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日本母性看護学会の感想

昨年2018年になるが、日本母性看護学会の学術集会に参加した。

学会の聴講をとおして、女性の健康は
問題意識をもつ

どのような問題なのか、解決するとどう良いのか、を研究によって、論理的に情報開示する

問題を多様な領域で共有する
(医療、看護、地域、行政、研究など)

多様な領域の専門家が、それぞれ提供できる資源、手段を提供する

このような流れが大事なのだな、と学んだ。

具体的に、感想をまとめてみたいと思う。

第20回 日本母性看護学会学術集会ホームページ http://bosei20.umin.jp/index.html
日本母性看護学会(JSMN)ホームページ
http://bosei.org/index.html

日本の女性の健康について、大きな問題は
『女性が自分の体に主体性をもっておらず、される身体、みられる身体であること』
だというスタートで、特別講演は始まった。
なんとなく私が抱いている問題意識を、ぴたりと言い表してくれた気がする。

学会冊子の中で、もうひとつ、印象的な部分があった。
学校理事長、鈴木幸子先生(埼玉県立大学 保健医療福祉学部 看護学科)の言葉である。

『「母性看護学」という用語が1968年の教育カリキュラムで初めて誕生して以来、看護の対象の拡大(思春期〜更年期まで、母子から家族へ)は見られていたが、依然として子どもを健やかに産み育てる「親としての女性」に重点が置かれ、女性自身あるいは性的存在である人そのものに目が向けられていないことを感じている。

子どもを産み育てるための母体としてだけでなく、女性自身の生涯の健康を考えるとき、社会のジェンダー観や性差医療の発展の影響は大きい。
平均余命の延長、価値観とライフスタイルの多様化、格差の拡大が進む中で女性が健康に暮らし、働き、ときには親としての役割遂行もでき、老いていくための支援とは何か。...
女性であることに強く関係する事象は妊娠・出産・子育てに限らず、性暴力や働く女性の月経問題や不妊治療、高齢女性に対する虐待など多岐に渡っている。』

“子どもを産み育てるための母体としてだけでなく、女性自身の生涯の健康”
この必要性が、きちんとわからない人にも伝えられることが、大切なんだろう。

上記にもあるように、女性の健康は、
社会の中での女性の扱われ方、社会の中で育つ女性自身が抱く意識の持ち方によって、
左右されるものなのだ。

さらに2つの視点で、この学会を聴講した感想をまとめたい。

[1]そもそもどんな人がこの学会にいるのか
●臨床実践者、つまり働いている助産師、看護師、母性看護専門看護師、産婦人科や新生児に携わる医師
●大学の研究者
●今回特別な立場だと感じたのは、ルナルナという月経管理アプリの会社もあった。

[2]どんなテーマで発表されているか
✿︎これからは女性の健康は、妊娠出産といったライフイベントだけではなく、生涯を通じた健康づくりが必要。
妊娠したら産婦人科に、だけではなく、
継続的かつ、途切れのない視点が求められるという。

✿︎そのために、医療の閉じたなかだけではない、さまざまな分野との連携が必要。
多職種連携モデルのひとつとして、
“相互乗り入れチームモデル(transdisciplinary)”があるという。
だれが何をするのか、専門は何か、お互い何を提供できるか、
ということをそれぞれの職種が理解し、
自分たちの領域の文化を守りながら、相手の役割や機能を学び、
力を合わせる、ということだ。
社会のあり方と女性の健康は関わりが深いから、医療の中だけで良い治療やケアをしていても限界がある。
社会の仕組みや制度を変えなくてはならない。

✿︎そのために、研究によって、実態の把握や、「なぜこれが必要か?」を理論的に合理的に伝える必要があること。
学会の役割としても、女性の実態の解明や看護の開発に適した研究方法をつかった研究をおこない、その発信力をのばすことだという。

例えば、月経管理アプリで有名なルナルナは
アプリ内で蓄積された女性の月経データや、アプリ内で行ったアンケート結果を、研究として発表している。
最もパーソナルな機器である携帯電話という端末ゆえに、大規模かつ多様なデータが集まる。
そのデータを生かし、実態を把握する研究が行われ、ヘルスケアの現場にフィードバックされ、生かされる仕組みができている。
大規模なデータを、女性が身近なサービスを使用することで得られ、そのデータをもとに、より良い支援が考えられる“仕組み”ができてしまうことは、
必要なデータを取りに行くことが大きな課題である研究領域においても、大きな助けとなる。

✿︎早めの、早めの対策が大事。
子への虐待予防も、お産をした後ではなく、妊娠期からの関わりが大切だし、
働く女性の健康を向上するには、思春期から知識や意識を変える必要がある。
妊娠期に合併しやすい疾患も、婦人科疾患も、症状について知っていることで、早く発見され治療につながる。

きっと、女性のからだの問題や
いま混沌としている支援の方法は
数十年後に、かたちになり、システムとして社会の中の女性を、支えるようになるだろう。
そうなるべきだし、そのために、いまきっと混沌として、それぞれが努力している。
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