

          人生初のインドその3

          人生初のインドその2

          2023.12.30 ダッカのシャージャラル国際空港を午前の便で出発。 トゥクトゥクに国際線の搭乗口まで送ってもらうようお願いするも、国内線で降ろされてしまい(言葉が通じなかったのか国際線まで入れなかったのか故意なのかは不明)、スーツケースを引っ張って国際線の建物までそこそこ急な坂を上っていきました。 すると、ご覧のとおりの長蛇の列が。しかも何かに手間取っているのか、全然進まない。。 このままでは到底デリー行きの便に間に合いそうにないので、係の人に事情を話し、優先的に手続き

          人生初のインドその2

          人生初のインドその1

          行ったことのある人達から聞く強烈なエピソードに、恐れ半分楽しみ半分だった国。 高校時代に何かの交流事業で同年代のインド人達に会い、その賢さ器用さに感銘を受けた国。 ずっと行く勇気が持てずにいたけれど、昨年の夏にカンボジアに行ってから自分を縛っていた鎖が解けはじめ、詐欺やぼったくりが横行し、衛生状態が極めて悪い環境で、自分を試したい!鍛えたい!と強く思うようになった。  実際行ってみて、強くなったというよりは、今まで考えもしなかったような事象に次々に出会い、自分の内面を深く見つ

          人生初のインドその1